1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

―無私の情熱― 画家・櫻井陽司の顕彰会が始動 生誕100年展を、ギャルリさわらびにて年内に開催

@Press / 2015年8月28日 10時0分

「少年」櫻井陽司
ギャルリさわらび(所在地:東京都中央区)は、櫻井陽司の芸術研究、及び顕彰を主な目的とした顕彰会が始動したことをお知らせいたします。


■櫻井陽司会(さくらいようしかい)入会のご案内
櫻井陽司さんが戦後まもなくの頃に描いた「少年」のデッサンがあります。その鋭利な眼光は、困難な時代に打ち克とうとする強い意志を感じさせます。東日本大震災の時、水を運ぶ少年の写真が話題になりました。瓦礫の中を口を引き結んで、井戸からの水をペットボトルに入れて何往復も運んだ少年。その写真を見た瞬間に、デッサンの少年がだぶり、そして二人は私の中で一つになりました。戦後すぐと大震災という現実の危機に直面した二人の少年の姿が。
其の姿には、詩があり、そして剣があります。以前、ギャルリさわらびの櫻井陽司展で、櫻井さんの絵をそう表現しました。詩を描いて詩情に流されず、強靭な意志を抱いてそれに固執せず、その両者がぎりぎりのところで結び、しなやかに振るわれる剣の如くの描線。一本の線の厳しさと清らかさに、自然と背筋を伸ばされる想いが致します。

「自分の絵は、日本人の油絵になると思う」と、櫻井さんは言います。彫刻家のアルベルト・ジャコメッティの言葉に共感していた櫻井さんですが、其処に見る「(セザンヌは)主観を捨てて自然を忠実に模写しようとしたのだ。しかし結果においてセザンヌの絵ほど個性的なものはほかにない」という、いわば無私の精神、或いは、個性的であろうとするのではなく、美しく、時に厳しく、そして儚い自然と一体となるこころのありようは、日本の歴史や伝統文化の中に、様々なかたちで顕れたものでしょう。美術に限らず、多くの外来の文物を受容し、換骨奪胎させ、他に無いものをつくり出すのが、日本の大きな特質ですが、油彩画という外来の材料や手法によって、何処にもない、日本人の油絵を描くという点で、櫻井さんは大きな成果を残しました。足下を見失わない、根あるゆえの芸術的普遍性が、時代を背負いつつ時代を突き抜ける力となって、今を生きる私共に、そしてこれからも多くの人々に力を与えてくれるでしょう。

「自分も捨てて何も捨てて・・」と語る櫻井さんの精神は、其れであるが故に澄み、其れであるが故に時に激しく、そして深い静けさとあたたかさを具えています。その描線は、現代合理主義や理性主義的人智万能の驕りを超えてかがやき、古来受け継がれてきた厳しくも儚いゆえのしなやかな美を、其れゆえの「永遠」に触れる力を、今に顕現させているのです。

櫻井陽司会の発足は、平成24年5月2日、櫻井陽司さんのご子息、櫻井研(みがく)さんが、「櫻井陽司の芸術研究、及び顕彰、並びに作品保全」のために、「櫻井陽司會」として書面に遺されました。書面には、研さんと私と法律家の方と3名で署名致しました。研さんは、同月25日に逝去され、書面は遺言となりました。ギャルリさわらびでは、平成25年に「櫻井陽司會記念展」を開催いたしました。そして平成27年、櫻井陽司さん生誕100年の御年にあたり、記念展(年末に予定。ギャルリさわらびでの個展としましては、10回目となります)を予定すると共に、画集の計画、櫻井陽司会の具体的運営を始めてまいりたいと存じます。既に2年前に亡くなられ、名も知らなかった櫻井さんのデッサンに出合ったのが平成15年、その感動を機に同年開廊しましたギャルリさわらび12年目の御年でもあります。

会員の皆様には、櫻井陽司研究などをテーマとした年間2回の会報を計画しています。櫻井陽司さんに関する様々な情報などを、会報等で会員がシェア出来るようにもなるでしょう。櫻井陽司展の開催時など、随時、会員様向けサービスを検討して参りますが、皆様と共に、櫻井陽司さんが遺されたものを出来る限り継承し顕彰していくことを第一と致したく存じます。何卒、ご指導ご鞭撻とご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

櫻井陽司さん生誕100年の御年に(平成27年葉月)

櫻井陽司会 田中壽幸
〒104-0061 東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル2階 ギャルリさわらび内
http://www.gsawarabi.com


■(櫻井氏の絵をはじめて見たとき)、「生活実感によって強く打ち出された、ホンモノの仕事であると驚きました」。「これからの絵は人々のうちがわにある共通なモチーフと対話する絵であろうと考えます。櫻井氏は正面からこの問題と闘っています」。[麻生三郎:画家、武蔵野美術大学名誉教授]

■「たしかな描写力で被写体に迫りながら、陰惨なものや醜悪さ通俗さはみじんも感じさせず、リアリスティックなものとロマンティックなものが何の矛盾もなく溶けあい、感傷を越えて個性的な深さとなっている」。[吉岡憲:画家]

■「その迷いの無い筆線は、ハヤブサが空中で獲物を捕らえる時に一気に間を詰めるときの無駄の無い一線を思わせる。その全身的能力によって、一撃で獲物を丸ごと捕らえるような線。このような線は、絶えず鍛錬習練を繰り返した上に、描くという常に一度きりの勝負に身を挺してきた人によって、始めて生み出されるものだ」。[東千賀:画家、桑沢デザイン研究所元専任教授(デッサン)]


■愛知県美術館の木村定三コレクション展(平成27年6~7月)にて、櫻井陽司さんの作品が20点公開されました。館内には櫻井さんが敬愛していたアルベルト・ジャコメッティの作品展示もありました。櫻井さんの作品は、何故こんなにも胸をゆさぶるのだろう、と東京から見に行かれた方からお便りをいただきました。美術館学芸員の方からもお手紙をいただき、櫻井陽司への反響の大きさには、いささか美術館としても驚いているとのことでした。ツイッターでは、同時開催の片岡球子展を見に来たが、櫻井陽司が白眉、これだけはもう一度見ておきたいというツィートがありました。真の個性というものが、どのように生まれるのか。そのことが、人が生きるということの意味とどう通じているのか。櫻井陽司さんの作品に教えられ、感じさせてくれるものは、芸術無限の言葉どおり、限りが無いものと考えています。


■櫻井陽司略歴
1915(T4)新潟県刈羽郡中鯖石村(現柏崎市)生まれ。1928(S3)上京。油絵を始める。1945(S20)板橋の大山にて戦災、作品焼失。1946(S21)職場美術協議会結成、第1回展より出品、47年より議長。1952(S27)麻生三郎、吉岡憲推薦「櫻井陽司素描頒布会(発起人代表 職美協中央美術研究所 杉本鷹)」。1957(S32)名古屋サカエ画廊個展、以後8回。1964(S39)愛知県美術館にて駒井哲郎と二人展。1965(S40)木村定三の紹介にて柏三屋主催展、以後10回。1975(S50)東京サヱグサ画廊個展。1977(S52)宇都宮上野百貨店個展、以後毎年10年。1982(S57)美術ジャーナル主催個展。1985(S60)紙舗「直」個展。1986(S61)名古屋「審美」個展。アートロベ個展、92年迄。1992(H4)名古屋「審美」第2回個展。1994(H6)アートロベ個展、2000年迄。2000(H12)12月24日逝去。2003(H15)ギャルリさわらび個展(開廊記念)、以後9回。2010(H22)東御市梅野記念絵画館「私の愛する一点展」出展、以後毎年。2012(H24)櫻井研氏により「櫻井陽司會」設立。2013(H25)東京芸術劇場「心のアート展」特別展示、安彦講平氏推薦、ギャルリさわらび協力。2015(H27)愛知県美術館木村定三コレクション展にて20点公開。


■「もっともっと感動する 何でもまっしぐらに描けるように目茶苦茶にまっしぐらに勉強したい」 「万巻の書を読むことは、絵の具を使うことよりも大事」 「僕は人に教えて銭を受けようとは思わない、おしえて教えられるものでないものを教えるとはおかしい」 「佐伯(祐三)がだめだと云つた日本を画くのだと云ふ事 これは大変なことだ」 「伝統とは水溜りの様なものでなく深い井戸の様なもので、過去の深く掘り下げた芸術と現在の深く掘り下げた芸術が地下水でつながる このつながりが伝統である」 「きれいなものをきれいらしくかく事はつまらない事でありかへつてきたなく感じる 見られ様とする絵はつまらない 絵が正しくてその正しさが見る者を正す絵が必要」 「孤独を知っている人だけが、いい絵をつくるだろう」 「絵を作ると云ふ事は一種の狂気なのだ 狂気は色彩と形を正確に握ませる 手が動かぬ程の狂気でもデッサンは正確だ」 「90以上生きて、線一本引いて死のう」 櫻井陽司


■現在、画集編纂のための資金集めを致しております。今回、会員になられた皆様には、会報の送付等の他、計画しております画集に、ご協力者としてお名前を掲載させて頂きます(不掲載をご希望の方は、年会費ご入金時にお知らせください)。また、特別会員・法人会員の皆様には、画集の贈呈、その他ご支援内容に応じた御礼を考えさせて頂いています(作品ご購入を希望される方はお知らせください)。画集編纂にあたり、櫻井さんの作品や資料情報がございましたら、お寄せください。画集完成時には、画集出版記念展の開催を予定しています。櫻井陽司さんの作品の清らかなる生命の燃焼を、生誕100年を機に留めたく存じます。何卒、宜しくお願い申し上げます。


■ご入会について
・「櫻井陽司会」にはいつでもご入会いただけます。
・入会ご希望のかたは、ギャルリさわらびのホームページの「櫻井陽司会」をご参照いただくか、下記連絡先までご一報ください。
(ギャルリさわらび TEL:050-3635-3001 FAX:03-5159-0041 http://www.gsawarabi.com )

詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press

【関連画像】

「ランプとパイプ」櫻井陽司「海」櫻井陽司

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください