特集2017年9月21日更新

どっちが悪い?…鈴木砂羽「土下座強要」騒動

今月勃発した、芸能界の新たなゴタゴタ劇。人気女優の鈴木砂羽が2人の女優に土下座謝罪を要求、その結果2人は舞台を降板することに。両者の言い分はまさに「言った、言わない」で全くの食い違い状態。いったい、なぜこんなことに?その経緯を見てみましょう。

鈴木砂羽が土下座を強要?共演2女優が告発

土下座を強要され、舞台を降板

土下座に至る経緯

騒動のきっかけは、公開の2日前となる9月9日に行われた、舞台「結婚の条件」の稽古中に起きたトラブルでした。この舞台は女優の鈴木砂羽と親交のある脚本家、江頭美智留の主宰する劇団クロックガールズの新作「結婚の条件」で、鈴木が主演と初となる演出を務めることになっていました。そこで出演予定だった女優の鳳恵弥と牧野美千子2人が、「人道にもどる数々の行為」を理由に降板したのです。

元準ミス・インターナショナル日本代表で女優の鳳恵弥さんと牧野美千子さんが、鈴木砂羽さんの初演出で13日から上演される舞台「結婚の条件」から降板することが9月11日に劇団サイト上で発表されました。2人の所属事務所は降板の理由を「鈴木砂羽氏より二人の受けました人道にもとる数々の行為」のためとしており、12日に鳳さんが自身のブログでいきさつを報告しています。

9月12日、降板した女優・鳳恵弥が自身のブログで騒動の経緯を報告。スケジュールがあわず思うような稽古が出来なかったと罵倒され、主宰者に謝罪を求めてきたため、2人の女優も「床に額を擦り付けて謝る」ことになったとしています。

鳳さんによれば、現場は演出の鈴木さんと演出助手が江頭さんに高圧的に接し頭を下げさせている状況だったそう。さらに、通しげいこでは鈴木さんたちが鳳さんや牧野さんを罵倒し、他のキャストに土下座をするよう促したとのこと。「作品の稽古とは全く関係ないところで起こる惨状」と形容している状況は双方の事務所も入れての協議に発展し、結果2人は降板を決断しました。
鳳さんのブログではこの他、鈴木さんによる「自分がセリフが入らないのを脚本のせいにして何度も書き直させていた」「気に入らないキャストや江頭先生の悪口を吹き込んでいる」などの行為があったことも明らかに。降板の決定に当たり「江頭先生に頭を下げさせてしまうまで何も出来なかった。本当に自分が情けない」とつらい心境を述べています。

同日、牧野美千子も自身のブログで今回の騒動を報告しながらも、複雑な心境をつづっています。

牧野もブログで『事務所に所属した以上、その指示に従うのは当然ですが、もし、自分がフリーだったら、同じ結論を出さなかったかも。とも。色んなことを飲み込んで続行していたと思います。結果的に事務所は私たちの立場を守ってくれました』と複雑な心境を吐露しています

食い違うそれぞれの主張

鈴木砂羽の言い分「土下座も罵声もさせていない」

鈴木は9月13日に舞台「結婚の条件」の初日終了後に今回の騒動について取材に応じ、土下座や罵声の事実を否定しました。

 今回の告発に対し、鈴木は「ここではっきり否定させていただきますが、土下座、それから人道的に彼女の人格や尊厳をめちゃくちゃにするような罵声を浴びせた事実もございません」と真っ向から否定。「ひたすら演出家として、彼女とコミュニケーションを取っていたつもりでした」と釈明した。
「そういう(強要とも捉えられる)シーンになったことはあった?」という問いには「ありません。あの時は、みんなにダメ出しをしていた。一人ひとりの役者さんにオーダーしているときだったので」と説明。改めて「土下座という状況ではなかった」とした。

劇団主宰者の言い分「謝罪はしたが罵声はない」

9月12日、主宰の江頭美智留がマスコミ各社に降板に至った経緯をFAXにて説明文を送付しました。これによると原因は自分のスケジュール調整ミスにあるとし、土下座強要の事実は否定しました。

謝罪の理由について「私のスケジュール確認のミスにより、二回目の通し稽古ができなくなったことが原因ですので、私が自ら、キャスト、ス夕ッフに謝罪しました」と説明した。
続けて「私が謝罪したことで、お二人は私にお気遣いされたのでしょう。流れでお二人も謝罪されました」とした上で「見た目が『土下座』という形になるのかもしれません。しかし、その場にいた私が断言できるのは、鈴木さんから土下座をするようにとは決して言っておりません」と重ねて否定し「報道にあります『罵声を浴びせた』という事実はまったくありませんので、その点につきましても、明確に否定させていただきます」とした。

また、女優2人の所属事務所から江頭氏のマネージャーへ舞台中止の要請があったこと。法的手段も辞さないことも明らかになりました。

取材に応じた江頭氏のマネジャーも、この時に土下座謝罪があったことを否定。女優2人と事務所の主張がうそであるとした。
マネジャーによれば、降板決定後、2人の事務所側から江頭氏には「公演を中止にするか、“鈴木さんのパワハラによる降板”と公式発表してほしい」と要望があり、江頭氏は断った。その際に事務所側からは「差し止めしますよ」という言葉もあったという。
マネジャーは「今回は江頭が鈴木さんに演出をお願いした舞台。江頭だけならいいが、鈴木さんに迷惑がかかるのならば、法的手段を取る可能性もゼロではない」とした。

女優2人の所属事務所の主張「土下座強要はあった」

9月11日、女優2人の所属事務所がfacebookページで舞台降板を発表しました。

鳳と牧野が所属する事務所は「演出鈴木砂羽氏より二人の受けました人道にもとる数々の行為に対しまして、弊社と主催側で検討をしました結果、残念ながらこれ以上の稽古及び舞台への出演をお受けすることは出来ないと判断し出演をお断りする運びとなりました」とリリース。

9月13日、女優2人の所属事務所がfacebookページで騒動の詳細を掲載しています。

9月14日、女優2人の所属事務所社長・関口忠相が「直撃LIVEグッディ!」に出演。「土下座はあった」とコメントしました。また同時に鈴木側から「やりすぎだった」と認める発言があったことも述べています。

土下座強要について関口氏は「私としてはあったと」と明言。その根拠として、自身が現場にいなかったことに触れた上で「うちの事務所の人間2人、(プロデューサーで脚本担当の)江頭先生からも“すみません。こういう状況になりました”とご報告を受けていますし、砂羽さんの事務所のマネジャーさん、出演者の方からも“この状況を止められなくて申し訳なかった”というように謝っていただいている」と説明。続けて「皆さんの意見が一致しているところと、私がその中で一番一致していて信ぴょう性が高いだろうなというところをお話しさせていただいている」とした。
関口氏によると、マネジャーは土下座強要については「私の目から土下座には見えてません」と否定したというが「“こういうようなことがあったことに関しては本当に申し訳ない。私もやり過ぎだと思ったから止めに入りましたし、すみませんでした”と、お電話で話した」。鈴木側が、鈴木の行為を行き過ぎだったとする発言をしたと述べた。

9月14日、関口社長がスポニチの取材に応じ、「私の中では収拾はついた」と騒動の終結宣言をしています。

9月15日、女優2人の所属事務所がfacebookページで、江頭氏より代役決定が伝えられ、事務所社長・関口忠相氏が了承した旨を掲載しました。

芸能界の反応

梅沢富美男「降板はお客さんに失礼」

この騒動に対して怒りを爆発させたのが、“下町の玉三郎”こと、舞台歴50年の梅沢富美男だ。13日の生放送「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ系)でその話題に及ぶと、「出演すると決めたら、降板はお客さんに失礼。こんなんなら初めから断るべき。最後までやっておいて、もめたからって2日前に降板なんてとんでもない話だ」と激高。土下座問題にも触れ、「稽古が終わったら、全員ありがとうございましたと手をつくのは当たり前」と片付けた。

坂上忍(降板の女優に)「引き受けた以上は降りちゃダメ」

坂上は「両方の気持ちがわかる」とした上で、「演者側の気持ちでいったら、基本、引き受けた以上は降りちゃダメ」と意見。「降りたくなるときありますけど、なんで降りないかっていうと、迷惑かかるのお客さんだから」と理由を述べ、「この方たち、お客さんに対してだけ絶対迷惑をかけちゃいけない。引き受けた以上は、もうしゃーない、嫌な1週間、1カ月になるかもしれないけど、嫌なときでも何か得るものあるだろうと…」と続けた。

坂上忍(鈴木砂羽に)「ごめんなさいって気持ちがないと」

9日の稽古で2人が別の仕事のため稽古場を出ることでトラブルが発生したが、坂上は、プロデューサーの江頭美智留さんが文書で「私のスケジュール確認ミスにより2回目の通し稽古ができなくなったことが原因」と説明したことに注目。「事実だとしたら」と前置きした上で「プロデューサーと演出家って2個イチだから。江頭さんのせい(で2回通し稽古ができなかった)だとしたら、(鈴木も)一緒に謝るくらいの気持ちじゃないと。制作サイドなんだから」と裏方として取るべき姿勢について指摘。「2回通し稽古ができないことを、演者に対して(江頭さんと)一緒にごめんなさいって言う気持ちがないと僕はおかしいと思う」とした。

坂上忍(制作サイドに)「プロデューサーの責任」

「各局で土下座がフィーチャーされているけど、土下座なんてどうでもいい」と切り出し、「要はこれは制作サイドの不手際、プロデューサー側の問題。ということは江頭さん。そもそも、通し稽古の時にNG出すってあり得ない。それを江頭さんはOK出したんだから」とプロデューサーで劇団の主宰の江頭美智留さん(54)をバッサリ。「役者は被害者でしょ。制作サイドと事務所の中で折り合いがついてなくて、それをなんで役者に謝らせたのか。プロデューサーの責任だし、鈴木さんも長いこと女優さんやっているんだから、役者に謝らせるって、さっぱりわからない」と鈴木にも厳しい言葉を続けた。「プロデューサーに演出家が怒るのは当たり前。でも、それは裏でやっておけばいい。(表で)2人がNGだからって言うのはなし」ともまくし立てた。

テリー伊藤「演出として自信がないと思う」

「演出家だから罵声もバンバン言ってましたよ。それで帰っちゃっ人もいっぱいいた」としながら、「演出家って、怒鳴っているときっていうのは蜷川(幸雄)さんもそうだけど、100%自信があって怒鳴ってるんじゃない。黒沢監督もしかり。自分の中の弱さがある。弱さを相手にぶつけちゃう」と話した。
さらには、「鈴木さんには自信がないと思う。演出として」と、その胸の内を推察。そして、「鈴木さんも帰り道、(罵声を浴びせたことについて)反省するわけです」と思いやった。多くのドラマ経験を持つ牧野に対しては「牧野さんも50過ぎてるわけだからそこを感じてほしいな」と言及した。

高橋克実「演劇の世界では普通」

「演劇の世界では普通ですから」と擁護し、波紋が広がっている。さらに高橋は「(役者はまず)人格否定から始まる」「喋る前から『違う』と言われたり」と舞台演劇の”常識”を説明し、その上で鈴木の行動に「パワハラではない」との見解を示した。

加藤浩次「いろんな感情がもつれているのかな」

「よくわからない」とこぼしつつも「何日か前に辞めるかもしれない可能性があるとなったら当然代役も探します。代役が決められたから出ませんというのもおかしい。いろんな感情がもつれているのかな」。それでも降板した2人の女優に対しては「やっぱり出てほしかった」と話した。

小倉智昭「ちょっと気の毒」

小倉キャスターは「人気女優の鈴木砂羽さんだからこれだけ大きな問題になったんだろう」とし、「小規模で短期間でやるような芝居って、演劇関係者って熱い人が多いから、稽古場でつかみ合いなんて日常茶飯事だと思う。それがこんな騒ぎになっちゃったの?」と首をひねった。「牧野さんと鳳さんとブログにも相当温度差がある」と分析し、「砂羽さんのイメージにも影響しちゃうから、ちょっと気の毒にも感じちゃう」と鈴木を擁護した。

東国原英夫「砂羽さんに管理能力がない」

「リーダーとしての鈴木砂羽さんに管理能力がないなと。こういうゴタゴタが起きたことを重く受け止めないといけない」とピシャリ。「女優と演出家ってある1点だけでも尊敬されていないと成り立たない。それが最初からなかったんじゃないか。お互いが尊敬し合ってなかったんだろうね」と最初から人間関係が築けてなかったことを指摘した。

松嶋尚美「土下座させた空気では…」

多くの芸能人が「プロなら降板すべきでない」「鈴木砂羽の管理能力の問題」の2つの問題に触れるなか、松嶋尚美が気になるコメントをしています。なんと同じ事務所に劇団員がいるとのことで、現場の雰囲気について証言しています。

「うちの事務所の女の子がこの劇団に入っていて、その現場も見ていたらしい」と同じ所属事務所の女優に当該劇団員がいることを告白。その劇団員からの証言として「正直、砂羽さんがワーッて怒って土下座さすとか、そんな空気ではなかったと。その子が見ている限りだと(そうだった)と言っていた」と現場の雰囲気を明かした。さらに「勘違いとか、そうさせられていると思い込んでいるとか、そういうことかも」と行き違いではないかと推察した。

安藤優子「嫉妬では?」

こちらも他の人とはちょっと違った角度のコメント。

有名人の鈴木フォローが目立つ中、同じ13日の生放送「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)で安藤優子キャスターが漏らした言葉に、密かに注目が集まっている。
「事件の真相について、2人の女優の鈴木に対する“女性特有の嫉妬心”が関係しているのではないかとコメントしていましたが、妙にしっくりきましたね。江頭さんを尊敬するあまり、鈴木に江頭さんをとられたような気になって、思わず感情的になったというのが正解ではないでしょうか。そうじゃないと降板しないでは。仕事ですから」(前出・女性誌記者)

橋本マナミ「女性同士はぶつかりあう」

橋本マナミも女性の立場からその心理を推察するコメントをしています。

そんな中、坂上は今回の騒動で登場するメンバーが鈴木、降板した2人の女優、プロデューサーで劇団の主宰の江頭美智留さん(54)、演出助手を含めてすべて女性であることを指摘。これに橋本は「女性はやっぱり合わない人とは合わないと思うし、負けず嫌いというか、我が強いから戦ってしまう。性格にもよるとは思うんですけど…」と分析。さらに、自身の舞台経験を振り返り、「特に舞台って毎日ずっと一緒にいる。そりゃ、合わなくなりますよ」とぶっちゃけ。「やっぱりぶつかる。どっかでそんなに仲良くできない。そんなもんですよ!」と続け、驚かせた。

結論は出ないが…鈴木の性格にも問題あり!?

「ブチ切れ」やすい性格、過去にもトラブル

「飾り気のない豪快キャラで、好感度も高い鈴木ですが、スタッフや後輩俳優への態度はバラエティ番組とは全く違う素顔だとも。15年11月17日発売の『週刊女性』(主婦と生活社)で『鈴木砂羽 ドラマ撮影現場で起きた4つのブチ切れ事件』と告発されたこともあり、当時放送されていたドラマ『オトナ女子』(フジテレビ系)の現場でもスタッフに「こんなダサい服、着てられない」「いつまで待たせるんだよ。助監督呼んで来い」と口悪くキレていたことが報じられている。制作スタッフはシガラミも多いのでタレントには逆らえない立場ですが、共演者とはいつトラブルになるかと周囲からも懸念されていた」

この手の、「キレやすい鈴木砂羽」のエピソードや証言を紹介する記事は他にも来ていました。下で紹介するエピソードは、その後謝りに行くとケロッとしていた…というオチが。その辺のオン・オフがものすごく激しい人みたいです。

以前、鈴木から「今でも忘れられない“すさまじい怒り”を受けた」という同氏。鈴木が見せた“すさまじい憤怒”とは?
「私のミスで、彼女の書いた文章を許可なく改変したまま掲載してしまったのですが『いったい、どうなってんの!』『こんなのプロの仕事じゃない!』と20分ぐらい電話でどやされました。いまでも夢に出てくるぐらい怖かったですね」

初の舞台演出で入れ込んでいた?

もともと、鈴木砂羽には自身でプロデュース公演をしたいという夢があったらしく、初となる今回の舞台演出にかける思いは相当なものがあったようです。そのせいなのか?下の日刊ゲンダイの記事では、脚本の何度も書き直させたり、女優を怒鳴りつけたりと「女王ぶり」が伝えられています。

「舐められたくないという思いが強かったためか、舞台の稽古初日から威圧的に見えました。8月初頭に、本読みが始まったのですが、鳳さんと牧野さんは9月から始まるネットドラマの撮影のために、稽古に来られないことがあった。ここで甘い顔を見せてはいけないと考えたのではないでしょうか」(前出・演劇関係者)
「すっかり不機嫌になった砂羽さんに対し、牧野さんと鳳さんをキャスティングしたプロデューサーで脚本家の江頭美智留さんが、『私が時間の確認をしなかったのがいけなかった』と謝罪したんです。ただ、この日の早上がりについては8月の時点ですでに砂羽さんに通知済みでした。本来なら江頭さんは謝らなくてもいいはずですが、どういうわけかアッサリ謝罪してしまって、牧野さんも頭を下げ、鳳さんは涙を浮かべながら床に頭をつけていました」

結論は出ないが…

降板した女優の事務所に対しては「売名」説もささやかれていますが、その事務所側が「幕引き」宣言をした以上、真相は当事者にしかわかりません。そもそも当事者の女優2人のブログを読んでもなんとなく噛み合っていないというか温度差があるようにも感じます。松嶋尚美や日刊ゲンダイによる現場の証言を見ると「強要」まではいかなかったようにも思えますが、鈴木の過去の言動や現場の様子を聞くに相当にピリついた空気が流れていたのも事実だったようにも感じます。