特集2017年1月29日更新
なぜ消極的に?若者の恋愛離れ
若者の恋愛離れがメディアに取り沙汰されるようになって久しいですが、実際に現代に生きる若者は、どのくらい恋愛に消極的になっているのでしょうか。また、なぜ恋愛をしないのでしょうか。その理由についてもまとめてみました。
若者の恋愛離れに関する実態
若者の恋人の有無に関するアンケート結果
一口に若者の恋愛離れといって、その実態はどういう状況なのでしょうか。Woman Insightの記事では、今の20代の「成人を迎えた当時に恋人がいた割合」は30代・40代に比べて約10%少なく、恋愛離れが進んでいるというアンケート結果が紹介されています。
■成人を迎えた当時、 恋人はいましたか?
<20~24歳>
はい:50.15%
いいえ:49.85%
<25~29歳>
はい:49.91%
いいえ:50.09%
<30~39歳>
はい:57.98%
いいえ:42.02%
<40歳以上>
はい:60.15%
いいえ:39.85%
自分が成人を迎えた当時に恋人がいた割合は、 30代・40代の「約60%」に対して、 20代は「約50%」と減少。 やはり若い世代の恋愛離れは存在し、 この10年で約10%の恋愛離れが進んだと言えるかもしれません…!
若者の恋愛に対する意識
恋愛に対して「消極的」
恋愛に対してそもそも消極的になっていると言われています。現状、特に20代・30代男性の「恋人がいない」「告白をしたことがない」割合が他の年代に比べても多く、恋愛に消極的であることがアンケート結果から読み取れます。
「恋人がいない男性の恋愛遍歴」
◆「現在、恋人のいない男性」のうち「女性と交際したいと思うが交際経験がない」は19%、「女性と交際した経験もないし、交際したいとも思わない」は8%を占め、交際経験がない男性が約30%を占める
「自分から告白をしたことがない割合」
「自分から告白をしたことがない」人がどれだけいるのかを調査したところ、特徴的なのが、20、30代の男性の割合。
20代で4割、30代で3割を超えるなど、他の年代と比較するとかなり多いといえる。やはり若者の草食化は進んでいるようだ。
恋人がいる若者も「消極的」
おもしろいのが現在付き合っている恋人がいる若者でさえ恋愛に消極的になっている傾向があるということです。具体的には恋愛に対して大変な思いをするのが嫌で惰性で今の相手と付き合い続けたり、新たな恋愛にチャレンジしなかったり、といった具合です。
すでに彼氏・彼女がいる人はどうだろうか。その大変な思いをするのがいやで、「次の相手を探すのがめんどくさい」と惰性・妥協で今の交際相手と付き合い続ける人も少なくないようだ。
■20代では4人に1人が消極的「別れたくない」
20代、30代で特に高く、男女ともに4人から5人に1人の割合だった。「若者の恋愛離れ」は、入れ替わり制のない恋愛市場をも産んでしまっているようだ。
若者の恋愛離れの原因は?
若者の恋愛離れの理由
それでは、これほどまでに恋愛離れが起こっている要因として、何が考えられるのでしょうか?原因はひとつではなく、若者それぞれに抱えている問題や優先順位があるようです。
・お金
恋愛をするには当然、デートや身だしなみに気を付けたりするためにお金が必要になってくるものです。恋愛を費用対効果で考えた末、恋愛をしないという選択肢もあるようです。
少子高齢化問題が深刻になる中でも、若者の恋愛離れは止まらない。恋愛をしなくなった理由のひとつに、お金がかかることが挙げられる。
そこでしらべぇ編集部は、「恋愛はコスパが悪い」と思っている人を調査。その結果、24.2%の人が思うと回答した。
そこには損得勘定だけでなく、生活がギリギリのため、恋愛したくてもできない事情を抱える人もいるようです。
■低所得者ほど恋愛離れせざるを得ない
なぜ恋愛に興味がないのかを聞くと、こんな意見も上がった。
「彼女がいない今でも、生活はギリギリの状態。彼女ができたら、さらにお金がかかるのでいらない」(20代男性)
・趣味のほうが大事
趣味の多様化が進んだ現代では恋愛以外のことに情熱を注ぐ男性たちも増えています。
「女性との交際経験もなく、女性と交際したいとも思わない」と回答した男性を対象に、その理由についてアンケート調査を行った結果、「趣味に時間を費やしたいから」が最も多く43%だった。
・結婚に興味がない
女性に関しては「結婚に興味がない」という回答が多く、結婚に興味がないと話す一方で、恋愛と結婚を密に考えている人も多いようです。
「男性と交際経験もなく、男性と交際したいとも思わない」と回答した女性を対象に、その理由についてアンケート調査を行なった結果、「結婚に興味がないから」が最も多く33%だった。
・疑似恋愛で満足
恋愛シミュレーションゲームやアイドルのコンテンツなどが出回っている現代、その擬似恋愛体験で満足しているという現代ならではの理由もあります。 現実に人との恋愛をするより楽で経済的ですからね。
近年の恋愛に消極的な「草食系」「絶食系」に代表されるように、男女という全く別の生き物がわかり合おうとすることにメリットを感じられないのではないか、と。
さらに、ゲームやアイドルなどへの『コンテンツ愛』が充実するほど、現実の恋愛模様や人間関係が価値のないもののように思え、「めんどくさい」と避けようとしてしまうのではないか
若者の恋愛離れに対して少し的はずれな意見も
最近は恋愛や結婚への意欲が復活傾向に
増加の一途を辿っているように見えた若者の恋愛離れですが、ここ最近のアンケート結果では「恋人が欲しい」と答える若者が増えてきており、早婚志向を持っている若者も多いようです。その原因として、昨年大ヒットした『君の名は。』の効果を挙げるメディアも。
「交際相手がいる割合」
1996年には「交際相手がいる」割合は50.0%だったが、その後年を追うごとにどんどん減少。リーマンショックが起こった2008年には30%を切る29.2%、さらに東日本大震災があった2011年は23.0%にまで減少した。しかし2012年からは増加傾向に転じ、2017年は昨年より4.5ポイントアップの30.7%と、久しぶりに3割を超えた。
「交際相手がいないが、ほしいと思う割合」
昨年と比較して大きな変化が見られたのが、交際相手がいないと答えた男女に「交際相手をほしいと思いますか」と質問したところ、なんと男女ともに昨年と比べて10%以上増加。2007年以来の高水準である74.7%にまで上昇しました。
また、交際相手がほしい理由としては、「一緒に過ごす相手が欲しい」が男女ともに断トツの1位に。「ときめきたい」が2位に続き、少女マンガの映画化が続いた昨今、映画のような恋がしたいと思う男女が増えたのでしょうか。
そもそも昔から恋人がいる割合は変わらないという話も
しかし長い目で歴史を辿れば、過去にも同様の水準があり、それほど悲観的になる必要はないという意見もあるようです。
1982年から2015年にかけて「異性の恋人(婚約者含む)がいる」という男性は、
22%(1982年)→22%(1987年)→26%(1992年)→26%(1997年)→25%(2002年)→27%(2005年)→25%(2010年)→21%(2015年)
と、途中でむしろ一旦上昇し、現在は1982年時点の水準に落ち着いたに過ぎないことがわかります。大きな流れでみれば、ほぼ変わらないと言ってもいいでしょう。
現在の若者の恋愛事情を垣間見ることができましたでしょうか。時代によって恋愛スタイルは変わったように見えても、恋愛そのものはそんなに変わりがないようにも思えます。今どきの若者にはそれぞれのスタイルで存分に恋愛を謳歌してほしいものです。
若者の恋愛離れについて指摘される中、一方で的はずれな意見を報じるメディアも出てきており、ネットで大きな反響を呼びました。また、もともと「草食男子」は褒め言葉であったと、生みの親である深澤真紀氏が現在の的はずれな使われ方に苦言を呈しています。
もともと褒め言葉として作られた「草食男子」