SG会田アンダースロー(グローバル)ポピュリスト的な政治は中央銀行の金融政策運営を難しくしている

ZUU online / 2019年9月5日 13時0分

日銀は必要に応じて、フォワードガイダンスを、2020年夏の東京オリンピック後の一時的な景気下押し圧力の不確実性への備えを含めた表現(2020年度末)に長期化する可能性もあろう。フォーワードガイダンスの長期化を除いて追加金融緩和には踏み込まないと考える。日本経済が内需を中心にアベノミクス前と比較して海外景気のFEDの利下げがあったとしても予防的なものであり、それ以降の景気モメンタムを改善させ、円高圧力は一時的と予想できること、減速に対して著しく頑強になってきているとの判断、日銀がフォワードガイダンスで早期出口論を封じながら現行の金融緩和を継続していれば、自動的に緩和効果が強くなっていくメカニズムが存在することを理由に追加緩和の必要性はないと判断するだろう。日銀はテクニカルに円高を受け入れるだろうが、ドル・円で100円を下回る加速度的な円高がグローバルな景気見通しの著しい悪化とともに起これば、2%への物価目標へのモメンタムが維持できないと判断し、日銀は追加金融緩和に踏み切る可能性はあるが、メインシナリオではない。

年末までにフォワードガイダンスを長期化のみの対応をする確率は60%程度とみられ、現在のところメインシナリオだ。FOMC参加者の見通しでは2021年中には利上げに転じている可能性が示されている。日銀は、FEDの利上げ見通しが生まれるとみられる2021年初になっても、辛抱強く緩和政策を維持することを示し、ビハインドカーブになることで、円高圧力がいずれは円安圧力に転じる期待をマーケットに織り込ませようとするだろう。9月にFEDが二回目の利下げをし、10月に消費税率が引き上げられた後、1日前のFOMCでの政策見通しを確認し、10月末の決定会合で展望レポートの改訂とともにフォワードガイダンスを2020年度末まで長期化するとみられる。FEDの利下げ後のマーケットの動き次第で、長期化のタイミングは前後する可能性がある。一方、日銀が年末までにまったく動かない確率は20%程度とみる。

弱いリスクシナリオとして、FEDの利下げ後、FEDも景気・マーケットの状態がかなり悪いことを認めたと解釈され、利下げの長期間の継続と、それにともなうイールドカーブの更なるフラット化が起き、ドル・円が100円を割る円高のリスクが高まることだ。マーケットのリスクプレミアムが上昇し、株安が企業の心理を悪化させ、持続的な景気拡大がリスクとなる。日銀はETFの買い入れを増額する追加金融緩和に踏み切ることになるだろう。新たな緩和政策を維持するフォワードガイダンスも2021年度末まで長期化されるだろう。年末までに起こる確率は15%程度とみる。また、強いリスクシナリオは、米中の貿易紛争の著しい悪化などで、FEDが予防的な利下げをしても、企業の心理の悪化が止まらずリストラモードに入り、米国経済が景気後退の様相を急速に呈することだ。日銀も、2%の物価目標に向かうモメンタムが失われるリスクが高まったと判断し、現行のイールドカーブコントロールの枠組みの下で追加金融緩和を決断することになるだろう。日銀は10年金利の「0%程度」とする誘導目標と20bp程度の上限を維持しながら、下限はフリーとするだろう。それと合わせて、財政拡大とのポリシーミックスの形にする必要もあり、長期国債の買い入れを必ず実施する最低額を設定し、マネタリーベースの持続的な増加に強くコミットメントするとみる。最低限の買い入れ額のみは、2%の物価目標達成まで維持するという新たなフォワードガイダンスを設定するだろう。年末までに起こる確率は5%程度だろう。

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