インド経済の見通し~景気対策により年後半に底入れも、雇用悪化や輸出停滞で緩慢な成長が続くと予想(2019年度+6.0%、2020年度+6.7%)

ZUU online / 2019年9月5日 19時20分

■(金融政策の動向)年内1回の追加利下げを予想

昨年は燃料価格の上昇や通貨安による物価上昇を警戒してインド準備銀行が2会合連続の金融引き締めを実施したが、12月に政府との不仲が伝えられたパテル総裁が辞任し、モディ首相に近いとされるダス元財務官が新総裁に就任すると風向きが変わった。政府が今年2月1日に選挙対策色の強い来年度予算案を発表すると、RBIは2月7日の会合で政策金利を従来の6.50%から6.25%へと引き下げると共に、当面の金融政策のスタンスを「引き締め」から「中立」に戻した。さらに4月、6月、8月の会合では景気減速を背景にインフレ見通しが落ち着いていることから利下げの余地があるとし、RBIは追加利下げを実施した。政策金利は年明けから1.10%引き下げられて現在5.40%と、約9年ぶりの低水準となっている。とくに8月の会合では、政策金利の引き下げ幅を0.35%とし、事前予想の0.25%を上回る水準としたことで緩和的な政策スタンスが示されている。

先行きについては、4-6月期のGDP統計で大幅な成長鈍化が確認されたこと、米中貿易戦争の激化で輸出停滞が長期化するリスクが高まったこと、先行きのインフレ率が中期目標の中央値を下回って推移する見通しであることから、RBIは10月の会合で0.15%の追加利下げを実施すると予想する。しかし、RBIはこれまでの利下げ効果の確認や世界景気不安を背景とする新興国資金流出への警戒感から一旦利下げ打ち止めとし、その後は景気回復のペースや物価・通貨の動向を見極めながら政策金利を調整していくことになるだろう。

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斉藤誠(さいとう まこと)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 准主任研究員

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