【日本公開10周年】「アナと雪の女王」が変えた“10のこと” 第3弾は2026年公開か
映画.com / 2024年3月14日 7時0分
映画のクライマックス。本性が暴かれたハンス王子に、剣を振り下ろされたエルサをかばったのが、アナだった。その瞬間、氷の魔法がいまだ解けないアナの体は、氷像のように凍りつき、ハンスの剣を砕いた。動かなくなったアナを抱きしめ、泣き崩れるエルサ。すると、アナは元の姿を取り戻し、息を吹き返す。相手を思いやる“真実の愛”こそが、エルサの魔法を制御できる唯一の術だったのだ。
同時に、身を投げ出し、姉を守ろうとしたアナの自己犠牲の精神もまた“真実の愛”であり、アナとエルサは、互いを助けあった――この驚きと感動に満ちた結末は、ディズニーアニメが、王子のキスでプリンセスが目覚める古典的価値観から脱却し、自らの意思で決断し、未来を切り開く女性像を提示することに成功した証だった。「真実の愛には、恐怖心を打ち負かすだけの力がある」。そんな勇気に、世界中の観客が背中を押されたのだ。
●7.白馬の王子は不要、希薄な恋愛要素
公開当時、本作における恋愛要素の希薄さも、ディズニーアニメのファンにとっては、大きな驚きだった。アナはハンス王子と出会ったその日に、結婚を約束するが、一見唐突に思える展開は、両者が末っ子同士(ハンス王子は13兄弟の13番目)で、似た境遇だったことも原因のひとつ。アナにしてみれば、それまでの末っ子暮らしが、息苦しいものだったことを暗に示しているようにも思える。また、氷売りのクリストフが、アナに対して抱く感情も、本作にとって、優先順位の高いものではなかった。
もはや、白馬の王子は不要。本作が打ち立てた価値観は、その後「モアナと伝説の海」(2016)、「ラーヤと龍の王国」(21)、「ウィッシュ」(23)といった作品にも継承されており、一過性のトレンドというよりは、新たなスタンダードとして定着しつつある。
●8.ディズニーアニメ“3度目の黄金期”到来
2023年に創立100周年を迎えたウォルト・ディズニー・カンパニー。その歴史は、アニメ製作とともにあったと言っても過言ではない。「白雪姫」をはじめ数々のクラシックを生み出した黎明期、「美女と野獣(1991)」、「アラジン(92)」、「ライオン・キング(94)」といったメガヒット作を連発した90年代前半の絶頂期という2度の黄金期を経た後、長らく不振が続いていたが、「プリンセスと魔法のキス」(09)、「塔の上のラプンツェル」(10)、「シュガー・ラッシュ」(12)といった作品が評価を集め始めた。
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