乳がんで左乳房全摘を経験した女優の小栗香織さん…手術を勧められても「即答はできませんでした」
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月22日 9時26分
【独白 愉快な“病人”たち】
小栗香織さん(女優)=乳がん
◇ ◇ ◇
左胸にがんが見つかったのは2016年春でした。その4~5カ月前に母親をがんで亡くしたばかりだったので、母に「こっちへ来なさい」と言われているのかな、と考えたりもしました。
35歳から、健康診断と一緒に毎年マンモグラフィー検査を受けていました。2年に1回は超音波(エコー)検査も受けていて、乳がんが見つかったのは、この超音波検査でした。
精密検査の結果、「悪性です。すぐに取った方がいいと思います」と告げられたとき、付き添いの姉は泣いていました。でも、私はポカンとして先生の言葉がよく理解できませんでした。自覚症状が何もないので実感が湧かなかったのです。
浸潤がんのステージ1でした。手術内容は左乳房の全摘出……即答はできませんでした。「少し考えさせてください」と2~3週間時間をいただき、いろいろ悩みました。
切るべきなのか、切らなくても治す方法があるのか。あるならそれも検討したい気持ちでした。ネットや本、いろいろな人の話を聞きました。九州に切らないがんの治療をする病院があり、有名な女優さんが治療を受けたという情報にもたどり着きました。でも当時、子供(長男)が9歳だったので九州での入院は難しく、高額だったこともあり、結局、発見していただいた病院で手術を受けることを決意しました。
全摘手術を決意した一番の理由は、子供の存在です。ステージ1とはいえ、がんは死ぬかもしれない病気。まだまだ死ねないと思い、最善を考えたら残さず取った方がいいという判断になりました。生活のためには仕事にも早く復帰しなければいけないですしね。
入院は10日間でした。退院して1週間もしないうちに、仕事(出版プロデュース)に復帰しました。まだ痛みが残る中、大変でしたけれど、気分的には多少紛れたので良かった面もありました。
退院後は通院です。放射線や抗がん剤治療はありませんでしたが、私の乳がんはホルモン過多によるがんなので、ホルモンの分泌を抑える投薬を毎日1粒ずつ、5年間服用し続けました。
副作用としてむくみやすく、太りやすくなって困りました。生理が止まっちゃうし、体の負担は意外と大きかったです。激しい運動はNGなので、ヨガで体調を整えたり、うつ伏せになれないから椅子に座った状態でマッサージを受けたりしました。肩掛けバッグの紐やシートベルトが胸に当たるのが嫌で、タオルや子供のぬいぐるみを挟んで、当たらないように工夫していました。
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