フィギュアスケート・グランプリファイナル2018

2018年12月9日更新 / 12月5日公開

フィギュアスケートの世界一を決めるグランプリシリーズのファイナルが、12月6日(日本時間7日)よりカナダ・バンクーバーで開催されます。男子のエース・羽生結弦は残念ながら欠場しますが、平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨や女子の新星・紀平梨花など、見どころは満載です。それら注目の日本選手も含め、男女シングルの出場選手の情報をまとめました。大会が始まれば競技結果も随時更新していきます。

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宇野昌磨(C)日刊ゲンダイ

フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月11日 10時0分

フィギュアスケート男子の2018年平昌五輪銀メダリストで、世界選手権を連覇した宇野昌磨(26)が9日、自身のSNSで現役引退を表明した。「5歳の時にスケートと出会い、21年間続けることができ、素晴らしい競技生活を送れたことにとても感謝している」などとつづり、14日に記者会見を開くという。 [全文を読む]

女子シングルの結果

紀平梨花がザギトワを抑え優勝

女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位の紀平梨花(関大KFSC)が150.61点、合計233.12点で優勝。浅田真央以来、日本勢13年ぶりとなるシニア1年目のファイナル制覇を達成した。SP2位の平昌五輪女王アリーナ・ザギトワ(ロシア)は148.60点、合計226.23点で2位だった。
女子シングル順位表
1位 紀平梨花(日本) 233.12
2位 アリーナ・ザギトワ(ロシア) 226.53
3位 エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア) 215.32
4位 坂本花織(日本) 211.68
5位 ソフィア・サモドゥロワ(ロシア) 204.33
6位 宮原知子(日本) 201.31

男子シングルの結果

宇野昌磨2大会連続2位 ネイサン・チェンが2連覇

男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)2位の平昌五輪銀メダリスト・宇野昌磨(トヨタ自動車)は183.43点をマーク。合計275.10点で2位となった。SP1位の世界選手権覇者ネイサン・チェン(米国)が189.43点をマークし、合計282.42点で2連覇を飾った。
男子シングル順位表
1位ネイサン・チェン(アメリカ)282.42
2位宇野昌磨(日本)275.10
3位チャ・ジュンファン(韓国)263.49
4位ミハル・ブレジナ(チェコ)255.26
5位キーガン・メッシング(カナダ)236.05
6位セルゲイ・ボロノフ(ロシア)226.44

女子ショートプログラムの結果

紀平梨花が世界最高で首位

フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは6日、バンクーバーで開幕し、女子ショートプログラム(SP)でGPデビューシーズンの16歳、紀平梨花(関大KFSC)が冒頭で大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決め、ルール改正後の世界最高となる82.51点でトップに立った。
女子ショートプログラム順位表
1位紀平梨花(日本)82.51
2位アリーナ・ザギトワ(ロシア)77.93
3位エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)70.65
4位坂本花織(日本)70.23
5位ソフィア・サモドゥロワ(ロシア)68.24
6位宮原知子(日本)67.52

【1位】紀平梨花

紀平はドビュッシーの「Clair de Lune」のメロディーに乗せて優雅に、そして力強く舞った。冒頭の代名詞トリプルアクセルを完璧に決めると、3回転フリップ―3回転トウループのコンビネーションも綺麗に着氷。最後の3回転ルッツも決めた。演技後は日の丸が揺れる中、万雷の拍手。会心のスケーティングに16歳の超新星からはガッツポーズも飛び出した。
「点数を見たときはびっくりした。想像もしていなかった点数だった。今はうれしい気持ちと、ショートプログラムで(3回転半を)決められたから、フリーも自信を持って挑めると思う。ここで気を抜かずに、今はフリーのことだけを考えたい」と話した。

【2位】アリーナ・ザギトワ

平昌五輪金メダリストでファイナル連覇を目指すアリーナ・ザギトワ(ロシア)もミスはなかったが77.93点で2位。紀平との差は4.58点。
まさに異次元の戦いだった。ザギトワも決して悪くはなかった。しかし上がいた――。3つのジャンプはしっかりと決めて、加点も獲得した。構成点(PCS)は35.83点で紀平(35.15点)を上回ったが、技術点(TES)で5点以上差がつけられた。
「私はただナーバスだったんだと思います。とにかくナーバスだった。それで頭がいっぱいでした。そのことばかり考えて、心も離れてしまっていた。だけど、切り替えて進まなければならない」

男子ショートプログラムの結果

ネイサン・チェンが首位 宇野昌磨が僅差の2位

男子のショートプログラム(SP)が行われ、4年連続出場となる日本の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)は最終滑走で登場。冒頭のジャンプで手をついたが、91・67点で2位発進となった。昨年王者のネーサン・チェン(米国)が自身の今季最高を更新する92・99点で首位に立った。
男子ショートプログラム順位表
1位ネイサン・チェン(アメリカ)92.99
2位宇野昌磨(日本)91.67
3位ミハル・ブレジナ(チェコ)89.21
4位チャ・ジュンファン(韓国)89.07
5位セルゲイ・ボロノフ(ロシア)82.96
6位キーガン・メッシング(カナダ)79.56

【1位】ネイサン・チェン

チェンは冒頭のトリプルアクセル、続く4回転フリップは完璧だったが、最後のコンビネーションで失敗。単発のジャンプとなってしまった。演技後は苦笑いを浮かべたが、92.99点はシーズンベストだった。

【2位】宇野昌磨

宇野のSP曲は「天国への階段」。冒頭の4回転フリップで手をついてしまうミスがあったが、4回転トーループ―2回転トーループのコンビネーションジャンプ、3回転アクセルはしっかりと着氷。首位のチェンから1・32点差の2位につけた。
SP後に会見に臨んだ宇野は「とてもよくなかったSPだった。練習がもっと良くなかったので、まだ飛べた方かなとは思いますけど。日本で練習してきたことはあまり出せなかった」と唇を噛んだ。
「明確な理由は特には分からないですけど、僕も驚くほど過去にないほど調子が悪かった。自分でも驚いていた」と不調の中でも、それでも首位のチェンから1・32点差の2位につけた。最後は「明日までに切り替えてフリーではより良い演技をしたい」と逆転Vへ意気込んだ。

フィギュアスケート・グランプリファイナル2018の概要

「グランプリファイナル」とは

「グランプリファイナル」は、例年10月から11月にかけて世界6カ国で開催されるフィギュアスケートのシリーズ戦「グランプリシリーズ」のポイント上位選手6名が出場する決勝大会。今年のグランプリシリーズは、スケートアメリカ、スケートカナダ、フィンランド杯、NHK杯(日本)、ロステレコム杯(ロシア)、フランス杯の順で開催され、「世界一決定戦」とも称されるグランプリファイナル進出へ向けた激しくも華麗な戦いが繰り広げられました。

開催日程

12月7日(金) 12時45分~ 男子ショートプログラム
14時00分~ 女子ショートプログラム
12月8日(土) 12時5分~ アイスダンス リズムダンス
13時20分~ ペア ショートプログラム
14時35分~ 男子フリースケーティング
12月9日(日) 6時55分~ 女子フリースケーティング
12時00分~ アイスダンス フリーダンス
13時20分~ ペア フリースケーティング
12月10日(月) 7時00分~ エキシビション

※表中の日時はすべて日本時間

放送予定

テレビ朝日系で放送

12月7日(金) 19時30分~ 男女ショートプログラム
12月8日(土) 18時56分~ 男子フリースケーティング
12月9日(日) 21時~ 女子フリースケーティング

グランプリファイナル 男子シングル出場選手

宇野昌磨(日本)

スコア順位合計ポイント
第2戦 スケートカナダ277.251位(15)30
第4戦 NHK杯276.451位(15)

カナダ・日本大会でいずれも優勝

カナダ杯に続いて、先日行われたNHK杯でも優勝。課題だったジャンプのクオリティにも磨きがかかり、成長めざましいといえます。
IOCが運営する五輪専門サイト「オリンピックチャンネル」も「ショウマ・ウノはGPシリーズで2つのタイトルをコンプリートした」と見出しを打って特集している。
「ショウマ・ウノは来月のGPファイナルに向けてNHK杯で十分な優勝を収めた」と記した上で「スケートカナダでの優勝以来の一戦で、ロシア人(ボロノフ)に20点以上もの差をつけての十分な勝利。今季GPシリーズで2勝目を挙げた」と大差をつけた圧勝をレポート。「20歳の技術点はボロノフの80.55に対して94.18点。彼の演技はリンク上で最も高いものだった」と評価している。

気持ちを隠さず表に出す演技を

NHK杯前の記事では、気持ちを表に出していくという内面の変化を語っています。

「僕は元々冷静でもないですし、すごく負けず嫌いですし。その時に思った気持ちをもう隠さずに出そうと思っているので」。
いままでは表に出さずにいた熱い心、それを隠さずに表に出そうと決めたのだという。大きな変化だ。エキジビションの演技についても、以前よりもとても良く踊り、表現するようになったと感じている。本人の言葉によれば「以前よりも恥ずかしさがなくなった」のだという。今後の彼のさらなる進化を確信し、これからの演技がますます楽しみでならない。

ネイサン・チェン(アメリカ)

スコア順位合計ポイント
第1戦 スケートアメリカ280.571位(15)30
第6戦 フランス杯271.581位(15)

フランス杯では逆転優勝

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フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦フランス杯は24日(日本時間25日)、男子フリーが行われ、世界選手権王者のネイサン・チェン(米国)が184.64点をマークし、合計271.58点で優勝。
3本の4回転を成功させ、見事に逆転Vを飾ったチェン。スケートアメリカに続いて連勝を飾り、GPファイナルを決めた19歳

名門・エール大の学生とスケーターの“二刀流”

今季から名門エール大に進学し、文武両道で頂点を目指す世界王者がどんな演技を見せてくれるのか、期待がかかる。
スケートアメリカでは280.57点の高得点を叩き出し、2位に40点近い差をつけて優勝したチェン。その後、フィンランド大会で羽生結弦(ANA)がマークした得点(297.12点)にこそ抜かれたが、堂々の世界2位だ。

ミハル・ブレジナ(チェコ)

スコア順位合計ポイント
第1戦 スケートアメリカ239.512位(13)26
第3戦 フィンランド杯257.982位(13)

第3戦表彰台での自撮りショットが話題に

ブレジナが公開した1枚は表彰台の上での自撮りだった。手前で白い歯をのぞかせるチェコの28歳ブレジナの横には、右手にメダルを持ち、左手には花束を携え、穏やかな笑みを浮かべる羽生の姿が。さらにその隣にいた羽生の“弟弟子”、韓国の17歳チャ・ジュンファンも誇らしげだった。
金銀銅トリオの3ショット。リラックスした様子で、仲の良さも伝わってくる1枚だ。ブレジナは「ヘルシンキでの驚くべき大会!全てのサポートに感謝します。次へ向かうよ」とつづり投稿。返信欄にはファンからの祝福と喜びの声が続々と届いている。

セルゲイ・ボロノフ(ロシア)

スコア順位合計ポイント
第1戦 スケートアメリカ226.443位(11)24
第4戦 NHK杯254.282位(13)

進化を続ける31歳のベテランスケーター

昨年のNHK杯では優勝、今年も宇野に次ぐ2位という好成績を収めているセルゲイ・ボロノフは31歳の大ベテラン。今季のフリー『Way Down We Go』は、7月に刺殺されたソチ五輪銅メダリストのデニス・テンさんが振り付けを担当したプログラムで、天国から見守るテンさんを思いながらのスケーティングに注目です。

チャ・ジュンファン(韓国)

スコア順位合計ポイント
第2戦 スケートカナダ254.773位(11)22
第3戦 フィンランド杯243.193位(11)

「韓国のユヅ」の異名を持つ17歳

ジュニアクラスでは表彰台の常連だったジュンファン。昨年シニアのGPシリーズにデビューすると、一気に注目を集めた。そのスター性から「男キム・ヨナ」といわれたジュンファンは、いつしかスケートファンから「韓国のユヅ」と呼ばれるようになった。
「人となれ合おうとせず、いつも一定の距離を置こうとするのが羽生。でもジュンファンだけは気になるのか、なぜか目をかけていました。羽生の演技を毎日間近で見ながら、時にはアドバイスを受ける。今では滑り方も羽生の影響を色濃く受けています」(前出・フィギュア関係者)

キーガン・メッシング(カナダ)

スコア順位合計ポイント
第2戦 スケートカナダ265.172位(13)20
第5戦 ロステレコム杯220.755位(7)

棄権した羽生に代わり地元カナダの26歳がファイナル初出場

GPシリーズを連勝していた羽生はこの日、右足首の負傷により棄権を発表。スケートカナダで2位、ロシア杯で5位だったメッシングが繰り上がりとなった。26歳のメッシングはGPファイナル初出場となる。

メッシングは身長163cmと小柄ながら、エンターテイメント性に溢れる演技で観客を楽しませてくれるタイプの選手。地元大会の第2戦スケートカナダでは2位に入り、26歳にしてグランプリシリーズ初の表彰台に上がっています。ファイナルの開催地も地元カナダなので、好成績に期待できそうです。

グランプリファイナル 女子シングル出場選手

アリーナ・ザギトワ(ロシア)

スコア順位合計ポイント
第3戦 フィンランド杯215.291位(15)30
第5戦 ロステレコム杯222.951位(15)

グランプリシリーズ連勝と波に乗る平昌五輪金メダリスト

グランプリ(GP)シリーズ第5戦ロステレコム杯は17日、女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)で自身が持つ世界最高得点を更新したアリーナ・ザギトワ(ロシア)が142.17点をマーク。合計222.95点でGPシリーズ連勝を果たし、ファイナル進出を決めた。羽生結弦(ANA)とともに五輪覇者として貫禄の強さを見せつけた女王に対し、海外メディアは「ハニュウにできることがザギトワにもできる」と賛辞を送っている。

紀平梨花(日本)

スコア順位合計ポイント
第4戦 NHK杯224.311位(15)30
第6戦 フランス杯205.921位(15)

グランプリシリーズ初出場から2連勝

GP初出場のNHK杯に続く2連勝を果たし、シリーズ上位6人で争うGPファイナル(12月6日~カナダ)への出場を決めた。シニアデビュー年の初参戦にしてファイナル進出は、浅田真央に続く快挙だ。
大技のトリプルアクセルばかりが話題になる紀平だが、強みはそれだけではない。
「スピンは回転が速く、軸がぶれない。ステップでは、インとアウトエッジが正確に氷をとらえています。いずれもレベル4の高得点です。幼少期からバレエや体操を習っていたせいか、柔軟性と表現力も持ち合わせており、トリプルアクセルは伊藤みどりのダイナミックさと浅田真央の軽やかさを合わせ持った素晴らしいジャンプです」

フランス杯の演技に海外からも称賛多数

浅田真央の元コーチでロシア・フィギュア界の重鎮であるタチアナ・タラソワ氏が母国の放送局で解説を担当した際に、紀平の演技を評価しメンタル面を称賛するコメントをしています。

予定されていた2本目のトリプルアクセルがダブルアクセルになり、着氷でこらえ気味になる場面が見られた演技途中では「彼女は全体的にそんなにいい状態ではないけど、とても頑張っている」と立て直した技術を評価。演技終了後にも「今日、彼女は簡単ではなかった。簡単ではなかったわ」とコメントした。
さらに実況が「彼女は精神的に強いですね」と評すると、タラソワ氏も「ステップに少し乱れもあったけど、彼女は持ちこたえた。なんて意志の強い少女なの」と続き、冷静さを失わずに踏ん張った演技に拍手を送っていた。

ソチ五輪団体銅メダリストのアシュリー・ワグナー(アメリカ)も、紀平の演技を高く評価しています。

ソチ五輪団体銅メダリストのアシュリー・ワグナー(米国)もその実力を高く評価していた。フランス杯フリーで138.28点をマーク。合計205.92点を叩き出した際に、自らのツイッターを更新し、「リカがオリンピックチャンピオンになる。今から言っておきます」とつづった。シニアデビュー直後に爆発的な活躍を見せる紀平は五輪女王に輝くと、名手ワグナーは確信している。

国際スケート連盟(ISU)公式サイトや海外メディアもそれぞれ賛辞を送る記事を掲載。

海外メディアは「ザギトワとの一騎打ち」に注目

ロシアメディアも平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワと、鮮烈なシニアデビューを飾った紀平梨花(関大KFSC)の16歳対決に注目。「どちらが勝つか結論を出すのは難しい」と一騎打ちを予想している。
米メディアでは鮮烈なシニアデビューを飾った紀平梨花(関大KFSC)を特集。
「五輪女王のアリーナ・ザギトワを倒す人間がいるとすれば、キヒラなのかもしれない。彼女は最高のポテンシャルを有している」と特集では平昌五輪女王ザギトワを倒せる存在として紹介している。

宮原知子(日本)

スコア順位合計ポイント
第1戦 スケートアメリカ219.711位(15)28
第4戦 NHK杯219.472位(13)

グランプリシリーズ第1戦を優勝で飾る

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦、スケートアメリカが21日、米ワシントン州エバレットで行われ、女子はショートプログラム(SP)首位の宮原知子(関大)がフリーでもトップの145.85点をマークし、合計219.71点で大会2連覇した。GPシリーズ通算3勝目。
23日、帰国して大阪(伊丹)空港で取材に応じ「今回はだいぶいい感覚でジャンプが跳べた」と収穫を口にした。
昨季の同時期は故障の影響に苦しんでいただけに「緊張の中で、手応えがあった」と絶好の船出に充実の表情。

「ミス・パーフェクト」の異名 NHK杯の演技を海外メディアが称賛

演技後にはスタンドから巻き起こる、スタンディングオベーションに会心の笑顔を浮かべる宮原の美しさに「ハッ!」とおもわず絶叫してしまった実況アナ。そして、「ブリリアントだ!まさにブリリアントだ!完璧だ、サトコ・ミヤハラ」と最上級の賛辞を並べていた。

エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)

スコア順位合計ポイント
第2戦 スケートカナダ203.321位(15)26
第4戦 NHK杯219.023位(11)

第2戦で優勝、第4戦でも圧倒的な演技を見せた“ロシアの皇后”

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦、NHK杯は9日、女子ショートプログラム(SP)を行い、第2戦のスケートカナダを制したエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)は冒頭のトリプルアクセルを完璧に成功させて、自己ベストの76.17点で首位に立った。
76.17点は優勝したスケートカナダでのSPのスコア(74.22点)を上回る快記録。圧巻演技に、ルーマニアのフロレンティナ・トーン記者が展開するスケート専門メディア「インサイドスケーティング」公式ツイッターも「NHK杯でのエリザベータ・トゥクタミシェワのトリプルアクセルについて話そう。とても簡単に見えた。彼女にはより多く回転を加える事ができる。皇后にとっては簡単なことなのだ」と最大限の賛辞を送っている。

日本人からも愛される親日家スケーター

親日家の21歳は、ロシア語、英語と併記する形で「私は私の道を行く。何があっても戦い続ける。だって、私には最高のコーチと最高の友達、そして最高のファンがいるんだから。私はこの競技を心から愛しているの」と日本語で感謝のメッセージをつづっている。
15年の世界女王もエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)、アリーナ・ザギトワ(ロシア)ら母国の若手選手に押され、苦しい時代を過ごしたが、今季はGPシリーズ初戦のスケートカナダで優勝。そして、NHK杯で完全な復活ぶりを示してみせた。日本人からも愛される実力派スケーターの輝きは、ここからさらに増していく。

坂本花織(日本)

スコア順位合計ポイント
第1戦 スケートアメリカ213.902位(13)24
第3戦 フィンランド杯197.423位(11)

第3戦では7位から巻き返して表彰台に立つ

ショートプログラム(SP)7位の坂本花織(シスメックス)がフリーで2位の140.16点と巻き返し、合計197.42点で3位となった。第1戦のスケートアメリカは2位で、今季のGP2戦連続の表彰台。
第1戦のスケートアメリカの2位に続き、表彰台に立ち「(7位の)ショートプログラムがだめだめだったが、(2位と巻き返した)フリーはしっかり切り替えられてできた」。

ファイナルに備えて“ぶっ通し”150分の猛練習

カナダ・バンクーバーに着いても猛練習してファイナル本番に備えているようです。

ファイナルに向け、坂本花織(シスメックス)が4日(同5日)にバンクーバー郊外で2部練習を行った。坂本、紀平と日本勢3人そろって90分の氷上練習を行い、整氷後すぐに60分滑り続ける猛練習だった。ショートプログラム、フリーとも曲をかけ、ルッツ―トーループの連続3回転ジャンプなどを成功させた。

ソフィア・サモドゥロワ(ロシア)

スコア順位合計ポイント
第1戦 スケートアメリカ198.703位(11)24
第5戦 ロステレコム杯198.012位(13)

“隠れていた逸材” 地元メディアも躍進に驚き

今シーズンがシニア1年目となるソフィア・サモドゥロワは紀平やザギトワと同じ16歳。初戦で3位、第5戦では2位という好成績を挙げて、“隠れていた逸材”と地元ロシアのメディアからも注目を浴びているようです。

記事では、ロシアの重鎮アレクセイ・ミーシン氏の教え子であるサモドゥロワは今季がシニアデビューとなり、コーチすらも大きな結果を期待していなかったとし、母国の女王エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)が進めなかったGPファイナルに進出を決めた16歳の躍進を驚きをもって伝えている。
「ジュニア時代、ほとんど彼女は目に止まらず、トゥトベリーゼ一門の神童たちの陰に隠れていた」と記した上で16歳のキャラクターについても紹介。シベリア出身で、当地特有の何事にも屈しない強い性格を持っているとされ、さらに憧れの選手はアシュリー・ワグナー(米国)、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)、そして、羽生だという。

メディア「ライバルたちにはまだ及ばない」

別のロシアメディアは16歳の若き才能を認めつつも6位と予想しています。

GPファイナルのプレビューを展開しているのはロシアメディア「sports.ru」だ。「バンクーバーで行われるGPファイナルではロシア対日本の3対3のダービーが我々を待っている。女子シングルの展望を予想してみよう」として、順位予想している。
6位はこちらも16歳のソフィア・サモドゥロワ。「彼女の演技は世界的なレベルにあるが、そのレベルは(GPファイナルの)ライバルたちにはまだ及ばない」と寸評。

羽生結弦とメドベージェワは出場ならず…

羽生はケガで欠場

11月17日、第5戦フリーの公式練習中に転倒

練習中に4回転ループの着氷に失敗し、転倒した際に右足首を故障。痛み止めを飲み、17日のフリーは右足に負担がかからない演技に変更して臨んだ。競技後には松葉杖をついて表彰台に上がったが、チームドクターの触診で、前下脛腓靱帯損傷、三角靱帯損傷、腓骨筋腱損傷の疑いで3週間の安静が必要と診断された。

転倒直後の羽生「ジャンプの構成を変えなければならない」

「転倒した際、羽生くんは10秒ほどうずくまっていました。そして立ち上がると、何か考えながらリンクを滑っていました。私は『あのとき、何を考えていたのか』と尋ねました。すると彼は『転んだときに動かなかったのは、どれだけ痛めたのかを確認していました。その後で滑りながら考えたのは“ジャンプの構成を変えなければならない”ということ。どう変えるべきかをシュミレーションしていました』と答えたんです。つまりケガから15秒ほどで、もう次の展開を考えていたということ。これには、驚きを隠せませんでした」

アクシデントを乗り越え第5戦も優勝で終える

第5戦ロステレコム杯は17日、男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)で世界最高得点を更新した羽生結弦(ANA)が167.89点をマークし、合計278.42点で自身初のGPシリーズ連勝で通算10勝目。当日の公式練習で右足を痛めるアクシデントがありながら絶対王者が不屈の魂で2年ぶりのGPファイナル進出を決めた。指導するブライアン・オーサー氏は「本当に勇敢だ。彼を誇りに思う」と強行出場した教え子に賛辞を送っている。海外メディアが伝えている。

ちなみに羽生は、第3戦フィンランド杯も優勝し、合計ポイントや合計スコアによりグランプリシリーズ首位でしたが、ファイナルは欠場となりました。

ファイナル欠場の羽生に憧れの名手が回復を祈るツイート

ロシア杯フリーの公式練習で負った右足首の負傷により無念の欠場となった羽生。世界のファンに落胆する声と回復を願う声が広がっているが、羽生が憧れる米国の名手ジョニー・ウィアー氏も反応。GPファイナル欠場を報じたニュースを引用し、「早く良くなってね、Yuzu-kun(ユヅくん)!」とツイートしている。

ISUも回復を願うコメント

国際スケート連盟も「私たちはユヅル・ハニュウの早い回復を願っています」と公式インスタグラムにメッセージを掲載するなど、唯一無二の王者を思う声は海外にも広がっている。

メドベージェワは不調でファイナル出場逃す

第6戦では自己ワーストの4位 表彰台とファイナルを初めて逃す

平昌五輪銀メダリストの“女王”エフゲニア・メドベージェワは、第2戦スケートカナダで3位と振るわず、第6戦フランス杯で復活優勝を狙っていましたが、シニアデビュー後自己ワーストの4位に終わり、ファイナル出場を逃しました。

メドベージェワはシニアデビューした15-16年シーズン以降、世界選手権2度制覇、平昌五輪銀メダルを始め、3シーズンで出場した大会すべてで2位以上を確保。しかし、今季は不調が続き、前戦のスケートカナダで3位に終わると、今回は表彰台も逃した。シニアデビュー以降、初となる結果となった。

「ミスを認めます。弱気な考えがあった」失意の心境明かす

IOC運営の五輪専門サイト「オリンピックチャンネル」公式ツイッターによると、試合後は「100%精神的な問題です。ミスを認めます。弱気な考えがあった。切望していました。力が入りすぎてしまった。思ってもいませんでした」と話したという。また、同公式サイトでは「心をコントロールできなかった。考えてもいませんでした。そう、このプログラムを諦めてしまったんです。これから私たちは改善していかなければいけない」とのコメントも紹介している。

“皇帝”プルシェンコやタラソワ氏らがコメントを発表

ロシアの“皇帝”エフゲニー・プルシェンコが、自身のInstagramでメドベージェワに対して愛情あふれるメッセージを投稿しています。

ジェーニャへ。あなたのファンや友人たちは常に君をサポートするよ! スポーツマンはロボットではない。人間なんだ。
君は間違いなく、臆病者なんかじゃない。強い少女だ! さらに上へ、突き進むんだ! 私たちは君を信じているし、いつだって味方さ!

また、ソチ五輪団体銅メダリストのワグナーも、女王の復活を願うコメントを発表しています。

「エフゲニアはいまだ女王」とメドベージェワに敬意を払った上で「今年は精神的に、彼女が今まで経験したものとは全く異なる。私たちは見守り、彼女が問題を把握するまで待つべき。彼女は必ず問題を突き止めるから」と周囲はそっと見守ってあげることが重要と力説。今後に向けても「彼女のキャリアはまだ長く、これには時間が必要」とつづった。
メドベージェワは今季、エテリ・トゥトベリーゼ氏からブライアン・オーサー氏に師事。ロシアからカナダに拠点を移し、環境は一変した。まして体型変化も伴う年代。難しさはあるが、本人は必ず復活の糸口を見つけ出すとワグナーは断言した。

ロシアのタラソワ氏は、メドベージェワを厳しく叩く母国の世論に苦言を呈しています。

メドベージェワはこれまで多くの勝利を積み重ねてきたが、「これももちろん、全て忘れ去られた。私たちは誰も何も覚えていない。私たちは(物事を)覚えていない国民よ」と過去の実績を忘れたかのような批判的な世論に苦言。「彼女はそれくらいの年齢よ。長くスケートしたい人は敗北を経験しなければならない」と長いキャリアでは挫折も必要と説いたという。

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