特集2018年2月16日更新

イノッチ・有働アナ卒業! NHK『あさイチ』特集

NHKの朝の情報番組『あさイチ』のメインキャスターを務める井ノ原快彦(V6)と有働由美子アナウンサーがそろって番組を卒業することが発表されました。2010年にスタートした同番組では、斬り込んだテーマ選びやイノッチ・有働アナの言動がたびたび大きな話題に。今回はそんな『あさイチ』の魅力を特集します。

目次

『あさイチ』の概要とキャスター卒業発表

『あさイチ』はどんな番組?

『あさイチ』は2010年3月29日にスタートした朝の情報番組。NHK総合で毎週月曜から金曜の午前8時15分~9時54分に放送されています。社会問題、政治の話題からエンターテインメント、生活に役立つ情報など、主婦に向けた情報を取り上げています。

イノッチと有働アナの息の合った掛け合い

『あさイチ』最大の魅力として挙げられるのが、司会を務める「イノッチ」こと井ノ原快彦と有働由美子アナの息の合った掛け合いです。

イノッチと有働アナの掛け合いはもはや夫婦漫才の域で、番組内でのトラブルやエピソード、それに対する2人のやりとりがたびたびニュースとして取り上げられるほど。イノッチも有働アナに全幅の信頼を置いているからこそ、安心して自由にできるのです。また、イノッチが暴走した時に止められるのは有働アナしかいません

徹底した女性目線

「“朝だからこんな番組”といった既存のイメージにとらわれず、視聴者が知りたい情報は何かを考えました。同じテーマでも、女性の視点から見るとまったく違ったものに見えるもの。“女性視点”に徹底的にこだわってつくっています」

「攻め」のテーマ選び

過去には、民放が尻込みする「性教育」をテーマにしたり、誰もが疑問に思っいても出来なかった「週刊文春が不倫を取材する意義」を、突撃取材したりした。現在のテレビではなかなか取り組めないものは少なくない。

『あさイチ』が取り上げたテーマは、生理、セックスレス、発達障害、離婚と子育て、援助交際、戦争など多岐にわたります。

「3人そろって卒業」の理由と後任は?

「みんなで辞めたほうがいいと思っていた」

2010年4月から続けてきた同番組を3月末で3人揃って卒業することを発表。井ノ原は当時から「息が合って友達みたいな感覚だった」と明かし、3人で飲みに行ったこともあったという。さらには、「誰か1人が辞めるんだったらみんなで辞めたほうがいいと思っていた」と思いを告げた。

後任は博多華丸・大吉と近江アナ

V6の井ノ原快彦(41)とNHKの有働由美子アナ(48)が3月末で降板する同局朝の看板番組「あさイチ」(月~金曜前8・15)の新司会にお笑いコンビの博多華丸(47)・大吉(46)が起用されることが9日、分かった。近江友里恵アナ(29)とともに3人で番組を取り仕切ることになる。

イノッチと有働アナ 組み合わせの妙

卒業を発表したイノッチ、有働アナ、柳澤秀夫NHK解説委員の3人。特にイノッチと有働アナのキャラクターや言動が話題になりました。

芸能界の「ハンカチ王子」イノッチ

涙する女性にはハンカチを差し出す

16年3月2日の「あさが来た」の朝ドラ受けでも、有働アナが「最後、よかったですね...」と話の途中で涙ぐむと、イノッチは「どうしたんですか、さっきまで普通だったのに」と言いながらハンカチを渡す場面があった。
「イノッチは3月に朝ドラ『マッサン』の出演者がゲストの時にも、有働アナや主役の玉山鉄二、エリー役のシャーロット・ケイト・フォックスはおろか、シャーロットの通訳さんにもハンカチを差し出し、紳士ぶりを披露しました。イノッチがハンカチを差し出すことは珍しくなく、ネット上では『ホントのハンカチ王子』と呼ばれていますよ」(芸能ライター)
「井ノ原はハンカチを差し出す際のコメントも毎回秀逸。以前も涙をためる有働アナに向かって『由美子、いい目をしてるぜ』とウィットに富んだ一言を添えています。場を和ませる司会力はジャニーズのなかでもダントツですね」(前出・芸能ライター)

女性だけでなく男性スタッフにも見せる優しさ

「暑い日の屋外ロケでヤバい、クラクラすると思っていたら、すかさず井ノ原さんがミネラルウォーターを差し出しながら『大丈夫?』って駆け寄ってきてくれたんです。周りには他のスタッフもたくさんいましたが、気づいてくれたのは井ノ原さんだけ。泣きそうになりました」(テレビ制作スタッフ)
別の制作スタッフもこう証言する。
「某テレビ局のラウンジで、携帯電話が突然壊れてしまった時のこと。困っていたら『これ使います?』と井ノ原さんが自分の携帯電話を貸してくれた。その様子がとても自然で、この人はいつもこんな感じなんだろうなと、ホロッときた」

有働アナを番組中でかばったことも

10月15日の『あさイチ』は、セクハラがテーマ。有働アナとともにMCを務めるV6の井ノ原快彦がこうコメントした時のことだ。
「この番組でも縁結びの神様のテーマがあったら必ず有働さんに持っていく。有働さんに対してならいいってわけじゃない。それで笑い取れると思ったら大間違いだぞって思う」
普段、進んで「結婚できない自分」をネタにする有働アナもこのときばかりは目を潤ませた。

女性のデリケートな話題にも寄り添う

夫に閉経を告げた主婦から「主人といいムードになった時、『もう女じゃないんだよな』と言われてショックを受けた」というFAXが。もちろんゲストの3人は大ブーイング。司会の有働アナがイノッチことV6の井ノ原快彦に「イノッチだったらなんて言います?」と振ると、「毎月痛かったのがなくなるんなら、よかったなぁと思いますけどね」と即答。これには番組内外で「イノッチ優しい!」と賞賛の嵐が巻き起こった。

「神発言」もたびたび話題に

たとえば今年6月、「シングル女性」を特集した際、60代を名乗る視聴者から、「ただでさえ結婚しない女性が多い昨今、その風潮を煽るかのような番組はやめてほしいですね。少子化がますます進んでいくのではないでしょうか」というファクスが番組に届いたときのこと。
「文句を言うつもりはないですけど、本当にそれだけが理由なのでしょうか」と切り出したイノッチ。「それよりも、いま『本当につらい』とか『一人でどうしよう』とか不安を抱えた人たちが、どうやって生きていくかっていうことも大事なのでは」と意見した。

視聴者や出演者に対するバランス感覚は「団地育ちの感覚」から

彼は、芸能人の感覚、視聴者の感覚のほか、主婦のような感覚も持ち合わせている。下町の団地で育ち、子供時代は母親の友人たちや、姉の友人たちと行動することが多く、女性特有の世間話や噂話をたくさん耳にした。

奔放すぎる有働アナ

付けまつ毛が生放送でとれる

直前に放送されていた朝ドラ『あさが来た』が鬼気迫るシーンで終わったことを受け、暗い雰囲気で始まったある日の『あさイチ』でしたが…

しかしここから、突然のアクシデントにより、まさかの展開に。有働アナが頭を下げて右目を押さえ始めて間もなく、井ノ原が有働アナの異変に気付いた。顔を上げた有働アナの右目の上まぶたからつけまつげがぶら下がり、揺れていたのだ。有働アナは、
「つけまつげが取れちゃったみたい」
と一言。その瞬間、スタジオは大声で笑い声が飛び交う明るい雰囲気に一変した。

熱愛報道をイノッチに突っ込まれる場面も

デート報道後に初の放送となった26日の『あさイチ』では、直前に放送されていた朝ドラマ『ごちそうさん』の内容に触れて「男って、なんであんなに意地っ張りなんでしょうね?」「男って一線を超えちゃうと戻れないみたいなとこあるじゃないですか」とコメント。井ノ原から「何かあったんですか?」と聞かれると「いやいやいや、ないです」と焦った様子を見せるなど、デート報道を示唆するようなやりとりがあった。

歯に衣着せないサバサバ感と気遣い

「主婦層を中心とした視聴者の共感をつかむようなぶっちゃけトークが抜群にうまい。番組ではセックス関連の際どいテーマを扱うことも多いのですが、これもサバサバしたキャラがあってこそ。自虐や毒舌をまぶしながら主張すべきところははっきりと自分の意見を主張し、周囲への気遣いもできる。女子アナ界の頂点に君臨していると言っても過言ではない」(放送作家)

本音をぶっちゃけて論争も

この日のテーマは「年賀状の家族写真」。年賀状に子供の写真を入れると「幸せの押し売り」「気を使えない人」と思われないかと悩む女性たちの声が紹介された。
有働「あと、学生時代からすごく自慢しいだった人が、“私の息子は私立の○○小学校に入りました”みたいな、完全に自己アピールっていうのは…“はいはい”っていう」
井ノ原「それはちょっと…ね。“ウチすごいでしょ”系」
有働アナに賛同する声が噴出する一方で、子育て世代の主婦や新婚夫婦からは、戸惑いの声も出ている。

「子供がいない生き方」で悩んできた気持ちを吐露

2016年5月放送の「どう思う?"子どもがいない"生き方」という特集では、有働アナが、「とんでもない間違いをしたのではないか。産む可能性、機能があるのに、無駄にしたんじゃないかと。気が狂ったように泣いたりして病院通いした」「仕事がもしなくなったら、みんなには子どもが残るけど、私には結局何もないやんって。そう思いたくないから、これで満足だって思おう思おうっていうような。恥ずかしいほど揺れる」「去年ようやく出産の可能性を諦めて、やっとひとりで生きる自信が出てきた」と発言。悩んできた気持ちを正直に吐露した。

“暴走”も魅力のひとつ?

トム・クルーズのインタビューでは、
「私にとって愛は記憶でしかないんです」
と、自分の体験を愚痴って逆に慰められたケースなどは序の口。
主婦の間で“エア恋愛”がはやっているという特集で、都内の韓流バーへ取材に行った時のこと。有働アナたっての希望で、イケメン2人が有働アナを取り合うという“妄想劇”を繰り広げた。背中から抱き締められると、
「マジになっちゃいそう★」
と、ご満悦だった。

男女関係についてもあけっぴろげに

「ひどいフラれ方をした男の人に『ちょっと飲みに行かない?』と数年経って言われると、へいへい行っちゃうんですよ」
柴咲が「それは何かを期待して行くんですか?」と尋ねると、「別れた後、もっとイイ男になっていたら、すげぇイヤだなと思って。悔しい気になるから」。これには柴咲も「ええっ?」と仰天。MCの井ノ原快彦にも「その男性がボロキレのようになってたら、喜ぶの?」とツッコまれ、有働アナ、顔を両手で覆い「すいません」と恐縮していた。

自らの体験を正直な言葉で語る

11月13日放送の「あさイチ」で、“女性ホルモン”を特集。御年48歳の有働アナはみずからの体験を告白。ニューヨークに赴任していた40歳の時に更年期と診断され、現在も治療を続けているという。

失敗も有働アナの愛嬌?

男性キャスターに「有働さん、ちょっと目を閉じてもらっていいですか?」といわれる有働アナ。しかし、何を思ったか、目を閉じると思いっきりキス顔に。そしてNHKのカメラは、どアップで彼女を捉える。およそ3秒。朝の8時29分のことだ。
あまりの大胆不敵さに、スタジオのゲストたちもキョトン。有働アナは「えっ、違う?」と自身で突っ込み、口元を蚊の模型でふさがれ、終了――。

イノッチと有働アナが作り上げた『あさイチ』の魅力

『あさイチ』名物となった“朝ドラ受け”

“朝ドラ受け”とは?

『あさイチ』の前の番組である、NHK朝の連続ドラマについて司会の井ノ原快彦と有働由美子アナウンサーが、番組が始まってすぐに、それぞれドラマの感想を言い合う現象のこと。NHKはCMがないためドラマが終了した直後に番組が始まり、朝の挨拶の後に「いや~、今日の回は・・・」などその回の感想を忌憚なく言い合う様子が人気で、朝ドラの余韻をそのまま残したような井ノ原と有働の軽妙なかけあいを楽しみにしていた視聴者も多いだろう。

相乗効果で朝ドラの視聴率アップ?

朝ドラファンの間では、「イノッチや有働さんや柳澤(秀夫)さんと感想を言い合うところまでが朝ドラ」と言う人たちも居るし、朝ドラと『あさイチ』をセットで見ている人が多いことが相乗効果になって両番組の視聴率が高いという分析もあるほどだ。

有働アナの百面相も話題に

特に有働アナのリアクションは回を重ねるごとに無防備になり、完全に一視聴者のスタンスではしゃいだり泣いたりしていたので、公共放送のアナウンサーがここまで感情を表に出していいんだ、と驚かされたものだった。彼女の横で毎日一緒にテレビを見ているような、茶の間が地続きでスタジオとリンクしている連帯感によって、朝ドラの楽しみ方は確実に増幅された。

朝ドラ受けがないとロス状態になる人も

実はこの「朝ドラ受けなし」現象は、今年6月にもあり、新コーナーが始まったため番組中に「朝ドラ受け待ちのみなさんごめんなさい」という"お断り"がなされた事が。その際も「朝ドラ受け」ロス状態になった視聴者から悲しみの声が聞こえていたが、一方で「朝ドラ受け」に対する批判の声も一部で寄せらていたようで、有働アナは「(朝ドラ受けを)しないでという声もいただいているので試してみているんだけど・・・」と発言したことも話題になっていた。

朝ドラ受けはイノッチのおばあちゃんを思いやる気持ちから

そんな朝ドラ受け、実は、井ノ原の思いから誕生したという。
「6月5日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)に井ノ原が登場した時、朝ドラ受けは、彼が始めたものだと話していました。井ノ原のおばあちゃんが『一人暮らしだと、朝ドラが面白くても誰にも感想が言えなくてつまらない』と言うのを聞き、そういう人が多いのではと感じた井ノ原がおばあちゃんに語りかけるような気持ちで始めたそうです」(前出・テレビ誌記者)

イノッチと有働アナのコンビ芸?

言いたいことを言いあえる絆

そして、有働アナにもごま油のとっておきの使用法がある模様。「一晩、かかとにごま油をつけておくとツルツルになりますよ」と、不意に明かしたのだ。
この告白を受け、井ノ原は「たまに香ばしい(匂いの)時、ありますもんね」と堂々と指摘してしまうからすごい。有働アナは「バレてた~(笑)?」とリアクションを取ったが、そんな状況であってもビクともしない絆の強さが2人の間にはあるようだ。

イノッチの笑顔と有働アナの上機嫌さ

コメンテーターを務める俳優でタレントの内藤剛志さんは2人の魅力をこう語る。
「『あさイチ』のガソリンはイノッチの馬力のある笑顔とまっすぐな言葉。そしてエンジンは有働さんの素敵な上機嫌と変幻自在な言葉たち。こんな素晴らしい番組に参加できるのがうれしい!」

イノッチのやさしさと有働さんの熱いコメント

女優・タレントの原千晶さんは「女性の性など、さまざまなテーマと真正面から向き合い、きれいごとだけで済ませずに伝えるのが『あさイチ』。イノッチのやさしさと、有働さんのクールなようで熱いコメントが、心に響くんですよね」と語る。

最初は挑戦と思われていた二人の組み合わせ

番組のチーフ・プロデューサーの吉田卓哉さんは、このキャスティングについてこう語る。
「実はイノッチの起用も、NHKでは斬新なことでした。タレントの人をキャスターに採用したことがなかったんです。有働さんもアメリカから帰ってきたバリバリの独身キャリア。主婦向け番組には向かないかもと思っていました。
このコンビを当時解説委員の柳澤秀夫さんがまとめるということで、実はチャレンジングに始められたんです。ところがフタを開けたら名コンビ。今では欠かせない存在です」

鋭く斬り込んだテーマ選び

話題になった“ワキ汗事件”とは?

きっかけは2011年の放送で視聴者から寄せられた苦情でした。

放送中、ワキ汗でベットリと大きなシミができてしまい、視聴者から「ワキ汗を平気で見せて信じられない」と指摘された。有働アナは生放送でそうした苦情ファックスを読み上げ、
「気づかなかったんです。不快にさせてごめんなさい」
と素直に謝罪。

2017年には「女性のワキ汗」を特集

同番組では、ユニクロが実施した「女性のワキ汗どう思う?」という調査データをランキング付したものを紹介。
1位は「清潔感がない」と予想の範疇の回答がランクインしたものの、2位以下の回答が物議を醸している。
『女性のワキ汗どう思う?』
・1位:「清潔感がない」
・2位:「信用ができない」
・3位:「生理的に受け付けない」
・4位:「周りへの配慮ができなさそう」
・5位:「頑張っているな」と思う
この結果を受けて、ゲストの坂下千里子は「女性は汗かかないとでも思ってるんですかね!」と発言。有働由美子アナは思わず「ワキ汗かいてる女は信用ならない、と言うお前が信用できない」との辛辣なコメント。

発達障害特集では栗原類の告白も話題に

「あさイチ」では「増加!夫の発達障害 苦悩する妻」を特集。栗原はゲストとして生出演中、米国に住んでいた8歳の時に、発達障害のひとつ「注意欠陥障害(ADD= Attention Deficit Disorder)」だと診断されたことを告白した。

NHKらしからぬテーマに挑んで大反響

過去には「セックスレス」など、NHKらしからぬテーマに挑み、批判も受けたとか。
「たしかに、2010年の6月と2011年の10月に放送したこの特集は大反響でした。『朝からセックスなど連呼するな』などのお怒りもありましたが、実際は『よくやってくれた』という声が多かったんです。この企画で、その後の特集の方向性も決まりました」

今回紹介した「あさイチの魅力」は、イノッチと有働アナが作り上げてきたもの。4月以降は、『ブラタモリ』などで活躍している近江友里恵アナと、「老若男女に愛されるキャラで朝の顔にふさわしい」として起用された博多華丸・大吉が、どのような新しい「あさイチの魅力」を作り上げていくのか、楽しみですね。