「電波少年的懸賞生活」とは何だったのか? なすび、自身の生活を“映画化”した監督と振り返る【NY発コラム】
映画.com / 2024年5月4日 10時0分
――「電波少年的懸賞生活」を終えたなすびさんは、東日本大震災後に故郷・福島での復興支援活動や、さらにその経緯から人々に勇気を与えるため、エべレスト登頂も成功させています。どのように自分を奮い立たせてきたのでしょうか?
なすび:懸賞生活で抱えたトラウマや辛い経験というものを払拭するのは、もちろん簡単なことではなかったんです。けれども、それを乗り越えた自分だからこそ、辛い経験をした人には同じ想いで接することができました。東日本大震災で被災され、避難所で過酷な生活をしている方々に、誰とも接触せず、下手をすれば食べるものもままならず、ドッグフードを食べて生きていたという経験をお話したことがありました。もちろん被災された方々の方が大変ですが“明日がわからない生活をしていた”という経験を共有すると、当時の番組を見ていた皆さんが「もしかしたら、お前の方が辛い経験していたのかもしれないなぁ。だったら、俺ももうちょっと頑張ってみるか」と言ってくださることがありました。
もちろん、それが全てを解決してくれるわけではないですが、そんな話題で皆さんの気持ちが安らぐというか。まさかここで僕の経験が皆さんの気持ちを安らげるために役立つのかと。エベレストも3回挑戦していますが、失敗するなかで、何度も「もう止めたい」「これ以上続けることができない」と感じることもありました。それでもふと「懸賞生活」のことを思い出すと「あの時の方がもっと辛い経験をしているから、まだ頑張れるぞ」と自分を奮い立たせることができたんです。
僕を地獄に陥れたといっても過言ではない製作者の土屋敏男さんとは、時間が経ち、謝罪を受け入れたことで、許す気持ちが芽生え、新しい関係を築くことができました。昔は「絶対にもう同じ空気を吸ったり、手を取り合うことは、一生ありえないだろう」と思っていましたが、やはり人間は変わります。土屋さんが僕に対して謝罪の気持ちを持ってくれたことで、僕もそれを受け入れ、何か一緒に……ということになりました。
新しい未来が見えてきた時、今の寛容ではない世の中に対して「人間は変われる」「どんな辛い経験や体験をしても、いつかは分かり合えるかもしれない」と感じました。とても広義になりますが、僕の「電波少年」での苦労は、決して無駄ではなかったのかもしれないなという風に今は思えるようになりました。それは、世の中を変えるような大きなことではないですが、僕の表現してきたことは、ある意味、言葉や文化の壁も超え、今ブレイクするものとして受け入れてもらえたらよいのかなと思いました。
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