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エシカルトラベルで沖縄の伝統文化に触れる琉球王族に愛された紅型の染め体験

CREA WEB / 2024年3月15日 7時0分

 現在、全国各地の観光地では、交通機関や施設の混雑、騒音、マナー違反といったオーバーツーリズムが問題になっています。

 これらの問題を防ぐため、沖縄県ではエシカルの概念を取り入れた新しい観光の考え方「エシカルトラベルオキナワ」を展開中。沖縄観光コンベンションビューローが運営する沖縄観光情報WEBサイト「おきなわ物語」では、エシカルな旅を体験できる多数のコンテンツを紹介しています。

 沖縄の自然や伝統文化、産業に触れることができるこれらのコンテンツですが、実際にどんな体験ができるのか、4つのコンテンツをピックアップしてご紹介します。

 第2回は、琉球びんがた染め体験です。


作家から美しい布の世界を学ぶ

◆首里染織館suikara 琉球びんがた染め体験プログラム


びんがた柄に染め上げられた4種類のトートバッグ。体験プログラムでは、このトートの染め体験が楽しめます。

 琉球の都・首里にある「首里染織館suikara」。ここでは、沖縄の伝統的な布の世界を楽しめる「琉球びんがた」と「首里織」の体験プログラムを実施しています。

 琉球びんがたと首里織は沖縄県の無形文化財であり、国指定の伝統的工芸品ですが、もともとは王宮・首里城で王族や貴族、士族が衣装として身に纏っていた高級品。この伝統を現代に継承する場所として、2022年に誕生したのがこの首里染織館suikaraです。

 びんがたや首里織の技法を学んだり作品を鑑賞したりする拠点として琉球びんがた事業協同組合と那覇伝統織物事業協同組合(首里織)によって設立され、後継者育成や体験プログラムの実施、展示ギャラリー・ショップの運営を行っています。


首里染織館suikaraの館内。1階の展示ギャラリーには、びんがたと首里織の作品が数多く飾られています。

 フロアは全3階で、1階は展示ギャラリーとショップコーナー、2階はびんがたの作業フロア、3階は首里織の作業フロアとなっています。

 この施設で体験できるのは、びんがた染めと首里織の機織り。首里織を体験する場合は3階へ。作業室には15台の織機があり、そのうち2台が体験用。職人の指導のもと首里織が楽しめます。


3階にある首里織の工房。

 かつて琉球王国がアジア諸国と盛んに交易していた14~15世紀ごろ、首里城には珍しい品物がたくさん集まり、そのなかにはさまざまな技法で織られた織物があったといいます。その織物を琉球スタイルに昇華させたものが首里織です。


両手両足を巧みに使って首里織を織っていきます。

 首里織は5種類あり、なかでも織るのが難しいといわれているのが「首里花倉織」。透ける絽織と花織が一枚の布の中に共存する夏衣用の織物で、王族しか身につけられなかったもの。

 現在約96人いる組合員たちのなかでも、首里花倉織を織れるのは25人ほどなのだとか。繊細な模様が美しい首里織は高度な技術を必要とするもので、この技術を伝承していくために後継者の育成にも力を入れています。

 作業室の前には、組合員たちが制作した首里織を飾った「那覇伝統織物事業協同組合ファブリックボード」があるので、訪れた際にぜひ見てみてください。


那覇伝統織物事業協同組合ファブリックボード。

 首里織に使用する糸は染色室で染められているのですが、染料は、ブルーは琉球藍、黄色はフクギ、ピンクは月桃やガジュマル、桜といった植物性の素材からできています。


クチナシの染料により、糸が淡いブルーに。

琉球びんがた染めに挑戦!


防染糊で柄が描かれた状態のトートバッグ。右の見本を参考に色付けを行います。

 びんがた染め体験をする場合は、2階にある工房へ。

 琉球の歴史と文化によって育まれたびんがたは、中国的な大胆な柄と色合い、日本的な繊細さと優美さを併せ持つ沖縄独特の染め物。

 体験プログラムは、型紙を置いて防染糊を塗り、乾燥させた状態のトートバッグに色を施す作業で、トートのサイズは大・中・小の3サイズから選べます。

 作業の流れは、薄い色から順に塗り、もう一度同じ色を重ね塗り、最後に濃い色で隈取りを行う、3段階。見本を参考にしながら、まずは刷毛で顔料を布地に入れ込むようにぐるぐるゴシゴシと塗っていきます。


刷毛を立てて塗っていきます。ムラなく色を伸ばすのが難しい。

 隣接する色が混ざらないように、適宜ドライヤーを使って乾燥させるのがポイント。


一色塗るごとにドライヤーで乾かしていきます。

 重ね塗りまで終えたら、次は色見本を参考に隈取りを。色見本には、地の色の上になに色を重ねたらのきれいに見えるのか、相性のいい色が示されています。

 見本通りの色でもいいし、別の色で仕上げてもOKです。グラデーションを描く作業につい没頭してしまいます。


色見本を参考に隈取りを行います。

 塗り終わったら自宅に持ち帰って3日以上干し、糊を洗い流して乾燥させ、アイロンをかけたら完成です。作家の方々から直接教えてもらえるのですが、これもここでしかできない貴重な体験です。


琉球びんがた事業協同組合理事長の宮城守男さんから直接教えてもらえることも。

展示ギャラリーやショップも必見!


1階の展示ギャラリー。

 1階の展示ギャラリーには、組合員である職人や作家による着物や帯、バッグなどが展示されています。

 ショップコーナーには、シャツやクッションカバーのほか、トート、コースター、小物入れなど、旅の思い出に欲しくなるようなアイテムがいっぱい。体験と併せて、作品鑑賞やショッピングも楽しんでください。


部屋を上質な空間に変えてくれそうな美しいクッションカバー。

ショップコーナーには、いろんなアイテムがずらり。

首里染織館suikara

所在地 沖縄県那覇市首里当蔵町2-16
電話番号 098-917-6030
開館時間 10:30~18:00
休館日 火曜日・年末年始・ウークイ(旧盆最終日)
https://suikara.ryukyu/

エシカルトラベルオキナワ

https://www.okinawastory.jp/feature/ethical_travel/

ソラシドエア×エシカルトラベル特集

https://www.okinawastory.jp/feature/solaseedair/

文=佐藤由樹

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