今年の大阪アジアン映画祭を振り返る エドワード・ヤン“映画界入り初仕事作品”の貴重な裏話も【アジア映画コラム】
映画.com / 2024年4月21日 15時0分
オープニングを飾ったのは、今年の旧正月に公開された香港エンタメ大作「盗月者」。大阪アジアン映画祭は、もともと香港映画に高い関心を持っていました。大作やインディーズ作品を含め、香港の最新作をいち早く映画祭で紹介しています。近年、日本でも新世代の香港映画への注目度は上がっていて、ほかの映画祭でも最新の香港映画が上映されています。今年の大阪アジアン映画祭でも、素晴らしい香港映画が数多く上映されました。
「香港新世代の映画は日本国内における他の映画祭でも上映されています。まだまだ面白い作品が結構ありますし、いまの香港映画界は本当に元気ですね。スペシャル・オープニングの『盗月者』に関してもお話しましょう。いままで大阪アジアン映画祭では、人気アイドルグループ『MIRROR』の出演作を何本か上映しましたが、基本的にヒューマン・ドラマ系の作品が多かった。ところが、今回の『盗月者』は完全にエンタメ大作。昔のチョウ・ユンファ映画のような感じなので、ある意味、本当に新しい時代が来たと感じました。しかも、本作は日本の銀座でロケを行っているので、かなり“アジア”なんです」
映画祭期間中、「盗月者」のユエン・キムワイ監督と話しました。“日本と香港のスタッフの考え方が全く違う”と前置きしながらも「一緒にいい映画を作るという目標は同じ。銀座で香港映画が撮れたのは、非常にいい経験だった。今後はもっと日本の映画人と映画を作りたい」と振り返っていました。
そして、今年の大阪アジアン映画祭のラインナップの中で、おそらく最も注目されていたのは、エドワード・ヤンの記念すべき映画界入り初仕事作品「1905年の冬」(脚本&出演)でしょう。
「今年『1905年の冬』を上映できたのは、一番嬉しいこと。この映画に関しては、以前から自分も見たかったですし、どこかの映画祭で上映されるかどうかをずっと調べていました。でも、この映画は作られた当時からほとんど正式に公開できていなかったんです。本作の監督ユー・ウェイチェンの弟・ユー・ウェイエン(エドワード・ヤン作品『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』『エドワード・ヤンの恋愛時代』『ヤンヤン 夏の想い出』などのプロデューサー)は長い付き合いです。彼や、そしてエドワード・ヤンにもこの作品について色々聞いていたんですが“プリントがどこにあるのかはわからない”という答えでした。長い年月が経ち、やっと台湾電影資料館が本作を修復したと聞いて、すぐ動き、日本での公開を実現しました」
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