むやみに気を使い、おだててその気にさせるだけが指導ではない【75歳名将の高校野球論】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月15日 9時26分
厳しい目を向ける持丸監督(C)日刊ゲンダイ
【持丸修一 75歳名将の高校野球論】#35
春季千葉大会の開幕が迫っています。
夏の千葉大会のシード権が懸かっているだけに、できる限り好成績を狙いたい。決して手を抜くことのできない大事な試合ですが、私は大会に向けて調整のために練習の強度を落とすようなことは一切していません。夏までの残り3カ月。どれだけ個々の力とチームの力を伸ばせるか、そこに重点を置いているからです。
春のセンバツから低反発バットが導入されたことで高校野球が大きく変わり、今まで通りの戦略が練れなくなりました。それに加え、ただでさえ今のチームは実績がなく、選手個々に試合で勝つための考え方や、練習時の意識などが不足しています。今までのように選手を野放しにして、勝手に育ってくれればいい、なんて悠長に構えていられないのが実情です。
現在は選手たちを肉体的、精神的にも徹底的に追い込んでいます。本人の実力以上のことを要求することもある。内心では「この子には無理だろうな」と思っていても、です。要求をクリアできなければ厳しく指摘して、「なぜできないのか?」と問いかける。
むやみに選手に気を使い、おだててその気にさせることだけが指導ではありません。少々酷な気もしますが、時には鞭を振り、尻を叩いてやることもチームをつくる上で重要な仕事です。無理やりにでも限界に挑戦させることで、自分の殻を破ってもらいたい。逆に言うと、その過程で音を上げるようでは成長はありません。
さすがにふてくされる選手はいませんが、重圧に弱い選手が浮き彫りになります。近頃は厳しく接しているからか、プレッシャーを感じて練習試合などのここぞという場面で特定の選手がポカを重ねてしまう。いつまでもそれが直らないようでは、夏の大会で使うのは難しい。実力があっても本番で発揮できなければ意味がありません。一度でも負けたらそこで終わりの夏の大会は、どんな場面でも信頼できる選手を使いたい。
現段階でチームの完成度は50%ほどです。限られた時間でどれだけ100%に近づけるか。選手も私も、気を抜いてはいられません。
(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)
◇ ◇ ◇
日刊ゲンダイでは専大松戸の持丸修一監督と元横浜高校野球部部長の小倉清一郎氏のコラムを毎週交互に連載している。
【関連記事】にはそれらをピックアップ。ちなみに、掲載から約1カ月で有料会員限定公開に移行するため、今のうちに要チェックだ。
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