資産が枯渇しない生活水準を考える-適正支出に対するアドバイス力強化に期待する

ZUU online / 2019年7月29日 20時20分

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資産が枯渇しない生活水準を考える-適正支出に対するアドバイス力強化に期待する(画像=PIXTA)

■資産取り崩し段階にある人の要は適正支出

※本稿は2018年5月8日発行「基礎研レポート」を加筆・修正したものである。

近年、個人の資産形成を促す制度が拡充されてきている。資産形成を促す制度の代表例である個人型確定拠出年金iDeCoは、明らかに退職後の生活資金確保を目的とした資産形成手段である。また、積立NISAの非課税保有期間は20年間と長い。保有期間中の売却が制限されるわけではないが、退職後の生活資金確保の意味合いが強い。資産形成段階にある人は、これら制度を活用し、退職後の生活資金を準備することが期待されている。制度を上手く利用するには、投資商品の選び方に関する情報が必要だが、インターネットの普及により情報入手も容易になった。最近は、最適な資産配分の提案だけでなく、資産価格変動によって生じる最適な資産配分からの乖離を埋めるよう、購入割合を調整してくれるロボ・アドバイザーまで開発されている。このように資産形成段階にある人には、様々な手段が用意されている。

一方、資産取り崩し段階にある人はどうだろうか。iDeCoは利用できないし、積立NISAも活用しづらい。非課税保有期間が5年のNISA(以下、通常NISA)は利用できるが、投資対象は元本割れリスクのある商品に限られる(積立NISAも同じ)。保有期間がさほど長くないことから、通常NISAを利用する際には、各人のリスク許容度に照らして適切な範囲にとどめる必要がある。一般に、リスク許容度は年齢が高いほど低く、資産総額が多いほど高い。資産取り崩し段階にある人の中で通常NISAのメリットを享受できるのは、元本割れリスクに耐えうるほど十分な資産を保有する一部の富裕層に限られる。インターネット上で、老後の生活資金に不安があるなら、定年後も働いた方が良いといった情報をよく目にするが、就業希望者全てが働けるわけでもない。61歳~70歳の人を対象とした調査によると、就業意欲はあるが、仕事をしていない人が10%いる。体力や病気などを理由に、就業意欲を失った人も勘案すると、老後の生活資金に不安があっても働けない人は少なくないだろう。資産残高に影響する要素は収入、支出、運用の3つしかない。リスクを取って高い収益率を目指せるほどの資産を持たず、かつ働けない人にとって、制御可能な要素は支出に限られる。

しかし、資産運用に関する情報やサービスに比べて、支出に関する情報やサービスは質・量ともに不十分だ。もちろん、インターネット上に出回る、年齢別平均支出額や節約術などの情報にも価値はある。しかし制御可能な要素が支出に限られている人にとっては、現在の保有資産や年金受給額に照らして、適正な支出の水準やその算出方法の方が重要だ。保有資産が少なければ、同年代の平均支出額と同じ支出を続けると、いずれ資産が底をつく可能性が高い。適正な水準が分からなければ、どれほど節約すれば良いかも分からない。

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