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恩人のアドバイスがなければ…富田晶子さん乳がん闘病を振り返る

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月29日 9時26分

【独白 愉快な“病人”たち】

 富田晶子さん(フレアバーテンダー)
  =乳がん

  ◇  ◇  ◇

 2019年11月、「初期の乳がん」で左乳房の部分切除をしました。

 その1年くらい前から体調を崩して、咳が止まらなくなっていました。とにかく忙しい時期だったことは確かです。病院を受診すると「風邪」と言われ、薬を飲みましたが咳は止まらず、10軒くらい病院を変えました。けれど、ずっと不調が続きました。

 左胸のあたりに「硬いものがあるな~」と気付いたのはその頃でしょうか。でもそれが体調不良に関係しているなんて思わなかったので、何も考えず触ることがクセになっていました。

 病院を行きつくし、最初に行った病院を再び受診したところ、先生は「まだ咳が止まらないの?」と不思議そうでした。そして、私が胸のあたりを気にして触っているのを見た先生から「そこ痛いの?」と尋ねられたので、「痛くはないです」と答えると、「しこりになってる?」「なってます」という会話になり、触診の後に大きな病院を紹介されたのです。

 一応、言われた通りにその病院に行って検査は受けたものの、「自分ががんであるわけがない」と思っていたので、仕事優先で結果を聞きに行くつもりはありませんでした。でも、ちょうどその頃、審査員として参加したフレアバーテンダーの全国大会で恩人と再会し、奥さまをがんで亡くされたお話を聞き、「絶対に結果を聞きに行かなきゃダメだよ」と言われたのです。それがなかったら、早期発見できなかったかもしれません。

 恩人のアドバイスを聞き、検査結果を聞きに病院に行くと、「乳がん」と言われて唖然としました。ショックであまり記憶がないくらいです。独身ですし、親に心配をかけたくなかったので、検査を受けたことも話さないまま1人でがん告知を受けました。そのときの先生の話は、ちゃんと覚えていません(笑)。

 ホルモン系の乳がんだと聞きました。私の場合は部分切除と全摘出を選べたため、とりあえず部分切除を選択しました。「もし再発したらそのときは全摘しましょう」と。おかげさまで今のところ再発はありません。

 ただ、手術で左腕が上がらなくなる可能性があると言われ、「フレアができなくなったらどうしよう。生きていけない」と、かなり心配でした。じつは1カ月後にステージが決まっていたのです。結果、手術は大成功でした。ただ、メンタルがやられてしまって、左腕を動かすことが怖くて仕方がない時間が続きました。

復帰の舞台では震えが止まらかなかった

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