東京国際映画祭 タイ映画界の新鋭3人の語るタイ映画の現状と未来
Global News Asia / 2014年10月25日 17時47分
タイ映画館での高齢者割引適用エピソードの話が滑ってしまい残念そうだった、「愛しのゴースト」のプロデューサーも務めている、ヨンユット・トンコントーン氏。(終始笑みが絶えず、シャツがパッンパッンで、ボタンとボタンの間から、腹も見え隠れしていた。)
2014年10月24日、第27回東京国際映画祭に新設されたCROSSCUT ASIA部門で「タイ映画の現在進行形 ニューリーダーたちは語る」と題したシンポジウムが開かれた。
タイ映画は、2010年に、「ブンミおじさんの森」が、カンヌ映画祭で東南アジア映画として初めてパルムドールに輝き、現在、日本でも公開中の「愛しのゴースト」が、世界的な大ヒットになるなど躍進を続けている。
今回は、同部門に出品された「コンクリートの雲」のリー・チャータメーティクン監督、「アタックナンバーハーフ」のヨンユット・トンコントーン監督、「ワンダフルタウン」のアーティット・アッサラット監督が出席し、タイ映画の現状と未来について話した。
3人は監督業のほかに、別の仕事を持っており、プロデューサー業や配給会社の経営、編集技師としても活躍している。タイ映画の現状について、「今のタイ映画市場は二極化しており、メジャーか、芸術系の小さなインデペンデント作品かのどちらかに分かれる。フィルム時代と違い、デジタル化により安価な製作費でも映画を撮ることが可能になった。製作本数が増えたことで、映画館での上映にたどり着けない作品も多くなってしまった」と3人が話した。
ヨンユット監督が、プロデュースを担当している、「愛しのゴースト」がタイで大ヒットを記録したことについて、「もともとの幽霊伝説の人気が高い土壌で、現代風に大胆なアレンジをおこないました。あらゆる世代からの指示を受けました。タイ人はとにかく面白いこと、ギャグやシャレが大好き。」タイ人の感性にマッチした点を強調した。エピソードとして、高齢者割引などの手法も取り入れたことについての話が、会場で全く受けず、笑いも取れなかったことについては、残念そうだった。(日本では、高齢者向けの割引サービスが一般化しており、ニュース性が無いため)。
リー監督は、「映画は映画。差があるとすれば、大作を編集するときは、観客を思い浮かべ、インディーズ映画の場合は監督の顔を思い浮かべます」と語った。
アーティット監督は、「ビジネスの観点で見れば、映画は今後さらに難しくなっていくかもしれないが、芸術の観点で見れば無限の可能性がある。若い監督にも期待しているし、私はすごく希望をもっています」と今後のタイ映画の発展を確信しているようだった。
【編集 : 高橋大地】
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