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“世界の盗塁王”福本豊さんは国民栄誉賞を打診され…「立ちションもできんようになるやん」

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月11日 10時0分

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福本豊さん(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#191

 福本豊の巻

  ◇  ◇  ◇

 阪急ブレーブス(現オリックス・バファローズ)でパ・リーグ盗塁王13年連続、年間106盗塁という世界記録(当時)も樹立した福本豊さん。1970年代から80年代にかけて全盛時代の福本さんは誰にも止められなかったと言っても過言ではなく、パ・リーグいえプロ野球を代表する選手でした。

 トーク番組にゲスト出演した福本さんはおごらず、飾らず。「おはようさん、よろしゅうね」と気さくで、何を伺っても自然体。

 盗塁の世界記録を達成し「国民栄誉賞」を打診されて辞退された際「そんなんもろてしもたら立ちションもできんようなるやん」と言ったというエピソードが本当なのかと伺うと「会見では言うてへんよ、雑談の中で言うたことを書かれたんちゃうかな。どっちにしてもそんなたいそうなもん僕に合わんもん」と大笑い。

 盗塁の話題では「みなさんが“世界の盗塁王”て言うてくれはんのん、うれしいしありがたいんよ、ありがたいねんけど、僕としては170センチもないこの体でホームランを200本以上(208本)打ってるいうのも言うてほしいんよ。ホンマのこと言うて。これけっこう凄ない?」と照れ笑いをしながら強調されていたのが、なんとも可愛かったです。

 子供の頃からプロ野球に入るつもりだったのかと思いきや「いっぺんも思たことないですよ。なれるわけないやんか! こんなチッコイヤツが。せやから自分がドラフト7位で阪急に指名されたんも人に聞いて知ったんやから。“おまえの名前出てんぞ”て新聞見せられて、それでも“なんかの間違いやろ”そんなんでしたよ。阪急からも電話の1本もないし。後で聞いたら社会人チームにおったから、そこが窓口で連絡はあったらしいんですよ。通用するとも思てへんかったけど、話だけは聞いてみたかったから『一回会わしてください』言うて、会うたら、むちゃくちゃうまい肉食べさしてくれて、話しするたびに食べさしてくれはるから、悪いなと思て……」。「おいしい肉やなかったら?」とトミーズの雅くんが問うと、「(阪急に)入ってへんかもしれへんね」と飄々と返す言葉は“近所のおっちゃん”。

 入団して初めてのキャンプの時は「まわり(の選手の体)が凄いから、えらいとこ来てもうたて思いましたよ。3年であかんかったらやめよと思たね」。

 それが1年目から試合に出場し「縁と運ですよ」「努力もしたでしょ?」「それは当たり前。自分ができることはすべてやった上での“縁と運”やからね」と毅然と言われていたのが印象的でした。

“福本節”野球解説の面白さは、飄々とした中に核心を突く“自然体”にあります。超一流の実績と努力に裏付けされた説得力にあぐらをかくことなく、技術論や根性論だけにも偏らず、その時の“空気”を伝えてくださる。いつだったか延長戦で「0」の並ぶスコアボードを見て「なんかたこ焼きみたいやね。腹減ってきたわ」と緊張感の中でも思わず噴き出してしまうユーモアあふれる言葉のチョイス。お笑い芸人にも学んでほしいセンスをお持ちの福本さん。これからもお元気で味わいのある福本節を聞かせていただきたいと思います。

(本多正識/漫才作家)

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