『半分、青い。』から『まんぷく』へ 朝ドラ特集

2018年10月1日更新

毎朝恒例の「朝ドラ」として愛されているNHK連続テレビ小説。先週末で永野芽郁主演の『半分、青い。』が終了し、10月1日より安藤サクラ主演の『まんぷく』がスタートしました。『半分、青い。』の話題を振り返りつつ、『まんぷく』の見どころを紹介します。

前作『半分、青い。』から『まんぷく』へバトンタッチ

『半分、青い。』はどんなドラマだった?

片耳を失聴したヒロイン鈴愛(すずめ)の半生

幼少時に片耳を失聴したヒロイン・鈴愛(すずめ)を軸に、1970年代から2010年代まで彼女を取り巻く故郷・岐阜の人々と、東京で出会った人たちの半生が描かれている。
視聴率も軽々20%越えと絶好調、「漫画家編」で登場した豊川悦司演じる秋風羽織の関連本をはじめ、さまざまなスピンオフ書籍も発売されるなどドラマ周辺もにぎやかだ。

ドラマに出た「五平餅」と「扇風機」がブームに

ドラマで使われた「五平餅」がバカ売れ

「ドラマでは、秋風が自分のイベントに来た鈴愛から“五平餅”をプレゼントされ、いたく気に入るシーンが放送されました。秋風は五平餅を口にした途端〈これは真実の食べ物だ!〉と絶賛。その直後ネットでも話題になり、なんと“五平餅”がTwitterのトレンドにもなりました」(スポーツ紙記者)
五平餅は中部地方に伝わる郷土料理。うるち米を炊いてつぶし、タレをつけ串焼きにしたものだ。美味しそうに五平餅を食べる豊川の姿が印象的だったのか、このシーンをキッカケに五平餅はたちまち注目の的。岐阜県内の老舗五平餅専門店では、軒並み売り上げがアップしているという。

五平餅に続き扇風機ブームも巻き起こす

ドラマの最終盤、鈴愛と幼なじみの律(佐藤健)が扇風機の開発に乗り出すという展開に。ドラマ中で律が開発した“そよ風の扇風機”のモデルになったのは、実在の家電メーカー、バルミューダの「グリーンファン」という扇風機でした。

はじめて朝ドラで扇風機が取り上げられた9月10日以降は、バルミューダ公式HPのアクセス数が今年最高に跳ね上がったというからドラマの影響力は絶大。実際、ツイッターでも「私もバルミューダのそよ風を求めて買った」「こりゃバルミューダの扇風機売れるなー」など、商品自体に注目するコメントも上がっている。

脚本家がSNSを駆使したことも話題に

『半分、青い。』の脚本を担当したのは、“ラブストーリーの神様”とも称される北川悦吏子。その北川が自らドラマ放送期間中にSNSで発信したことも話題になりました。

脚本家が「登場人物の一人」に

今回、いわゆるドラマの中の配役・俳優たちに加えてもう一人、珍しい登場人物が加わりました。「脚本家」自身です。北川悦吏子氏はSNSで逐一ドラマの内容や展開を自ら説明。
従来は黒子的存在だった脚本家が、こうもWebやテレビに出張っては語り「登場人物の一人」となったのも、NHK朝ドラでは見られなかった「珍現象」と言えるでしょう。

恒例の朝ドラヒロイン「バトンタッチセレモニー」

『半分、青い。』ヒロインから『まんぷく』ヒロインへバトン

9月20日、大阪市中央区でNHK大阪放送局でNHK連続テレビ小説の新旧ヒロインによる「バトンタッチセレモニー」が行われた。
登場したのは現在放送中で、9月24日(祝)からいよいよ最終週に突入する「半分、青い。」のヒロイン・楡野鈴愛役の永野芽郁と10月1日(月)で主役の今井福子を演じる安藤サクラ。
最後に旧ヒロインから新ヒロインにバトンタッチ。このセレモニーでは連続テレビ小説のヒロインしか手を触れられない(とされている)特別仕様のバトンが使われる。芳根京子主演の「べっぴんさん」以来使用されているもので、ラインストーンがキラキラ輝き、ヒロインにふさわしい華やかさだ。バトンは永野から安藤にしっかりとオーバーハンドで手渡され、セレモニーを締めくくった。

バトンタッチセレモニー恒例のプレゼント交換は…

バトンタッチセレモニー恒例のプレゼント交換は、永野から東濃名物・栗きんとんと、美濃焼のラーメンどんぶりが、安藤からは『半分、青い。』と『まんぷく』のロゴがあしらわれた袋ラーメンが贈られた。

安藤サクラが永野芽郁を絶賛「私はたくあんみたい」

2人はこの日が初対面。安藤は「私が(『まんぷく』撮影のため)大阪で新生活がスタートしたときと同じくして『半分、青い。』が始まって、芽郁ちゃんのフレッシュさは私にはないなぁ、私はたくあんみたいだと思いながら一視聴者として引き込まれていきました」と永野を絶賛。

豪華な俳優陣など『まんぷく』の話題と見どころ

『まんぷく』のあらすじと放送予定

インスタントラーメン生みの親の夫妻がモデル

10月1日にスタートする朝ドラ「まんぷく」(NHK)。インスタントラーメンを生み出したことで知られる日清食品創業者・安藤百福(ももふく)氏と、その妻・仁子(まさこ)さんの半生をモデルに描かれているこのドラマの舞台は、戦前から高度経済成長期にかけての大阪。安藤サクラがヒロイン・今井福子、実業家の夫・立花萬平を長谷川博己が演じる。実在する人物がモデルだが登場人物や団体名は改称し、あくまでもフィクション作品になるという。

『まんぷく』の放送情報

放送予定:2018年10月1日~2019年3月30日(全151回)。
総合テレビ:月~土 前8:00~8:15/後0:45~1:00(再放送)
BSプレミアム:月~土 前7:30~7:45/後11:30~11:45(再放送)/毎週土曜 前9:30~11:00(1週間分)

『まんぷく』の見どころは?

「必ず人はやり直せる」という敗者復活の物語

2017年11月に行われた制作発表会見で、真鍋斎チーフプロデューサーは本作について次のように語っています。

「若い頃から順風満帆ではなく、晩年に差し掛かった頃に大成功を収めた波乱の人生。この作品は敗者復活の物語。『必ず人はやり直せるんだ』という力強いメッセージを全国の皆さんに届けたい」

脚本はドラマ『HERO』『ガリレオ』の福田靖氏

脚本はドラマ「HERO」や「ガリレオ」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」など人気作を手掛けた福田靖氏が担当。テレビドラマのヒットメイカーが、朝ドラの脚本に初挑戦する。

同じく昨年11月の制作発表会見で福田氏は次のようにコメント。

現在はモデルとなる安藤夫婦の取材を重ね、構想を練っている段階。安藤百福氏の関連資料はあるが、妻・仁子氏に関しての書物や資料は皆無。「オリジナルでやるしかない。僕なりに想像しながらドラマを書いていく」と、夫婦の偉業を軸にオリジナルストーリーで描いていくことを明かした。また、ユーモアやコメディ要素は不可欠だと話し「暗い話にはならないようにする。コメディ要素は52%ぐらいですかね(笑)」とコメントした。

主題歌はドリカム 2度目の主題歌担当は朝ドラ史上初

人気音楽グループの「DREAMS COME TRUE」が、10月1日からスタートするNHK連続テレビ小説『まんぷく』の主題歌『あなたとトゥラッタッタ♪』(作詩:吉田美和 作曲:吉田美和/中村正人 編曲:中村正人)を担当することが明らかになった。ドリカムは、1992年放送の連続テレビ小説『ひらり』でも主題歌を担当しており、同一アーティストが2回目の主題歌を制作して歌うのは、朝ドラ史上初となる。
中村と吉田は「1992年放送開始の『ひらり』では主題歌『晴れたらいいね』を担当しました。それ以来二度目の主題歌担当ということでとても光栄に思っています。笑ったり泣いたり怒ったり、福子さんの萬平さんに対するスペシャルな『愛』をマーチのリズムに乗せて届けます」とコメント。

史上初の「ママさんヒロイン」安藤サクラ

昨年出産したばかりの女児を連れて撮影に臨む

今年10月1日にスタートするNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」のヒロインを演じることになった安藤サクラ。昨年6月に夫である柄本佑との間に女児が誕生したばかりのママさんヒロインの起用は、もちろん朝ドラ初めての試み。安藤は女児を連れて大阪入りして撮影に臨むという。朝ドラの放送は半年に及ぶ長丁場。無事に完走することができるのか、注目を集めている。

オーディションではなくオファーで主役に 一旦断念も

今回、安藤はオーディションではなく、オファーによってその座を射止めた。だが、オファーを受けたのはちょうど「とにかく子どものために過ごそうと思っていた」時期だったそうで、「ずっと憧れていた」という朝ドラへの出演を断念せざるを得ない状況は「とにかく悔しかった」と振り返る。

家族からの後押しで朝ドラ出演を決定

だが、そのことを夫である柄本佑に伝えると、「できるかも知れないよ。考えてみてごらん」と言われたという。さらに、義理の母でもあり、女優をしながら3児を育てた角替和枝からは「これをやらないなら、仕事を辞めちゃいなさい」、義理の父・柄本明からは「やらないわけないだろ」と背中を押され、最終的には夫からの「バカなふりして、受けてみたら?」という言葉で出演を決意。

NHK制作・演出陣も全力サポート

今秋のキャスティングにあたって制作統括の真鍋斎氏は、安藤自身、「このオファーに戸惑いがあったと思うが、覚悟を決めてくれた」とし、「その覚悟に応えるべく、私たち制作・演出陣も全力で安藤さんのお芝居をサポートします」と子育てと朝ドラヒロインの両立を後押しするコメントを発表している。

出産後の撮影は「パワーがみなぎるように」

彼女は朝ドラ史上初めての、育児をしながらのヒロイン! 撮影について聞いてみるとこんな返事が――。
「すべてにおいて母ちゃんになったらパワーがみなぎるようになりまして、すごく体力があるんです。子どもを産む前とは違う体力に自分が驚いています。今だからこそ、福子ができているんだなって感じています」(安藤・以下同)

「『こんなハッピーな時間あるか』というぐらい楽しい」

30代既婚女性で主演、子育てしながらの撮影と、前例のない朝ドラヒロインの道に挑む安藤のインタビュー記事が、第1回放送当日に多数到着。いくつか紹介しておきます。

実力派女優・安藤サクラとは

パルムドール受賞『万引き家族』での熱演が話題に

第71回カンヌ国際映画祭で、日本映画では21年ぶりとなる最高賞「パルムドール」を受賞した『万引き家族』に出演した安藤。映画祭でどのように評価されたのか、映画評論家の立田敦子氏が語りました。

「社会性の強い、鋭い作品が多かった今年、『万引き家族』は、温かな家庭をも描いた。とくに安藤サクラさん演じる信代の掛け値なしの母性を見て、“子供を持つとはどういうことか”をあらためて考えた女性も多かったのではないでしょうか」

審査委員長ケイト・ブランシェットも惚れる演技

「審査委員長のケイト・ブランシェットさんは公式の記者会見でも、演出と撮影と役者、そのトータルでよかったという話をしていましたが、その時は安藤サクラさんのお芝居について熱く熱く語ってくれました。…(中略)…『もし、今回の審査員の私たちがこれから撮る映画の中であの泣き方をしたら、安藤サクラの真似をしたと思ってください』と。それくらい、彼女の、この映画における存在感は大きく、虜にしたんだなということがよく分かりました」(是枝裕和監督)

これまでも国内映画祭で受賞多数の高い演技力

安藤は映画「かぞくのくに」でブルーリボン賞主演女優賞、映画「百円の恋」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど数々の映画祭で賞を獲ってきた実力派女優。2016年、宮藤官九郎脚本の連続ドラマ「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系)で連ドラ初ヒロインを演じ、高い演技力がお茶の間でも話題を呼んだ。

名家の出身 明治から昭和にかけての日本を継ぐDNA

エッセイスト安藤和津さんと俳優・奥田瑛二さんの次女で、お姉さんは映画監督・作家の安藤桃子さん。
曽祖父が昭和の大宰相・犬養毅で、血縁には緒方貞子さんや犬養道子さんもいらっしゃいます。明治から昭和にかけての日本の政治も文筆も映像も芝居もDNAに織り込まれている。なのに「名家出身の女優でございます」感はゼロ。

結婚相手は俳優一家の長男・柄本佑

2012年3月に結婚した夫は俳優の柄本佑。俳優の柄本明が義父、女優の角替和枝が義母。

柄本佑の弟・時生も俳優をしています。

夫役の長谷川博己ほか 豪華な出演者も話題に

松坂慶子、内田有紀、松下奈緒ほか豪華メンバー

今回の連続テレビ小説では、ヒロインの子供時代がなく18歳からスタートするため、初回から安藤サクラが出演する。夫役の長谷川博己も第1回から登場し、この二人の絡みが見所の一つ。さらに、母・鈴役の松坂慶子や姉の内田有紀、松下奈緒、萬平のビジネスパートナーとなる片岡愛之助、姉たちの夫の大谷亮平や要潤など、第1週から豪華メンバーが続々登場する。

朝ドラ史上最年少で語りを担当するのは芦田愛菜

女優の芦田愛菜(14)が、10月1日より放送開始のNHK連続テレビ小説「まんぷく」で語りを担当することが27日、明らかになった。芦田は連続テレビ小説史上、全編を通して語りを務めた人物のなかで最年少となる。

11月下旬からは菅田将暉や岡崎体育も出演

平成30年度後期のNHK連続テレビ小説「まんぷく」の新キャストが発表され、俳優の菅田将暉、ロックバンド MONKEY MAJIK のメイナード・プラント&ブレイズ・プラント、シンガー・ソングライターの岡崎体育が出演することが明らかになった。

安藤サクラ演じる安藤百福の妻・仁子とはどんな人?

夫婦仲が良く笑顔で寄り添う写真が多かった

日清社内で仁子氏について語り継がれていることがあるかを聞かれ、日清食品ホールディングスの広報部次長・大口真永氏は次のように答えています。

大口:私人のため、残念ながら仁子氏の、特に昔の資料などは少ないのですが、「チキンラーメン」開発時、長期間保存でき、しかもお湯を注いですぐ食べられるようにするにはどうすればよいのかを考えていた安藤創業者が、なかなか正解に辿り着けないなか、ある日の夕食に仁子氏が揚げていた天ぷらを見て「麺を油で揚げることも乾燥に使えるのでは?」とひらめき、その後、試行錯誤の末に「チキンラーメン」は完成に至ったのです。
安藤創業者夫妻は本当に仲が良く、晩年の写真も二人で寄り添って笑顔で写っているものが多く、本当に理想の夫婦だと思います。

インスタントラーメン生みの親・安藤百福とは

10月から始まるNHK連続テレビ小説『まんぷく』。そのモデルは、即席ラーメンの生みの親・安藤百福さん夫婦。死去の際、ニューヨーク・タイムズが社説で「人間の進歩の殿堂に不滅の地位を占めた」と追悼した故・安藤百福さん。
47歳で一文無しとなった百福だが、かねてより構想を練っていた即席めんの開発を始める。
1958年、試作品ができあがり、家族総出で梱包し、あちこちに配り歩いた。知人の好評を得て、満を持して世界初の即席めん「チキンラーメン」が発売されたのだ。百福はそのとき、48歳だった。最初は苦戦したが、“2分でできる魔法のラーメン”と認知され、「チキンラーメン」は飛ぶように売れていく。

この後、56歳の時に行った欧米視察で即席カップ麺のヒントを得て、さらに市場を開拓していくことに。常にチャレンジを続けた安藤百福氏の人生は2007年に96歳で幕を閉じました。妻・仁子氏も10年に92歳で亡くなっています。

次作『なつぞら』に比べ重要視されてない?

広瀬すず主演の100作目『なつぞら』のほうが優遇されている?

10月1日の初回放送まで1カ月を切ったというのに、次期朝ドラ『まんぷく』はまったく盛り上がっていない。
「広瀬すず主演で19年に4月スタートする『なつぞら』は、朝ドラ100作目となることで『まんぷく』よりも2カ月早く制作が発表されました。その間、メディアは広瀬ばかりをクローズアップ。8月末にようやく『まんぷく』のビジュアル等の情報が公開され、その主演を安藤サクラが務めることを知った人も多いようです」(テレビ誌ライター)

『なつぞら』が注目される中ハンデ覚悟で挑む安藤

「9月3日発売の『週刊現代』によると、10月からスタートする朝ドラ『まんぷく』が厳しい状況に立たされていると報じています。それによるとNHKやメディアは、広瀬すず主演で19年にスタートする100作目の朝ドラ『なつぞら』ばかりを重要視し、『まんぷく』には注目が集まっていないとのこと。主演を務める安藤サクラは、そんなハンデを乗り越える覚悟で、子育てが大変な時期にもかかわらず、撮影に臨んでいるそうです。この状況に朝ドラファンからは『話題が広瀬すずばかりなのは気の毒』『NHKは「まんぷく」にも力を入れてほしい』という声もあがっています」(前出・テレビ誌記者)

第1週完成試写会での安藤サクラと長谷川博己のコメント

9月4日、『まんぷく』の第1週完成試写会が行われました。その席でヒロイン役の安藤と夫役の長谷川は次のようにコメントしています。

10代を演じることについて安藤は「すいません、32歳です…」

朝ドラと言えば、役の長い人生を演じることも話題になるが、「10代を演じることに関しては悪あがきせず、『笑ってください。すいません、32歳です……』という気持ちです」と恐縮しながらも、「こんなチャンスはなかなかないので、存分に楽しまなければいけないと思いながら日々やっています」と、とにかくポジティブに取り組んでいる様子。

夫役の長谷川は「新しいものが生まれるんじゃないか」

長谷川は「時が経つうちに、時代も変わって、いま、朝ドラは勢いのある番組だな、と思う。いろんな方が出ますし、題材もすごく面白いことやりますし、40歳を超えてヒロインの相手役をやれるなんて、役者人生でなかなかないことだと思いましたし、題材にも興味ありましたし、サクラさんが主役という話でもあったので、ものすごい、新しいものが生まれるんじゃないかなっていう僕の期待もあって、飛び込みました」と、朝ドラへの思いを語っていた。