山内昌之のニュース

「アラブの春」からシリア戦争に~5年目の春 その1~

Japan In-depth / 2016年02月09日23時00分

山内昌之(東京大学名誉教授・明治大学特任教授) アラブの春はどこへ行ったのだろうか。2015年1月は、アラブの春から五周年にあたる。2011年にチュニジアから始まった変革が、1968年の「プラハの春」のひそみにならって、アラブの春と呼ばれたのはさほど遠い過去ではない。変革の波がチュニジアからエジプトに波及すると、公権力の抑圧にもまして市民同士の対立も激しく [全文を読む]

[山内昌之]【露空軍機撃墜でトルコ窮地に】~日中・偶発的衝突への教訓に~

Japan In-depth / 2015年12月02日23時00分

11月24日のトルコ軍機によるロシア軍機の撃墜は、シリア問題や露土関係に緊迫感を与えている。パリで開かれた気候変動会議の裏舞台では、この問題が首脳たちに緊張感をもたらしている。安倍晋三首相は、エルドアンとプーチンの両大統領の仲介をとる意志を表した。まことに結構なことである。トルコは、エネルギーの需給関係から見るなら、ガス供給国のロシアに依存というより従属し [全文を読む]

[山内昌之]【イランのウィーン最終合意は「歴史的第一歩」か】~数年後、秘密核開発が露見する可能性大~

Japan In-depth / 2015年08月04日07時00分

7月15日にウィーンでいわゆるP5(国連安保理常任理事国)+1(ドイツ)、またはEU3+3と、イランとの間にウラン濃縮の中止に関わる最終合意が成立した。正しくは、包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action JCPOA)と呼ばれるものだ。イランの核開発計画の減速(遠心分離機の3分の2の縮減、保有濃縮ウランの98% [全文を読む]

「野田政権とは何だったのか」が分かる3冊を山内昌之氏選出

NEWSポストセブン / 2012年12月20日16時00分

今回は、「2013年を乗り切るためにこれを読め!」と題し、明治大学特任教授の山内昌之氏が、「野田政権とは何だったのか」を知る3冊をピックアップした。以下、その3冊と山内氏の解説だ。 【1】『素志貫徹 内閣総理大臣 野田佳彦の軌跡』(松下政経塾/国政情報センター) 【2】『政権交代の試練』(前原誠司/新潮社) 【3】『民主瓦解』(読売新聞政治部/新潮社) 【 [全文を読む]

【書評】秀頼に徳川主導を認めさせながらの豊臣との共存共栄

NEWSポストセブン / 2017年04月19日16時00分

【書評】『徳川家康 われ一人 腹を切て、万民を助くべし』/笠谷和比古・著/ミネルヴァ書房/3500円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) 著者には歴史家に必要な構想力と考証力と叙述力が過不足なく備わっている。まずは現時点での家康伝の決定版が誕生したことを喜びたい。 徳川家康は、豊臣秀頼との二重公儀体制を受け入れる用意があった。著者は、西国における豊臣 [全文を読む]

【書評】戦間期の日本海軍と統帥権学べる9500円の好著

NEWSポストセブン / 2017年02月24日16時00分

【書評】『戦間期の 日本海軍と統帥権』太田久元・著/吉川弘文館/9500円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) 太平洋戦争中のミッドウェー海戦ひいては大戦の悲劇的な大敗の遠因は、日本海軍の中に政治と軍事の関係をバランスよく考える現役将官が少なかった点と無縁ではない。 昭和7~8年(1932~33)の大角岑生海軍大臣の人事は、作戦にあたる軍令部を軍政の [全文を読む]

歴史学者・山内昌之が選ぶ「戦争を考える本」5冊

NEWSポストセブン / 2017年01月18日16時00分

歴史学者・山内昌之氏が5冊を選んだ。 * * * 戦争は起こしてはならないものだ。しかし、戦争は平和と不可分の歴史的事象である。中国や北朝鮮の挑発をかわし、平和を揺るぎなくするには、戦争の愚行を原因と本質に遡って多面的に理解する必要がある。 戦争は理論だけでなく、具体的な事実として歴史に依拠して考える必要がある。このためには、歴史書を読むだけでなく、戦史や [全文を読む]

【書評】日本を米中の手駒にさせない決意を固めよ

NEWSポストセブン / 2016年12月21日16時00分

明治大学特任教授・山内昌之氏は、現在の米中関係を読み解く書として『米中もし戦わば 戦争の地政学』(ピーター・ナヴァロ・著/赤根洋子・訳/文藝春秋/1940円+税)を推す。山内氏が同書について解説する。 * * * 次期米大統領のトランプは、台湾の蔡英文総統と電話で会談し、中国への強硬姿勢を示した。これは、貿易収支や北朝鮮の問題をめぐり、中国政府から譲歩を引 [全文を読む]

【書評】タレントの問いが引き出す安全保障の分かり易い説明

NEWSポストセブン / 2016年12月08日07時00分

【書評】『岡部いさく&能勢伸之の ヨリヌキ週刊安全保障』/岡部いさく(監修・執筆・イラスト)能勢伸之・執筆/大日本絵画/2300円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) あるテレビ放送で「安全保障」について毎日、毎週ごとに番組を編成していることはあまり知られていない。その番組アンカーとゲストの軍事評論家の対談のエキスを編集した本である。そこに軍事を知ら [全文を読む]

シリア情勢と米大統領選挙 アレッポを巡る米露土三国の思惑

Japan In-depth / 2016年10月25日19時00分

山内昌之(東京大学名誉教授・明治大学特任教授)■アレッポの現況シリア情勢は、アサド大統領の政府軍によるアレッポ包囲やロシア軍の空爆によって緊迫した様相を呈している。シリア北部アレッポで、ロシアが人道支援名目で実施した一時停戦が10月22日午後に期限を迎え、空爆と戦闘が再開された。9月30日の世界保健機関(WHO)の発表によれば、北部の中心都市アレッポへの政 [全文を読む]

「生前退位」有識者会議が天皇の希望も世論も無視、官邸の意向で“一代限り特別法“にすでに決定済み!

リテラ / 2016年10月22日19時30分

実際、メンバーの山内昌之東大名誉教授は、同日夜のBSフジの番組で「特別法を出すことで、まず(生前退位を)解決する。それが一段落してから皇室典範改正に取り組む姿勢を打ち出すことは、荒唐無稽のことではない」と、世論を無視することの予防線をはるような発言もしている。 改めて指摘しておくが、憲法2条には《皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めると [全文を読む]

【書評】アラブの良心というべきチュニジア市民の生きた声

NEWSポストセブン / 2016年10月21日07時00分

【書評】『チュニジア革命と民主化 人類学的プロセス・ ドキュメンテーションの試み』鷹木恵子著/明石書店/5800円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) チュニジアは「アラブの春」の始まった地であり、成功した市民参加型革命を歴史に刻んだ国でもある。リーダーなき国で壮大な社会開発プロジェクトともいえる試みが成功したのだ。その原因を、丹念な現地取材と徹底し [全文を読む]

【書評】サウジの内政改革案にも触れ原油価格上昇時期を分析

NEWSポストセブン / 2016年08月17日16時00分

【書評】『原油暴落の 謎を解く』岩瀬昇著/文春新書/800円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) 人口増が起これば、長期的にエネルギー需要は伸びていく。現在72億人の世界人口は、2035年には85億人に、40年には90億人になるとも言われている。著者は、こうした長期トレンドに加えて、将来の需給バランスの見通しを市場参加者が判断材料とする限り、やがて石 [全文を読む]

【書評】谷崎潤一郎の料理的な作品の秘密は暗い思い出発

NEWSポストセブン / 2016年06月04日16時00分

【書評】『食魔 谷崎潤一郎』/坂本葵 著/新潮新書/760円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) 谷崎潤一郎は、三日に一遍は美食をしないと、仕事が手につかなかったという。三島由紀夫ではないが、谷崎の小説は読んでいても美味しいのである。 坂本葵氏は、谷崎の作品が「料理的」である秘密を、少年期に裕福だった家が没落し、築地精養軒の経営者の家に家庭教師兼書生 [全文を読む]

「中東・欧州複合危機」の予兆

Japan In-depth / 2016年03月29日12時00分

山内昌之(東京大学名誉教授・明治大学特任教授)テロリストによる爆破事件や陰謀に関わるニュースを聞かない日はない。その多くは、アラブはじめ中東からヨーロッパに移住した家族に生まれた者か、シリアなどの難民にまぎれこむか偽装した形でヨーロッパに来着した者たちである。2016年3月22日にブリュッセル国際空港と市内で起きた同時テロは、ヨーロッパに根を張ったテロ・ネ [全文を読む]

【書評】編纂に当たった撰者の史観を反映した国家の公式史

NEWSポストセブン / 2016年03月25日07時00分

【書評】『六国史 ―日本書紀に始まる古代の「正史」』/遠藤慶太・著/中公新書/820円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) 六国史とは、『日本書紀』に始まり、『日本三代実録』に終わる政府編纂の「国史」六部を指す。六国史は、官報を綴じこんだ史観のない書物という低い評価もある。しかし著者は、公文書や目録を材料とした高度の情報が集約されており、政府の記録と [全文を読む]

「アラブの春」からシリア戦争に~5年目の春 その2~

Japan In-depth / 2016年02月09日23時00分

山内昌之(東京大学名誉教授・明治大学特任教授) 2015年10月30日と11月14日に開かれたシリア問題に関するウィーン会議は、それぞれロシアのシリア空爆開始とパリの大テロに触発されていた。オバマにとって主要な関心は、いかにしてISを殲滅させるかに移り、アサド体制の消滅によるシリア民主化の理想は色褪せてきたのだ。もはやアラブの春をプラハの春と並べて讃えた米 [全文を読む]

【書評】赤穂義士の心中に切ないほど同化できる日本人とは

NEWSポストセブン / 2016年02月07日16時00分

【書評】『花の忠臣蔵』野口武彦/講談社/2200円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) 本書は『日本誌』の著者ケンペルが瀬戸内から赤穂城を眺め、藩札が流用している現実に驚くところから始まる。ともかく人口稠密の江戸を見物し、千代田の城に上がって将軍綱吉に目見得をしたドイツ人も、お上の御威光で金はどこからでも入ると思い込む侍たちの消費感覚には驚愕したこと [全文を読む]

「ISの行動はテロではない。ポストモダン型戦争に」と専門家

NEWSポストセブン / 2016年02月01日07時00分

中東・イスラム世界の研究者として知られる山内昌之・明治大学特任教授は、この新たな動きに対して米欧の価値観を押しつけるだけでは解決の道は見えてこないと指摘し、中東情勢を解く場合に基礎となる条件と特徴をあげる。 * * * 中東の中心的な懸案はこれまで、パレスチナ問題をめぐるイスラエルとアラブとの紛争であり、イランの核開発問題であったが、これらはISの台頭によ [全文を読む]

【書評】震災時の各国支援と放射能問題への世論の動きを検証

NEWSポストセブン / 2015年08月06日16時00分

【書評】『大震災に学ぶ社会科学第7巻 大震災・原発危機下の国際関係』恒川惠市編/東洋経済新報社/3700円+税 【評者】山内昌之(明治大学特任教授) 東日本大震災は、日本の国際イメージにも大きな影響を与えた。日本は適切に震災と福島原発事故に対処したのか否か、検証も不可欠である。日本は外国による支援の申し出を相応に処理し、米軍と自衛隊の協力もうまく進んだと考 [全文を読む]

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