義父母の家から徒歩10分は「近すぎた…」。共働き女性、引っ越しを機に義父母との距離感に悩む
オールアバウト / 2024年4月16日 22時5分
引っ越しを機に義父母との関係が近くなり、付き合い方がわからなくなった40代のワーママ。共働き家庭にとって、身内が近所にいるのは便利な一面もあるのだが……。
ふたり目の子が小学校に入り、保育園時代より時間的に苦しくなったとき、夫の両親が「近くのマンションが空いたから買えば?」と言ってきた。共働きだし、なんとか買える価格でもある。思い切って購入、引っ越しもすませた。そこで問題となるのが義父母との距離感だ。
最初にルールは作ったけれど
結婚して14年、長男が12歳、次男が8歳となったミナさん(44歳)。次男が小学校に入った昨年春、夫の実家近くに引っ越した。「長男は私立に通っていて、引っ越し先からむしろ通学時間が減って楽になったようです。次男は受験が嫌だというから公立に決めていました。一昨年暮れ、ちょうどいいタイミングで、夫の両親から『すぐ近くの築浅マンションが売りに出るみたいだからどう?』と言われたんです。
いろいろ調べて、共働きだから買えないこともない、今後のことを考えると義父母が子どもを見ていてくれる安心感もある。ということで夫婦で引っ越すことを決めました」
ミナさんが気になったのは、夫の両親との付き合い方だ。正直言えば、子どもたちだけで家にいる時間があるのは避けたい。義母が夕方まで来てくれるのか、あるいは義父母の家に子どもがいることになるのか。連絡を頻繁にとるために義父母とミナさん夫婦のグループLINEも作った。
「義父母はやたらと張り切っていました。これまでコロナ禍もあって頻繁に孫に会える状態ではなかったから、うれしかったんでしょう。でも私はその張り切り方に、むしろ不安が募りました」
孫育てに張り切りすぎる義母
4月に学校が始まると、学校からの連絡はミナさんが受け、自分がどうしても行かれない行事のときだけ義母に頼むことにした。だが義母はその情報を、すぐに共有しろと言い出した。「あくまで私たちが親、義父母は応援、協力の形でお願いしますと私は最初に言ったんですよ。私もリモートでも仕事できる日もあるし、全面協力は必要ない、と。お菓子をやたらに与えないで、お金を与えないで、親の悪口を言わないでとか、基本的なルールも紙に書いて渡しました。
夕食まで食べさせてほしいということはほとんどありません。できれば子どもの帰りに合わせて家に来てもらったほうが、子どもたちも宿題などができるからいいなと思っていました。だけど義父母は子どもを家によこせという。でも学校から直で義父母のところに行くと、義父母が用意したゲームで遊んでばかりになる。
そこは許容できないところもあったので、夫とも何度も話し合いながら、3回に1回は義父母の家でいいけれど、あとはわが家に義父母のどちらかが来てくれるとありがたいと伝えました」
義父母はどちらも70代前半。元気だし、徒歩10分程度の距離なので散歩がてら歩いてくるにはいいだろうと夫が説得した。
義父母と距離感が近くなった結果
義父母に子どもの世話を頼んでいることもあり、ミナさんはときどき義父母と食事に出かけるようになった。「義父が焼き肉好きで、近くにおいしい店があるので、そこで合流することが多いですね。帰りはみんなで義父母を送りがてら家に行き、お茶を飲んだりしてから自宅に戻る。ただ、義父母は常識がないところがあって……。子どもたちと一緒に歩きたがって、歩道の幅いっぱいに横に広がるんですよ。
私はつい子どもたちに『横に並ばないの、他の人が通れないでしょう』と注意してしまうんですが、義母は『いいの、一緒に並んで歩きたいの』と耳を貸さない」
しかも義母は途中であめ玉をなめだして、その包装紙を道端に捨ててしまう。義父は鼻をかんだ紙を捨てるありさまだ。さすがに夫が注意したが、それもまた聞こうとしない。
「子どもの前だからやめてほしいと私が言ったら、義父が『もう、おまえら帰れ』と途中で怒りだしてしまった。夫が『じゃあ、帰ろう』と私たち一家は反対方向へと踵を返した。すると義母が『行かないでよ』と急に感情的になって」
「私、冷たいでしょうか」
夫はもともと特に義父母とべったりというわけではない。ただ、親のほうが子離れしておらず、このままだと孫にべったりになると夫は危惧しているそうだ。「私も急に義父母との距離が近くなったので、どう付き合っていいかわからないままこの1年を過ごしてきました。次男も小学校2年生になるし、長男は学校で夕方まで過ごして帰ってくることもある。次男はこの春から学童に行かせることにしました。
民間なので高くつきますが、次男のためにもいいと思って。当然、義父母からは苦情がありましたが、会えなくなるわけじゃないからと夫に話してもらいました」
孫と私を引き裂くつもりね、と義母に電話で言われたことが心に残っているが、「そうではない。子どものため」とはっきり言った。
「これからもいろいろあるでしょうね。介護が必要となったとき、ひとりっ子の夫にすべての負担がかかってくるのも不安です。でもなんとかふたりで乗り切っていくしかない。距離が近くなれば情もわくけど、必要以上に情に流されてもいけないなと改めて思っています」
私、冷たいですかねえとミナさんは最後に不安そうに言った。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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