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円安、輸入物価落ち着くとの前提弱める可能性=植田日銀総裁

ロイター / 2024年5月8日 19時56分

 5月8日、日銀の植田和男総裁は都内で講演し、物価を巡るリスクのとして今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向を挙げた。日銀本店で先月19日撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[東京 8日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は8日、都内で講演し、物価を巡るリスクとして今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向を挙げた。日銀は輸入物価の上昇が次第に落ち着いていくとみているが、植田総裁は、円安がその前提を弱める可能性があるとの見方を示した。講演後の質疑応答では、急速かつ一方的な円安は日本経済にマイナスだと警戒感を示した。

今後の金融政策運営については、先行き日銀の見通しに沿って基調的な物価上昇率が高まっていけば「緩和度合いを調整していくことになる」と述べた。

植田総裁は、原油高や円安が、輸入物価上昇を起点とするコストプッシュ圧力が落ち着いていくとの見通しの前提を弱める可能性があると指摘。企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは、意識しておく必要がある」との見解を改めて示した。

また、経済・物価見通しやそれを巡るリスクが変化すれば「当然、金利を動かす理由となる」との見方を示した。物価を巡るリスクが上下双方向に引き続き大きいことを認識しておく必要があるとした上で「仮に、物価見通しが上振れたり、あるいは上振れリスクが大きくなった場合には、金利をより早めに調整していくことが適当になる」と述べた。

一方で、見通しが下振れたり、下振れリスクが高まった場合には「現在の緩和的な環境をより長く維持していくことが求められる」と指摘。経済・物価に対する大きな下方ショックが生じるような場合には、これまで用いてきたさまざまな非伝統的な手段も含め、あらゆる手段を予め排除することなく、対応を考えていくことになると話した。

<自然利子率、実質金利を相応に下回る>

日銀は3月に大規模な金融緩和を終え、短期金利を主な操作対象とする金融政策に移行した。3月の金融政策決定会合の声明文では「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続する」と明記した。

植田総裁は講演で、金融環境の緩和度合いについて、金利動向に加え金融機関の貸出態度や市場環境なども踏まえて「総合的に評価している」と説明。その上で、実質金利は足元で「短期で見ても長期で見ても、大幅なマイナスとなっている」とした。

植田総裁は自然利子率について議論を展開。自然利子率は景気・物価に対して中立的な実質金利の水準で緩和度合いを測る物差しになるが、その推計は難しく、4月の展望リポートでは推計手法によって非常に幅が広いことを示している。

植田総裁は、さまざまな自然利子率の試算値をみても現時点では実質金利が自然利子率を相応に下回っており「金融環境が緩和的であることは確かだ」と指摘。このことは、引き続き経済をしっかりと支える方向に作用していくと述べた。

<急速かつ一方的な円安、「経済にマイナス」>

植田総裁は読売国際経済懇話会で講演し、その後の質疑応答では為替に関する質問が目立った。総裁は円安の影響について、業種や企業規模、経済主体によってさまざまだとする一方で、急速かつ一方的な円安は企業の事業計画などに影響し「日本経済にマイナスで、望ましくない」と発言した。

その上で、為替が基調的な物価上昇率に重大な影響を及ぼすのであれば「当然、政策対応を考えていく」と明言し、為替の動向を注視していく意向を示した。

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