特集2017年3月21日更新

しのぎを削る回転寿司4強の戦い

高クオリティだったり個性的で話題を呼ぶサイドメニューを提供したり、高級路線に変更したりと何かと話題の回転寿司業界。大手4社は「四天王」と呼ばれ、しのぎを削っています。各社の2016年の振り返りと今後の動きについてまとめてみました。

回転寿司業界の4強

回転寿司業界はこの10年で売り上げが約1.5倍に増加、2016年は6117億円規模の市場に成長しています。その中でも「スシロー」、「くら寿司」、「はま寿司」、「かっぱ寿司」の大手4社は「四天王」と呼ばれ、日々しのぎを削っています。

上場予測をされているあきんどスシローの2015年度売上が1,350億円、くら寿司が続いて1035億円、かっぱ寿司(カッパ・クリエイト <7421> )の2016年が803億円、2015年が876億円という状況だ。

2016年の現状としてはスシロー、くら寿司、はま寿司が売り上げを上げる一方で、カッパ寿司だけが減益の傾向です。全体的にいえることはカレーやラーメンなどのサイドメニューを強化し、飽和状態となっていた回転寿司の顧客の奪い合いだけでなく、他の外食業界からシェアを奪うようになったことも成長の要因です。鮨以外のメニューを積極的に取り入れることで労働者のランチでの利用や、家族連れなど老若男女がファミリーレストラン感覚で利用することを促しています。

カッパ・クリエイトは、10月28日に2017年3月期の中間決算(4−9月)発表を控えた10月27日、業績の大幅下方修正を開示した。前16年3月期決算発表時の4月に出した17年3月期中間期の売上予想434億円(前年度比3%増)、営業利益19億円(同46%増)を売上399億円(同8%減)、営業利益1億円(同93%減)に下方修正。17年3月期通期予想に関しても、売上867億円(同8%増)、営業利益38億円(同49%増)を売上827億円(同5%減)、営業利益19億円(同49%減)にそれぞれ大きく下方修正したのだ。

回転寿司4強の2016年振り返りと今後

スシロー

業界の売り上げトップを走っているスシロー。

2016年9月期の売上高は1464億円で、最終損益も23億円の黒字に。また、店舗数も442店と着実に増やし、まさに業界を牽引するチェーンに成長したことは確かだろう。

話題を呼ぶサイドメニュー

スシローに限らず、最近の回転寿司業界ではサイドメニューを次々と開発し、規模を拡充させています。スシローに関しては高品質だったり、特にSNSや口コミで話題になりそうなインパクトのあるメニューを多く提供していることが特徴です。

なかでも、1日数量限定で販売している「メロンソーダ」が目を惹く。1皿980円(税抜)とのことで、写真を見ても山盛り。お客様は、ツイッターなどのSNSで写真をあげ、「まるごと食べるメロンソーダ」というニックネームで呼ばれているそうだ。

それ以外でも、大学生とメニュー開発をした「県の特産品を使ったメニュー」や、昨年比1.5倍の大きさの、うなぎのチラシなど、話題性がある斬新なメニューを次々にだしている。

11月に発売された、人気店VERY FANCY監修のパンケーキ「苺のふわとろパンケーキ」は累計30万食以上を売り上げる大ヒットとなりました。一昔前は回転寿司で流れるデザートはプリンやゼリーなど子供向けのものが主流でしたが、本格スイーツの投入により、老若男女、回転寿司で本格的なスイーツが食べられるようになりました。

受付・予約アプリの展開

スシローは受付・予約アプリの「スシローアプリ」を提供。アプリで店舗の予約や空き状況確認ができ、お店でチェックインするとポイントが貯まるなど顧客にとって有益で便利なうえ、接客にあてる時間の短縮にもなり、回転の効率化にもつながっています。またこのアプリが「2016年を代表する100アプリ」に選出されるなど、アプリの機能性も高く評価されました。

スシローアプリも、なかなか面白い試みである。今のところは、スマホでの予約、各店舗の空き状況から入れる店を探す、また、お持ち帰りの注文、フェアの情報やお知らせ、まいどポイントのチェック、ができるようになっている。

現段階で、400万件のダウンロード実績があり、来店客の約30%がアプリケーションを経由して来店しているという(「流通ニュース」より)。

商品力・品質の高さ

本業の寿司についてはネタの鮮度にこだわり、こだわりの調理法にて調理することで、高品質な寿司を提供しています。サイドメニューに関してもスシローのポテトは「ポテロー」と呼ばれ、ファンが付くほど評価が高くインターネットでも話題になりました。

「『スシロー』は鮮度にこだわっていて、鯛やハマチは店内で皮引きし、マグロも温塩水で解凍した後、店内で切りつけている。『焼豚ねぎまみれ』などの変わりネタも豊富で、うどんやラーメン、味噌汁などのサイドメニューを充実させている」(広告代理店担当者)
「近年、回転寿司チェーンはスシローのほか、『無添くら寿司』『はま寿司』『かっぱ寿司』の4強が業界を牽引してきましたが、主力ネタの〈まぐろ〉ひとつとっても、スシローが最も商品力が高い。

また、フライドポテトにこだわって“ポテロー”の呼び名が広まったり、行列店に負けないラーメンづくりを繰り返したりと、多メニュー戦略の先駆けとして固定ファンをがっちり掴んできました」

国内外への出店計画

スシローは今後3年間で100店舗増やす計画を発表しています。かつ国内市場はすでに飽和状態になっていることもあり、今後海外での出店を積極的に広めていく計画です。

また、海外事業の強化も検討している。現在、韓国に6店舗あり、加えて、現時点でいくつか契約している店舗もある。韓国以外の国も検討している。米国・西海岸もひとつの候補だし、アジア進出には強い気持ちで取り組みたい。

くら寿司

右肩上がりの売り上げ

決算書データを参照すると2013年次の売上高が「87,171百万円」,2014年が「95,635百万円」、そして直近の2015年が「103,572百万円」と順調に右肩上がりで推移している。

「無添加」がウリ

「無添 くら寿司」の名前のとおり、すべての食材において、化学調味料、人工甘味料、合成着色料、人工保存料を一切使用しない「無添加」をウリにしています。また、オリジナルの寿司キャップ「鮮度くん」やテーブルに空き皿の回収ポケットを設けるなど店内の衛生面に関しても徹底しています。

「レーンを回る寿司には『鮮度くん』というフードをかぶせて、埃やウイルスなどをカバーしています。『食のテーマパーク』というコンセプトを打ち出していて、創作寿司や独自のサイドメニューに力を入れている。寿司の5皿につき1回スロットゲームができ、当たりが出ると景品が貰えるサービスも子供に人気です」(前出・担当者)

スシローがサイドメニューの品質やインパクトに注力しているのに対し、くら寿司が力を入れているのは種類の豊富さ。ラーメン、カレー、牛丼、天丼など寿司以外にしっかりとお腹を満たせる商品を提供することで、寿司以外を目的とする顧客にターゲットを拡大しています。

2012年11月に魚介醤油ラーメンの販売を開始、2013年には天丼とうな丼を、2014年には豚丼、2015年はカレー、2016年には牛丼の販売もスタートしている。本業の寿司が牽引しているものの、サイドメニューの充実化も手伝い、2012年以降の既存店売上高は、前年度を下回ることなく成長を持続、来店顧客数は2013年以降、前年を上回っている。

また、単純に単価の高い商品を展開するだけでなく、ドリンクやデザート、ちょっとした軽食などを揃えることで客単価を上げる狙いもあります。その中でもシャリコーラなどスシローに負けない独特なメニューも提供しました。

シャリカレーはご飯に酢飯を使ったカレーで、無添くら寿司では2015年7月に販売開始。後日発売したカレーパン、カレーうどんを合わせ、今日に至るまでに、700万食を販売しており、ラーメンに続くサイドメニューの柱となった。

牛丼専門店に負けない牛丼商品の開発

最近では回転寿司大手のくら寿司が「牛丼を超えた『牛丼』」をキャッチフレーズに、1杯399円で牛丼の提供を開始し、発売後わずか1ヶ月で50万食を売り上げるヒットを記録しました。12月2日からは牛丼の売り上げを加速するために、半熟の卵を2つトッピングした「W温玉牛丼」を前倒しで投入し、3ヶ月で100万食という目標の早期達成を目指しています。

今後も継続される品質維持

『くら寿司』が1位になった背景にあるのは、「ファミリー層を取り込んだから」──。平野さんが解説する。

「『くら寿司』の価格は『スシロー』や『かっぱ寿司』よりは少し高いものの、養殖ではない地魚を安く仕入れて使うとか、無添加にこだわるといったふうに、健康志向の点が評価につながっていると考えられます。また、寿司以外のサービスを打ち出しているのも特長です。仕入れ食材などを直接販売し、利益だけではない安心感、親近感を与えていますね」
むろんサイドメニューだけでなく、寿司ネタの強化にも力を注ぐ。10月から、シイラやサゴシ、ボラなど、産地直送の珍しい魚を提供する「天然魚プロジェクト」を本格的に始動した。プロジェクトの本格化に伴い、大坂府貝塚市の4500坪の敷地に同社最大規模の大型工場と、本格的な鮮魚店、そして「無添 くら寿司」の店舗を開設。週末には駐車場が満杯になるほど、顧客の関心は高いようだ。

はま寿司

とことん安さを追求

はま寿司は安さをとことん追及し、他社と比較してもより安い低価格を実現しています。

「平日は1皿90円」の安さを武器に急成長しているのが、「はま寿司」である。

「季節のメニューが豊富で、いまは秋を先取りした炙りさんまや秋鮭、松茸の天ぷらなどのほか、『旨だし鶏塩ラーメン』(330円)や『旨だしお好み焼き』(200円)といった新作メニューもあります。デザートもオリジナルアイスクリームやチョコレートケーキなど10数種類揃っている」(同前)
加えて卓上には5種類の醤油が用意されるなど細部にこだわりが見える。

サイドメニューのラーメンの戦略

はま寿司はサイドメニューの中でも特にラーメンに注力しています。1日あたりの注文数が2万杯以上を売り上げる「旨だし鶏塩ラーメン」や「贅沢一杯 コク旨煮干しラーメン」など素材から製法までこだわった専門店顔負けの本格派ラーメンを提供しています。

特に2015年11月に「はま寿司」で食べた「贅沢一杯 コク旨煮干しラーメン」には、正直いってラーメン通として衝撃を受けた。サイドメニューの域を超えているというか、ラーメン専門店で出してもまったく見劣ることのない味。2カ月で100万食(2015年10月29日~12月9日)の大ヒットを記録したという。いまやラーメンは「はま寿司」のサイドメニューの売り上げで1位を争うまでに成長した。
値付けもたいへん苦労したという。初めはみそ汁と同じお椀で提供し、280円だった。その後、本格的なラーメンに移行するタイミングで専用の器に替え、スープ・麺にもさらにこだわり、380円に値上げする。今はそこから30円の値下げ努力によって、350円で提供している(価格はいずれも税抜き)。

ゼンショーグループの強み

はま寿司は「すき家」などが傘下にいるゼンショーグループが運営しているため、肉の流通ルートが確立されており、肉の握りメニューが充実しています。

また、絶対食べてほしいのが「ハンバーグにぎり」である。ハンバーグにぎりなんて子供が食うものだろ(笑)と思いきや、肉が柔らかく食感が最高!
それを引き立てるのが濃厚なチーズソースなのだが、それもまた不思議と酢飯に合うのである。はま寿司のハンバーグにぎりだけは、他社を圧倒するウマさを保証しよう。

ロボットを使った接客

Pepperによる接客の導入実験をしており、受付業務をPepperが行うことで、店員は他の業務に集中し、接客時間の短縮と効率化を狙っています。
また、今後はPepperの顔認証の機能を使った顧客管理システムを作成し、マーケティングにも活用する予定です。

ゼンショーホールディングス(HD)のグループ企業、はま寿司は、2016年秋から関東の回転寿司3店舗で人型ロボット「Pepper(ペッパー)」による受付や案内業務の実証実験を実施している。実証実験の結果をみて、全国の店舗での展開を検討する予定だという。

かっぱ寿司

減少している売り上げ

四天王と呼ばれる中で唯一、売り上げを落としていると言われています。

カッパ・クリエイトは、2013年2月期、14年2月期、15年3月期(決算期変更)と3期連続最終赤字を計上した。カッパ・クリエイトが運営するかっぱ寿司は1皿100円を中心とした低価格の寿司を提供する回転寿司店として成長してきた。2011年にスシローに抜かれるまでかっぱ寿司は回転寿司業界の売上トップだった。

売り上げ減少の要因

かっぱ寿司が売り上げを落とした理由として、安さで業界を牽引してきたものの、肝心の寿司の品質に関して評価の低いイメージが定着してしまったことといわれています。もともと原価率の高いことで知られる回転寿司ですが、その仕入れ値や、販管率の高さに圧迫され、後に実施したコスト削減施策により品質保持などの店舗のオペレーション力が下がってしまったとされています。

くら寿司の仕入は安定しています。仕入の割合はおおむね42%で推移しています。片や、かっぱ寿司は28.8~47.2%の間で、年によって大きく上下しています。つまり、仕入が安定していません。不安定な仕入は、食材の鮮度の維持において大きな問題があるといえます。また、廃棄ロスや販売機会ロスの問題もあります。
かっぱ寿司にはもうひとつ大きな問題があります。それは販管費率です。くら寿司の販管費率は49.3%ですが、かっぱ寿司は54.1%にもなります。食材に投資するためには、まずは無駄な販管費(人件費など)を発生させないようにする必要があります。
同社は不振の理由として、前期下期に実施したコスト削減施策の影響による店舗オペレーション力の低下により顧客満足が低下したこと、競合との競争が激化したことを挙げています

高級路線への変更

2017年10月にイメージの一新のため、カッパのロゴを削除し、重ねた皿をモチーフとしたロゴに変更しました。

かっぱ寿司は10月に「脱カッパ」でイメージ刷新を行いました。かっぱ寿司といえば「カッパ」がトレードマークでした。長年親しまれたカッパのロゴを外し、皿を数枚重ねたロゴに差し替えたのです。ただし、「かっぱ寿司」の名称は残したままです。ロゴの刷新により、「安かろう悪かろう」というイメージの払拭を狙っているようです。

ユニーク寿司を展開

2016年10月には第1弾として「全国お祭り寿司」と題した創作ネタを提供。日本各地の祭りをイメージした寿司が5品、ラインナップされました。

1万円の高額商品

さらには、12月に大トロと鮮極(せんごく)鮭いくらを盛り付けた「至極の大桶SUSHI CAKE(すしケーキ)」を発売。価格は1万円という高額商品を販売するなどし話題となりました。

課題の原価率、コストの調整

今後については売り上げ減少の要因ともなった品質維持、コスト抑制に向けた改革が必要とされています。

かっぱ寿司は高い鮮度を維持した寿司の提供と廃棄ロスの抑制のために、注文を受けてから寿司をつくって届けるフルオーダータイプの店舗を拡大させていくとしています。そのためには、少なくない資金投資が必要となります。コロワイドの後押しにより、積極的な出店や改装を進めていくものと思われます。方向性は間違っていないでしょう。
一方、売上原価率が上昇した理由として、食材に費用をかけていると考えることもできます。同社は「商品力の強化」を最重要課題として位置付けていました。下期に向けては、「高品質な商品を投入する」と宣言しています。食材に費用をかけて「安かろう悪かろう」からの脱却を図ろうとしているように思えます。

サイドメニューの充実から、もはや回転寿司は寿司だけがメインではなく、他の外食産業が主軸とするメニューを巻き込み、総合レストラン化が進んできています。一方で安さを追求するゆえの原価率の上昇もあり、今後も接客や作業の自動化などでコスト管理が進められていくでしょう。2017年も各社の新たな試みがみられそうです。