平昌五輪のピックアップテーマ2018年2月15日更新

復活なるか 平昌五輪で連覇を狙う羽生結弦

平昌五輪で最も金メダルを期待されている選手と言えば、フィギュアスケートの羽生結弦選手でしょう。ただ、ケガからの回復具合が気になります。ソチに続く金で、66年ぶりの連覇なるか?世界中が注目する羽生結弦にまつわるトピックスを紹介します。

金に向けて万全?公開練習で4回転成功

故障後初めての公開練習

昨年11月のNHK杯に向けた練習中に右足首を負傷、以降の大会をすべてキャンセルして最大の目標である平昌五輪に向けたリハビリに専念していた羽生。2月13日、フィギュアスケート男子シングルの会場である江陵アイスアリーナで初練習を行い、故障後初めて、公の前での4回転ジャンプを披露しました。

トウループとサルコーを成功させて臨んだ「SEIMEI」の曲かけ。冒頭の4回転サルコーは2回転になり、続くトウループはパス。後半の4回転サルコー―3回転トウループ、続く4回転トウループ―1ループ―3サルコーは見事に決めた。

世界最高得点更新の演目で勝負

演目はショートプログラム(SP)が「バラード第1番ト短調」、フリースケーティング(FS)が「SEIMEI」となりそうです。これはどちらも、世界最高得点を記録した演目になります。右足で踏み切る4回転ループを飛ばず、完成度の高い演技で加点を狙う作戦のようです。

SP「バラード第1番」の曲かけではジャンプは跳ばなかったが、冒頭が4回転サルコー、後半にトリプルアクセル、4回転―3回転の連続トウループで、112・72点の世界最高得点を記録した今季初戦のオータムクラシックと同じ構成だった。“世界最高構成”で本番に臨むことになりそうだ。
フリーの4回転は4本が濃厚。同じ「SEIMEI」を滑り、3本の4回転で219・48点と当時の世界最高得点を記録した15年GPファイナルよりジャンプの基礎点は2・2点高い。羽生の昨季後半戦以降4試合のジャンプ加点平均は1・2点。前戦のロシア杯の採点をベースにして、この日の構成に1・2点を加えると207・33点になる。

羽生「クリーンに滑れば絶対に勝てる」

公開練習後の会見では「クリーンに滑れば絶対に勝てる」「不安要素はない」と力強いコメントをした羽生。一方で、4回転に関しては明言を避けています。

――メインリンクで滑ってみて

 非常に感覚はいい。まだ跳んでいないジャンプもある。計画に沿って、臨機応変にピークを作りたい。

 ――4回転ジャンプはどうするか

 ループに関しては言うことはないかな。たくさんの選択肢がある。クリーンに滑れば絶対に勝てる自信はある。

 ――何が苦しかった

 つらかったことは特にない。ただひたすらやるべきことをやってきた。不安要素はないです。

「クリーンに滑る」とは?

会見で羽生が語った「クリーンに滑る」のクリーンの意味について、スポニチは高難度のジャンプに頼るのではなく、演技やジャンプの出来栄えといった評価による加点でカバーする、と解釈しています。

五輪連覇のキーワードは「クリーン」だ。チェン(米国)らライバルは羽生より高難度のジャンプ構成で挑むのは確実だが、ミスなく滑れば演技点やジャンプなどの出来栄え評価の加点でカバーできると計算している。「クリーンに滑るプログラムを何にするかは、これから調子を上げ決めたい」。練習はあと2日。右足首の状態やスタミナを見極めながら最も有効なジャンプ構成を探っていく。

ファンのため「夢に描いた演技」を

会見では演技の構成や勝算だけでなく、応援してくれるファンへの感謝とともに、彼らへの恩返しの演技を見せたいと意気込みを語りました。

「ここにいる人々からさらに多くの人々へ、たくさんの人々に自分のスケートを見てもらえるんだなという気持ちでいっぱいです。僕のことを待ち望んでくれた方々にも待っててよかったと思える演技をしたい。夢に描いた舞台で、夢に描いた演技をしたいと思います」

トップスケーターたちの目から見た「羽生結弦」

会見ではポジティブなコメントに終始した羽生。では、そんな彼を周囲をどう見ているのか?元日本代表をはじめとする、専門家から見た羽生についてのコメントから、金メダルの可能性を探ってみましょう。

織田信成「安心した」

現在はプロスケーターやTVタレントとしても人気の織田信成は、全日本選手権も制したこともあり、バンクーバー五輪では7位と超一流のフィギュアスケーターでした。そんな彼が羽生の公開練習を見て、スケーターならではの観点から、復調具合に太鼓判を押しています。

「織田は、スケーティングをしている羽生選手の様子を見て『安心した』と語っていました。羽生選手はリンクに入ってくると、左回りに滑ったあと、右回りでも流したのですが、左右の差がまったくなかったというのです。つまり、ケガをした右足が問題なく使えているからこそ、どちらも同じようにスケーティングができているのだ、というのです」

こちらは公開練習前の、羽生の金メダルの可能性について説得力のあるコメント。そして「羽生は逆境に立たされてこそ強い」とエールを送っています。

「気にはなっていると思います。でも羽生選手が持っている、ショートプログラムとフリースケーティングのトータルスコア、330・43点に到達できた選手はいないんです。
そういった意味で彼自身、金メダルを争うレベルで演技ができている、という自信は揺らがないでしょう。逆境に立たされてこそ強いのが羽生結弦だと思っているので、僕は大丈夫だと信じています!」

高橋大輔「100%回復していなくても…」

元世界王者で、バンクーバー五輪では銅メダルも獲得。全日本は通算で5回優勝という輝かしい戦績を持つプロスケーターの高橋大輔は、試合直前の怪我という羽生と同じような経験の持ち主。それだけにメンタルへの影響を心配していました。

自身も五輪直前にけがをしたことがあるそうで「大会直前は追い込む時期でもあるし、一番不安を持ちたくない時期。メンタル的にはなかなか厳しいと思う。もう一度けがをしてしまうのでは…という恐怖感もあるし、痛みをカバーしながらの練習になってしまうので、他の部分に影響が出てしまったりもする」と心配そうな表情を見せた。

しかしそれでも、100%に戻っていかなくても金メダルの実力がある、と言います。

2010年バンクーバーオリンピック銅メダリストの高橋大輔氏(31)は「100パーセントいかなくいても金メダルを取れる実力もっている」と示していた。

鈴木明子「誰もまねのできないレベル」

全日本を制し、世界選手権でも銅メダルの経験もある鈴木明子。産経新聞のインタビューで羽生について聞かれ、次のように答えています。

--男子選手はどうか
「羽生選手は周知の通りけがの治り具合によるところもあるが、高難度の4回転を何種類、何本という時代の中で、いまの彼は非常に質の高い、誰もまねのできないレベル。完成度の高さに安心感があり、絶対王者としての活躍を期待していきたい。(後略)」

村上佳菜子「完全に治ってないのかな」

ソチ五輪の日本代表で、世界選手権で4位入賞もした村上佳菜子。現在タレントとしてもブレイク中ですが、公開練習での羽生の様子に「一抹の不安」があるとコメントしています。

村上が注目したのは、羽生がジャンプを跳んだ後に軽く右足を上げ、左足にの内側に付けるような仕草をしたところ。もしかしたらという前置きで「もともと完全に治ってないのかなと…」。元選手ならでは“推測”だった。
完全に治っていない場合、ジャンプから真っすぐに着地できれば痛みはないが「ちょっとズレると痛めていた場所がピリッときちゃうんじゃないかなと」と、一抹の不安を口にしていた。

一方で、羽生のフィジカルについては、その仕上がりに問題はないとしています。

「相当、追い込んできたんだなっていう体になっているなと。1月から練習を始めたと聞いたんですが、(この1か月でここまで)絞っているところを見ると、かなり追い込んできたんだと思います」と語った。
MCの宮根誠司アナ(54)から、絞ってきたとはどういうことかと問われると「スラッとしていますね。筋肉がしっかりと見えているので」と、間近でリンクにあがっていた元スケーターならではの視点で“進化”した羽生の印象を述べた。

中庭健介「十分の準備がされている」

現在フィギュア指導者で、全日本選手権で2位の経験もある中庭健介氏。公開練習をチェックして、その仕上がりは評価したものの、金メダルを取れるかどうかまでは、明言できないとしています。

「前日の15分の練習を見たときは、トリプルアクセルにしても、羽生選手らしくないジャンプだったので、心配になるものでしたが、おそらく時差などの調整練習だったのでしょう。今日の練習を見る限り、ジャンプの軸はしっかりしていました。質のいいジャンプを跳んでいるという印象を受けました。五輪の舞台に立つには十分の準備がされているのだなと感じました。2か月ものブランクを作って、これだけ違和感のない状態に仕上げるのは、流石ですね。ただ金メダル争いができる状態かどうかについては、まだわかりません。今日、これだけ動いて、明日、明後日の動きがどうなるのか、という部分も見てみなければ、本当の評価をするのは難しいと思います」

また中庭氏は羽生のショートプログラムの構成については、ジャンプの回転数よりも演技の出来栄えと構成による加点で勝負できるはず、と陣営の目論見を考察しています。

「ネイサン・チェン選手がもしSPで4回転フリップ、ルッツを入れてきた場合、羽生選手がループを封印した構成で臨むとすれば、ジャンプの基礎技術点では、約5点ほどの差がつくことになります。宇野選手とも2点くらいの差でしょう。ただ、羽生選手は、GOE(出来栄え点)加算とファイブコンポーネンツ(演技構成点)の評価で、この技術点の差を十分にカバーできます。この構成でも羽生選手がSPを首位でターンする可能性は十分に考えられるのです」

結弦大好き!羽生ファンに関するトピックス

韓国入りした羽生にファン押し寄せパニックに

ここからは、ちょっと肩の力を抜いて羽生結弦を愛するファンに話題をいくつか紹介します。まずは韓国にやってきた彼を一目見ようとと押し寄せたファンのフィーバーぶりから。

羽生が到着した仁川空港は一時騒然となった。事前に日本オリンピック委員会(JOC)と日本スケート連盟は五輪組織委員会に警備を依頼。羽生は屈強な警備員に囲まれて安全を確保されていたが、約200人の日韓のファンとメディアが歩く羽生を撮影しようと一斉に移動すると、JOC関係者から「走らないで」と怒声が飛んだ。取材エリアにもファンが押しかけ、止められる場面もあった。

韓国女子も結弦にウットリ

羽生をお出迎えしたのは日本人だけではなく、中国・韓国のファンも少なくなかったようです。こちらの記事によると、韓国には少なくとも100人以上の羽生ファンがいるんだとか。

羽生がさっそうと通り過ぎ、騒然となった仁川空港。一瞬、目が合った感激を「ちょーやばかったです!」と興奮気味に話すのは、日本人ではなく韓国人女性だ。
ソウル在住で飲食店勤務の姜(カン)ソミさん(24)は、1週間かけてイラスト入りの応援幕を作って到着の4時間前から待ち構えた。もちろん、羽生が大好きな「くまのプーさん」のぬいぐるみも持参。「『再び韓国へようこそ。ユヅ君、頑張ってください』と声をかけたら、こちらを見て、うなずいてくれたんですぅー」と声を弾ませた。

「消えたプーさん」にざわつくファン

羽生と言えば、リンクサイドに置いてある「くまのプーさん」のティッシュカバーを見たこともある方も少なくないかと思います。ある意味、彼のトレードマークと言ってもいい存在ですが、平昌ではそのティッシュ箱に「異変」が起きたと話題になりました。

これが今までのティッシュ箱。それが…

プーさんじゃない?!

羽生はディズニーキャラクター「くまのプーさん」のファンで知られており、普段から練習時にはプーさんのティッシュカバーを愛用している。しかし、国際オリンピック委員会が特定のスポンサーやロゴに厳しいためプーさんカバーを控えたとみられ、代わりにいちごのショートケーキ型のカバーを持参した。前回のソチ五輪の際もプーさんは控えており、ブルーのティッシュケースを使用していた。

商標に配慮してためですが、ここからが結弦ファンのすごいところ。なんと、これがただのショートケーキ型ではなく、中身のティッシュ箱がプーさんのものであるということを“解析”してしまいました。

「報道写真を拡大するなどでさっそく分析が始まったのですが、ショートケーキのカバーの下から黄色い箱が見えていることから、カバーの中身はプーさんのティッシュボックスが入っているという見解を示す人も現れました。それらファンによる調査の結果、実は羽生選手が持参したのは、ただのショートケーキのカバーではないというのです。ディズニーの公式グッズに羽生選手のものと同じショートケーキのティッシュカバーがあるのですが、そこには小さなプーさんがついているんです。羽生選手はプーさんこそ外してはいるものの、プーさんのアイテムを使用していたようです」

本人も認めるプーさん好き

彼のプーさん好きはファンには常識と言えるほど有名。練習後の会見でもプーさんに関する質問が出るほどでした。

―なぜあんなにファンはプーさんをプレゼントするのか?
「ジュニアの頃からずっとティッシュケースにウィニー(プーさん)をつけていて。そしたらファンの方々がいっぱい投げ込んでくれるようになって。そしたら、お部屋の中が全部プーさんになった感じです」

6か国語で感謝した羽生に中国人ファンも感激

会見の最後に、羽生が感謝を意味する6か国の言葉を口にしたことが話題になりました。

リハビリ中は温かい言葉に何度も励まされた。会見の締めの言葉は「ありがとうございました。カムサハムニダ。サンキューベリマッチ。シェイシェイ。メルシー。スパシーバ」と、6か国の言葉で気持ちを伝えた。

このニュース耳にした中国のファンからも「超萌えた」なんて反応もあったようです。

これに対し、中国のネットユーザーから「中国語で『感謝』といったところで超萌(も)えた」「会見の後にちゃんと椅子を元に戻しているところが偉いなあ」「彼は気を配りすぎ」「通訳にも頭を下げて感謝している。さすがは実力も人格もトップレベルの選手だ」「ゆづは一番礼儀正しい!」など、称賛する声が多数寄せられている。

個人戦は2月16日、2月17日

羽生結弦の出場予定

いよいよ個人戦に望む羽生結弦。

テレビ放送は、
●「男子シングル・ショートプログラム」 … 2月16日(金)9時30分~15時(TBS系)、もしくは2月16日(金)9時50分~14時30分(NHK BS1)、
●「男子シングル・フリー」 … 2月17日(土)9時50分~11時54分&12時15分~15時(NHK総合)
にて生放送が予定されています。