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エンタなう 登場人物みんなが不完全でポンコツ スリルと笑いと涙がぎゅっと詰まったコメディー映画「リンダはチキンがたべたい!」

zakzak by夕刊フジ / 2024年4月22日 11時0分

登場人物それぞれがカラフルに色づけられてわかりやすい ©2023 DOLCE VITA FILMS, MIYU PRODUCTIONS, PALOSANTO FILMS, France 3 CINÉMA(夕刊フジ)

フランスが舞台のコメディー映画「リンダはチキンがたべたい!」(公開中)は、どうしてもチキン料理が食べたい女の子と、作ってあげたいママが、周囲を巻き込むドタバタ劇。スリルと笑いと涙がぎゅっと詰まったアニメーション作品だ。カンヌ映画祭、セザール賞ほか各国の賞で賛辞を浴びている。

カラフルでラフな素描に命が吹き込まれる独特のタッチが目に楽しい。自身の勘違いでやんちゃ盛りの娘リンダをひどく叱ってしまったママは罪滅ぼしに娘の願いを聞く。「パプリカ・チキンがたべたい!」。リンダが1歳のときのかすかな記憶。パパは料理を家族にふるまった直後に死んだのだ。

料理が苦手なママは奮起するが、スーパーも精肉店もストライキ中。ニワトリを求め養鶏場で掛け合うが留守番の青年に断られ、ママは鶏舎にしのびこんで1羽、拝借してしまう。ところがニワトリに逃げられ、警官に追われ…。

登場する子供、大人、みんな不完全でポンコツ。お手本がいないのがいい。彼らが住む団地の中庭はオアシスのように人間くさい。盗みは悪いって? そりゃそうだが、いま子供たちに大人気の絵本シリーズ「パンどろぼう」「ノラネコぐんだん」も泥棒が反省する話。それにこの映画の吹き替え版では、安藤サクラとリリー・フランキー「万引き家族」コンビが声優で共演。息もぴったり。大人たちの本音が投影される歌唱シーンでは、こっちの涙が盗まれっぱなしになった。

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