中国資本の買収進む日本語学校が「無法地帯」になる恐れ…留学生ビジネス過熱の裏の死角(姫田小夏)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月11日 9時26分
反日デモが転機に(C)共同通信社
【日本で急成長 中国系「留学生ビジネス」】#3
今や失業する若者は2人に1人──そんな噂が出回る中国から日本を目指す留学生は絶えない。こうした背景とともに、中国人を相手にした留学生ビジネスは過熱する気配だが、実は死角も存在する。
日本には今、日本語学校などの教育実施機関が2764(文化庁、2022年11月1日現在)あるという。1990年度は821だったから、30年で3.4倍増である。
一方で、日本語学校のホームページを複数検索すると、「校長挨拶」もなく、「校長の名前」すらない、開示度が低い日本語学校が多々目に付く。中国資本や韓国資本による経営が少なくないこともわかる。日本語学校も、留学生の確保がなければ存続しえないビジネスモデルだが、それには共通言語でやりとりできる“留学生供給源”を国外に持つのが手っ取り早い。
「学生の人数が集まりさえすれば、日本語学校は相当な利益が出るビジネス」だとする声もある。
留学生確保のために「ブローカー」に依存する日本語学校もある。今や日本語学校の年間の授業料は70万円相当(途上国の留学生にとっては半端ない金額)だが、「そのうち3割近くをブローカーに渡すケースもある」ともいわれている。これは、ブローカーに支払う手数料で、借金漬けになる技能実習生の構図を彷彿させる。
今ではその数は4桁に膨らんだ国内の日本語学校だが、経済環境は紆余曲折があった。遡ること1995年、文化庁は日本語学校の認可基準を引き上げ、「校舎は自社物件」であることを原則とするようになった。これは日本資本の新規参入の壁を高くしたが、不動産投資を得意とする中国資本にとっては商機となった。
■「ホワイトボードと机、椅子さえあればできる商売」
東日本大震災や反日デモが起こった2010年代初頭、日本語学校は中国や韓国からの留学生が激減するという憂き目にさらされた。14年前後にはベトナム人留学生が次の主流になってきたが、「こうした時流に乗り遅れた学校が次々に売却の対象になり、当時、日本語学校は数千万~1億円程度で売り買いされた」(教育関係者)。
10年代後半の外国人留学生はアジア各地から来日するようになった。送り出し国の多極化が進んだわけだが、ここでもノウハウを持たない日本語学校が脱落した。そして20年のコロナ禍に突入し、さらに売却案件が増えた。近年、中国系による日本語学校が増えたのはこうした事情からだ。
日本語学校の設立には国が求める条件もありながら、「ぶっちゃけ、ホワイトボードと机、椅子さえあればできる商売」(日本語教師)だとも。中には高い理想を持ち熱心に取り組む中国人経営者もいるが、業界には法令順守もなく、ルールもない、「無法地帯化」する日本語学校も潜在している。 (つづく)
(姫田小夏/ジャーナリスト)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本は安くて便利だが、本当なら中国の大学がよかった…月14万円の仕送りを受ける中国人留学生のホンネ
プレジデントオンライン / 2024年4月24日 17時15分
-
中国資本による日本語学校経営の功罪…「企業統治」に難、一目置くべきは「合理化」(姫田小夏)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月12日 9時26分
-
予備校→日本語学校→専門学校と急拡大…中国人相手の教育事業「一網打尽」モデルは熾烈な競争の象徴(姫田小夏)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月10日 9時26分
-
創業者がマネロンで逮捕・起訴…20年で業界2番手に拡大した「名校」はどんな集団か(姫田小夏)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月9日 9時26分
-
「日本なら稼げる」という言葉を信じて…インドカレー店で働くネパール人が直面する「稼げない」という現実
プレジデントオンライン / 2024年4月8日 11時15分
ランキング
-
1スターバックス、8日から“人気フラペチーノ”が復活 「絶対に買いに行く」と意気込む声が続出
Sirabee / 2024年5月3日 4時0分
-
2コンビニは「前向き駐車」すべき? なぜ「バック駐車」は推奨されない? “納得の理由”と守らなかった際の「悪影響」とは
くるまのニュース / 2024年5月2日 17時10分
-
3国産米100%なのに「グミ食感」って...どういうコト? 老舗おせんべい屋さんが作った謎のお菓子を食べてみた
Jタウンネット / 2024年5月4日 17時0分
-
4ウインナーは切り込みNG?「ずっと間違ってた…」食品メーカーが“おいしさ損ねる三箇条”を伝授
ORICON NEWS / 2024年5月4日 17時30分
-
5ゴミ屋敷「"開かずの間"を開けてみた」驚愕の顛末 結婚相手にも秘密だった自宅をついに片付けた
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 13時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください