特集2017年5月16日更新
現金、妊娠菌…謎の出品相次ぐメルカリ
先月、フリーマーケットアプリ・メルカリに「現金が出品されている」とネット上で騒ぎとなりました。出品の狙いは「クレジットカードの現金化」とされ、現金の出品が禁止されたあとも“謎の出品”が相次ぎ、そのたびに話題に…。その経緯や問題点などをまとめてみました。
メルカリに「現金」が相次いで出品され物議
「なぜ?」が解明されると「闇が深い」と話題に
下のツイートをきっかけとして、メルカリに現金が出品されていることが4月22日ごろからTwitterで大きな話題となりました。
現金が売れてる…???
— 元鈴木さん (@Motosuzukisan) 2017年4月22日
しかも4万円に7000円以上色付けて…????? pic.twitter.com/vjANCWg5A0
ただ、下の記事には「4月19日ごろからTwitterなどで話題になり始め」とあり、実際に軽く調べてみたところ、13日ごろからじわじわとネット上で指摘されていたようです。
現金3万円を3万4700円で買えるメルカリってやっぱすげーわ pic.twitter.com/PDV8qV7Bj8
— 海 (@kai1125gyamato) 2017年4月13日
目的は「クレジットカードの現金化」か
この「現金出品」という事態、しかも出品されている紙幣の額面以上の値がついていることに「かなり斬新な買い物」「どういうこっちゃ?」「意味がわからない」といった驚きと困惑の声があがり、目的が「クレジットカードの現金化」であることが指摘され始めると、「闇が深い」などの感想が相次ぎました。
「メルカリで現金が売られている」という話、最初に聞いた時は意味不明だったけど、要するにクレジットカードを使って現金を買わせるのか。そして、そんな事をしてでも現金を手に入れたいのは恐らくサラ金の返済で困っている人だと。この世の闇だね… pic.twitter.com/to6oEeMICg
— にゃかがわりょうじ (@nyakagawa_r) 2017年4月22日
メルカリ文化の中における生活保護家庭の比率はたぶん無視できないレベルで高いはず。銀行口座の入金があると生活保護の打ち切りや減額につながるので、アプリ内の売上金で別のものを買う「物々交換」で生活保護に影響せずに実質的な収入を増やすことができる。現金が売られているのはそのわずかな一環
— ashikagunso (@ashikagunso) 2017年4月22日
「ポイント換金」や「マネーロンダリング」目的との指摘も
「クレジットカード現金化よりも“ポイント換金”のためにあるのではないか」という意見もネット上に見られました。事実、商品説明欄に「ポイント消化」「ポイント消費」などと書いてある出品も複数ありました。
(中略)
ポイントには有効期限があるため、メルカリ内で買いたい物がない場合、現金を買って換金するという需要があるのではという意見もありました。
不正に得たお金を取引を通じて正当に得たお金と見せかける「マネーロンダリング」(資金洗浄)に利用されたりするのではないか、などと問題視する意見が相次いでいた。
メルカリは即日「出品禁止」の対応
4月22日からは、「現在発行されている銀行券・貨幣」の出品についても、マネー・ロンダリングを目的とした行為に該当すると判断。すでに出品されているものも含め、取り締まりを進めているという。
2月から現行紙幣の出品を解禁していた
メルカリでは以前から、記念硬貨など希少価値の高い硬貨や古い紙幣の取引は可能だった。その中で、二千円札や、穴の位置がずれた五円玉など、「現行の硬貨・紙幣でも希少価値の高いものを出品したい」というユーザーからの要望があり、今年の2月14日、現行紙幣の出品を可能にしたという。
「現金出品」の何が問題?
「クレジットカードの現金化」とは?
“クレジットカード現金化”とは、クレジットカードのショッピング枠で現金を入手することです。メルカリでは「クレジットカード」が支払いに利用できるため、それを利用すると(1)買い手が申し込む(2)売り手から現金が送られてくる(3)1~2カ月後にクレジットカード会社から請求される、ということになり、2カ月程度前倒しで現金を入手することができます。
つまりは、借金返済などに追われていて「今すぐにでも現金が欲しい!」という人がとる手段ということです。2011年ごろから「換金性の高い商品を購入させて購入金額より安値で買い取る」といった手法をとる「クレジットカード現金化業者」の摘発が続き、そのたびに話題になっています。
クレジットカード会社「換金目的での使用は禁止」
クレジットカード規約上の問題はないのか、日本クレジット協会に問い合わせをしました。カードの利用規約はカード会社によってそれぞれですが、一般的には「換金目的での使用は禁止」とされています。
法的には「ブラックに近いグレーゾーン」
クレジットカード現金化の違法性について、弁護士は「現状ではブラックに近いグレーゾーンにある」と述べていて、業者が摘発された事例では現金化そのものが違法とされたわけではなく、「貸金業法」と「出資法」に抵触したからだといいます。その上で、以下のようにも述べています。
クレジットカード現金化が違法化の方向に向かっているのは間違いありませんので、クレジットカード現金化が規制される法律ができるなど、今後は、クレジットカード現金化自体が違法となる可能性もあります。
「ポイント換金」には「地下経済」発達の危険性あり
下に紹介する東洋経済オンラインの記事では「売上金をメルカリのポイントとして購入代金に利用できる点が銀行を利用できない人に大きな意味がある」として、「地下経済」の爆発的な発達を危惧しています。
長めのコラム記事となっていますので、詳しくは記事をお読みください。
こうした活動が大規模になると、現金がどこにも登場しないままポイントと商品だけが飛び交う「メルカリ経済圏」が政府の把握しきれない地下に発生してしまうことになります。この意味でも現金の出品は違法行為の温床となる危険をはらんでいます。
「クレカで現金購入」政府が禁止要請へ
「メルカリ」などに現金が出品されたことによる、クレジットカードによる現金購入問題は、国会でも取り上げられました。民進党議員の質問に対し政府は、「クレカによる現金購入」を業者に対し禁止要請すると答弁しました。
フリマアプリ「メルカリ」などで現行紙幣が出品された問題をめぐり、「法的に禁止すべきではないか」とただした衆議院議員の質問主意書に対し、政府が答弁書をこのほど公開した。「法的に禁止すべき」との意見には「答えるのは困難」と回答を避けたが、フリマアプリなどを運営する事業者に対しては「クレジットカードで現行紙幣を購入すること」を禁止するよう要請するという。
「現金出品禁止」に対して“高額チャージSuica”大量出品
「こんなの買う人いるの?」再びTwitterで話題に
メルカリが現行紙幣の出品を禁止すると、「それならば…」と言わんばかりに今度はチャージ済みのSuicaが出品され、再びTwitterで話題を呼びました。
メルカリが現金の出品規制したら今度はチャージ済みのsuica出品とか草 pic.twitter.com/NkpSCMh6Qi
— めんつゆ (@mentsuyu0) 2017年4月24日
1万5000円分をチャージしたSuicaを1万8500円で販売するなど、Suicaをチャージ金額+2割程度の価格で販売する出品が相次いだ。購入者の希望に応じた金額をチャージするとうたう出品もある。
目的はやはり現金化か?
交通系ICカードにチャージされたポイントを現金化することは簡単だ。「Suica」を発行するJR東日本の広報担当者によれば、
「Suicaに入金されたポイントは、みどりの窓口で現金での払い戻しが可能です。その際は、手数料として220円を払い戻し額から差し引かせて頂いています」
という。
こちらもすぐに「出品を禁止、順次削除」の対応
同社はITmedia NEWSの取材に対して25日、「チャージ済みSuicaやパチンコの景品など、マネーロンダリングにつながる恐れのあるものは現行の貨幣と同様出品を禁止している」とコメント。「監視を強化し、順次削除している」と明らかにした。
さらには「パチンコの特殊景品」「魚のオブジェ」「領収書」…
「現金禁止」「Suica禁止」ときたところで、次は「パチンコの特殊景品」「魚のオブジェ」「領収書」「パワーストーン」…果ては「ニュートリノ」に至るまで、メルカリと出品者のイタチごっこが続くことに。
パチンコの特殊景品
メルカリで特殊景品売ってるしww pic.twitter.com/VezO0bYEUO
— ゴン猫 (@gon_cat) 2017年4月24日
魚のオブジェ
メルカリの現金一万円札出品の問題
— 犬芝ナコ (@inu4875) 2017年4月25日
『魚のオブジェ』として、またこっそり現金売られててワロタwwwwww
メルカリ運営の監視強化しますって、どこ見てんだよ…https://t.co/9BPrtI2WQX pic.twitter.com/cQXvqBZBuf
旅行券
メルカリで現金の出品が禁止されたからって今度は旅行券が出品されてるし、抜け穴をスルスル抜けて出品する人が多くて運営も大変だ〜 pic.twitter.com/VZhwIO5Vaj
— あやちょん。は6.11参戦🐿 (@chon_skow) 2017年4月25日
領収書
本日メルカリで発見した新たな闇は"領収書"です。 pic.twitter.com/VCVkiKos5q
— おるすわん🐶 (@orusuwaon) 2017年4月27日
パワーストーン(キャッシュバック)
メルカリにキャッシュバックという概念が持ち込まれた模様。さすがにその発想はなかった pic.twitter.com/QEjgQzpvXN
— いぐちようへい (@zephyr7501) 2017年4月27日
ニュートリノ
【クレカ現金化】メルカリに遂にニュートリノ(あんしん保証つき)が出品される。 pic.twitter.com/5rEGn1hM0a
— Honey (@hitoh21) 2017年4月30日
相次ぐ出品問題にメルカリが公式声明を発表
現金化が目的と思われる出品が相次いでいる問題を受け、メルカリは4月27日に「安心・安全への取組みについて」という公式声明を発表。24時間体制での監視など、対応を強化する姿勢を示しました。
メルカリの安全対策によると、問題になったコレクション性のない現金やスイカなど交通系電子マネーの出品について、24時間体制で監視・削除を実施する。
「小島よしお」も!? メルカリの“ヤバい”出品物
「どんなものでも売っている」という“自由さ”の裏側
出品の手軽さと「どんなものでも売っている」という自由さで拡大してきたメルカリだけに、今回の「現金出品」の問題以前にも物議を醸したモノがありました。その一部を紹介していきます。
まずは、今回の現金出品問題と同時に大きく取り上げられたコチラです。
妊娠米
実は「妊娠米」や「妊娠菌」は以前から話題となっていて、今回の騒動で再度クローズアップされる形となりました。
下の記事は2015年に配信されてきた記事で、「妊娠菌」は昔から「妊娠ジンクス」として知られていたことがわかります。
昔から「妊娠は感染する」なんてことがよく言われてますが、実際には「妊娠菌」なんて菌は存在しません。
ただ、いまだに妊婦さんにおにぎりを握ってもらったり、お腹を触らせてもらったりして、ジンクスとして信じている人も多いようです。
そして「妊娠米」とは、「妊娠菌がついている」と“出品者が主張する”お米のことです。今年に入ってメルカリで「妊娠米」がブームになっていることがメディアで取り上げられ、さらに今回の騒動で出品者に批難が殺到する騒ぎとなっています。
「お米と共に妊娠菌をお届けいたします」――。大手フリマアプリ「メルカリ」では、こんな売り文句で数多くの妊娠米が販売されている。いずれも、妊婦の「菌」が付いているという迷信を除けば、どこにでもある普通の米だ。
悪質なんだよ。クックパッドではちみつ離乳食もそうだけど、メルカリに出品されてるから品質保証、と誤解されてる(メルカリほど信用ならないものないけど)。そもそも『妊娠菌』で妊娠するなら、病院で投与するよね?あやふやな医学情報がまことしやかに伝聞され、デマが横行し、現場が混乱している。
— io302 (@io302) 2017年5月1日
真剣に悩んでいる人を騙すのは簡単です。
— 大沢愛 (@ai_oosawa) 2017年5月1日
苦しんで、何とか方法はないのかと思っているところにインチキな「方法」を示すだけでいいんですから。
そういう安易な騙しに走るやつにはヘドが出ます。
創作とは正々堂々の騙しを競うわけですからチョロい手は使いません。
妊娠米の高額売買、許すまじ!
一挙紹介! メルカリの“ヤバい”出品物
ここからは細かい説明はナシ!
過去の面白い出品物を紹介していきましょう!
小島よしお
メルカリで俺が売られていた。
— 小島よしお (@yoshiopiiya) 2017年5月8日
2万円。。 pic.twitter.com/6aGHlhuMeb
泥だんご
5ヶ月前にメルカリで出品した泥だんごが人気すぎてやばい笑
— soichi (@Boring_guy_s) 2015年4月24日
いまだにコメントとイイネくる笑 pic.twitter.com/GPRyJxSfbA
丸みを帯びたティッシュ
メルカリやばい pic.twitter.com/rQRGA7Lc8h
— Shinji Kyama-----chi (@kyakkya29) 2014年11月19日
食いかけのバナナ
メルカリにバナナの食いさし出品しとるやつおるしwww
— 田坂 剛志 (@8_tsu) 2015年6月17日
なんでもありなんだなーw pic.twitter.com/Xjrx2EkUjz
イケメンが使ったイヤホン
メルカリで売ってるモノにも笑ったけどそのコメントにわろたWWWWWWWWWWW pic.twitter.com/AIVWg38KKq
— さよなら (@OORer_kuuS2) 2015年6月15日
復縁できるパウダー
やばいこれ。
— △かなちよ▽ (@mamekanaaaa) 2015年5月12日
メルカリこわい。 pic.twitter.com/uC4MchKjtv
使いかけの口紅&シャンプー
使いかけの口紅やシャンプー、空のシャンプーボトルなど。西成の泥棒市でももう少し良い物売ってるぞ…。もう違う国の違う文化圏で行われている経済活動と思い込むしかない(;´Д`) #フリマアプリ界の西成 #メルカリのヤバい商品 pic.twitter.com/N7PqGJv58E
— 赤祖父 (赤ソファ) (@akasofa) 2016年2月28日
コピーMD
明らかに著作権的にアレですごくメルカリの西成感を象徴してる。実際西成の泥棒市でもコピーDVDとか売ってるけど…。 #フリマアプリ界の西成 pic.twitter.com/Lb9J6wVeIZ
— 赤祖父 (赤ソファ) (@akasofa) 2016年2月29日
片方だけの靴&元彼からの手紙
フリマアプリ界の西成ことメルカリに出品されていた品々
— ヤスコ ッティーナ (@okarinaaa) 2015年11月25日
使いさしの香水、片方だけの靴、そして元彼からの手紙 #フリマアプリ界の西成 #メルカリのヤバい商品 pic.twitter.com/gx8BBkD6xP
名札付きの体操着
使いかけの化粧品やネタに見慣れた俺が震えるといえばこれ。JKのじゃなく、着なくなった息子の体操着を母ちゃんが売ってるパターン多め。 #フリマアプリ界の西成 pic.twitter.com/6Nioo2Eyju
— ❁あさぽん❁ (@ringoanejico) 2016年2月19日
女の子
メルカリの闇を見た pic.twitter.com/KYydIFBRvU
— 【Rush】もろっこ@げーむ (@Truck_Morocco) 2017年3月21日
愛犬に噛まれた靴
てか旭川のお祭り行った日JRだ暇だったからメルカリみてたらめっちゃやばいのあって1人でにやけてたんだけど履くことを目的にしないでくださいってどういう意味なのか(笑)靴の臭いでもかいでくださいみたいな感じなのかな(笑)(笑) pic.twitter.com/Six7ApPdiA
— みづきち! (@mizukichiii0731) 2015年6月8日
友達のすね毛
メルカリにやばいの売ってるぞw pic.twitter.com/mkTqWCxliX
— タ膣テトマト (@Tomtom2125) 2015年4月6日
今回の騒動は、スマホで簡単に出品できる“手軽さ”と「どんなものでも売っている」という“自由さ”が生み出すメルカリの闇の部分が、これまでの「ネット上のネタ」というレベルを超越して社会問題として露見した形といえます。また、若年層の支持を集めて急成長を遂げ、「リユース(中古品売買)業界に異変をもたらした」とさえいわれるメルカリが、“手軽さと自由さ”でモノにした成功の代償として、“不正な出品物の規制”という壁にぶち当たったともいえるでしょう。
「自由」と「規制」。相反する2つの課題に対してどう挑むのか。今後の運営側の舵取りにも注目したいところです。