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「電波少年的懸賞生活」とは何だったのか? なすび、自身の生活を“映画化”した監督と振り返る【NY発コラム】

映画.com / 2024年5月4日 10時0分

クレア・ティトリー監督:英国のテレビ番組でも、自殺が問題になった番組がありました。これは世界的に起こっていることで、アメリカではわからないけれど、そういう例はあると思います。境界線がどこにあるかを知るのは、すごく難しいことだと思います。その境界線は常に動いていて、人々は常にその境界線を押し広げようとしています。

 「電波少年」の懸賞生活を見ていると、これは常軌を逸していますし、彼ら(=製作サイド)は最初からそれを知っていたという見解もありますが、「テラスハウス」のような事件もあります。本作では、製作者のアンディ・ライダーと共に、「電波少年」の土屋敏男さんと会いました。今回の映画について関わってくれるかどうかを話した際「もしあなたがこの映画に関わる場合は、難しい質問をしなければならない。そして、リアリティ番組を通して、あなたがやったことのモラルについて、色々な人たちに質問されることになるでしょう」とお話しました。

 すると、彼は「日本では、英国でやっているような『ラブ・アイランド』(新しい環境でカップルになった島民たちがゲームやチャレンジで競い合う姿を描く番組。滞在中、島民たちは誘惑に駆られ、現在のパートナーと添い遂げるか、それとも新しい誰かと “再カップル ”となるか、決断を迫られる)のような残酷な番組は決してやらない」と語っていました。彼は“別の次元”だと感じていたみたいです。だからこそ、自分の視点と相手の視点が、どこから来たものなのかが重要なのかもしれません。あの頃は邪悪で、それは間違っていたのではないか――結局は、我々はどれだけリアリティ番組が進化を遂げ、どれほどのものを描いてきたのかで決めているようにも思えます。

なすび:今のリアリティ番組と「電波少年」の違いは、SNSがある時代とない時代ということ。僕の時は、オンエアされていることも知らなかったから、外界からの評価なんてものは、僕には何も届かない状態でした。それが今と過去の大きな違いで、自分が思っていることと、自分が発したものとのギャップというものを、リアルタイムで気付くか、気付かないかです。僕の場合は全部終わってから気づいたので、もしかしたら救われていた部分もあったかもしれないですね。

 今はそうではなくて「聞きたくない」「見たくない」ような自分に対する評価まで全て白日のもとにさらされ、色々な人の目についてしまうということの怖さがあります。そこが、リアリティ番組黎明期の「電波少年」と、今YouTubeなどでも行われているリアリティ番組との大きな違いなのかもしれません。

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