SG会田アンダースロー(グローバル)FEDの利下げを担保にする形で米中貿易紛争が拡大

ZUU online / 2019年8月7日 11時55分

シンカー: 米中の貿易紛争の拡大が、マーケット心理を悪化させてきた。FEDが7月に利下げに踏み切り、景気悪化を未然に防ぐ予防的な措置への姿勢を明確にした。結果として、9月にも続くとみられるFEDの予防的な措置を担保にする形で、トランプ大統領は中国への要求を強くしている可能性がある。マーケットの心理が悪化しても、FEDの利下げ方針があるため底割れは回避できると考えているからだ。言い換えれば、更なる利下げが実施されるとみられる9月まで、米中の貿易紛争をめぐるリスクが残ってしまうだろう。問題は、米中の貿易紛争の落とし所が見えてきた時、景気ファンダメンタルズ対比でFEDの予防的な利下げが進行しすぎていれば、マーケットのアンワインドの動きは早く、そして大きくなる可能性があることだ。FEDの利下げの打ち止めとともに、1年以内の利上げへの転換がマーケットに織り込まれ始めれば、米国の長期金利が強い上昇に転じる可能性だ。しかし、10月末の英国のEU離脱期限もあり、そこまでマーケットがたどり着くまでにはまだかなりの時間がかかりそうだ。

■グローバル・フォーカスの解説

●中国の報復措置、米国は中国を為替操作国認定

米国が9月1日から発動予定の$300BNに上る中国からの輸入品に対する追加関税に対抗して、中国は国営企業に米国からの農産物の輸入を停止するよう要請した。中国による米国産大豆の輸入は減少が続いており、輸入先をブラジルなどに代替しているとされている。今回のトランプ大統領の措置は、大統領選挙を控えて米中貿易戦争が長期化していることにしびれを切らした可能性があるが、中国は農産物を全面的なターゲットにすることで、トランプ氏の支持層である農村部の有権者を揺さぶる狙いがあるのかもしれない。さらに、中国人民銀行は元安を容認する動きも見せており、米国も中国を25年ぶりに為替操作国に認定するなど、貿易戦争はますます激化の様相を呈している。

●FOMCミーティング

今回のFOMCでは市場の予想通り25BPの利下げが決定され、FF金利の誘導目標は2.00-2.25%となった。投票権を持つメンバーのうち、ローゼングレン総裁(ボストン)とジョージ総裁(カンザスシティー)は利下げに反対。声明文では経済活動の持続的拡大、力強い労働市場、インフレ率が目標の2%付近で推移することが今後最も可能性の高い結果だとしながらも、“こうした見通しへの不確実性は続いている”とし、9月に追加利下げを行う可能性を残す形となっている。さらにSOMAポートフォリオの縮小を停止する時期が従来の9月末から8月へと2ヶ月早められた。会見でパウエル議長は“長期にわたる利下げサイクルの始まりではない”と指摘しながらも、“一度きりとも言っていない”としている。貿易戦争の激化が景気減速懸念に煽り立てる中、9月のFOMCにおいてより大幅な利下げへの期待も強まっているようだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング