改正相続法の解説(3)-配偶者が今の家に住み続けるには

ZUU online / 2019年8月2日 20時25分

■要旨

改正相続法は、居住用不動産を所有する被相続人が死亡した場合における、被相続人の配偶者の居住権を確保する三つの制度を設けた。配偶者短期居住権、配偶者居住権、および居住用不動産の持ち戻し免除の意思表示の推定である。

配偶者短期居住権は、被相続人死亡時後6ヶ月あるいは相続財産を分割する協議が成立してから6ヶ月間のいずれか遅いほうまで配偶者が無償で居住用不動産に住み続けられるという権利である。相続発生により当然に発生する権利であり、相続発生直後の配偶者の居住権を確保する制度である。

配偶者居住権は、遺言または遺産分割等によって、配偶者が居住用不動産に無償で住み続けられるとする権利である。存続期間を終身とすることもでき、たとえば子に居住用不動産の所有権を相続させ、他方で配偶者に配偶者居住権を遺贈するといった遺言をすることにより、遺留分の問題を回避しつつ配偶者の居住権を確保することが可能になる。

居住用不動産の持ち戻し免除の意思表示の推定は、20年以上婚姻期間のある夫婦の間で居住用不動産を贈与等した場合において、各相続人の具体的相続分を算定するにあたっては、この贈与分を考慮しないことを原則とする制度である。贈与分を考慮しないことで配偶者の最終的な財産の取得分を増加させる効果が生まれる。

女性のほうが平均余命は長いため、仮に夫婦が同い年であったとすると、平均的には妻が夫より5歳ほど長生きすることとなる。夫死亡後の妻の居住権の問題については是非考えておきたいポイントである。

■はじめに

今回の改正相続法の目玉となったのが、配偶者の居住権に関する制度整備である。関係する改正としては、(1)配偶者短期居住権、(2)配偶者居住権、(3)居住用不動産贈与の持ち戻し免除の意思表示の推定の3点である。今回も前回の基礎研レターと同様に仮定のケースを設けて、ひとつずつ解説を加えていきたい。

今回のケースは、次のようなものである。被相続人(遺言者のことを指す)は、先の配偶者との間に一子をもうけたが、先の配偶者とは死別した。その後、現在の配偶者と再婚したが、現在の配偶者との間には子はいない。先の配偶者の子と、現在の配偶者との仲は必ずしも良くない。被相続人と現在の配偶者は被相続人の自宅で同居し、子は被相続人とは別に住んでいる。被相続人と現在の配偶者は年金で暮らしており、被相続人には評価額4000万円の自宅(土地と不動産)と2000万円の預貯金があるとする。

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