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【睡眠の量&睡眠の質、ともに悪化】中高年の深刻な悩みだが…医師による〈超・冷静なアドバイス〉に腹落ち

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月26日 14時0分

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(画像はイメージです/PIXTA)

若いころはぐっすり眠れて、目覚めも爽快だったのに…。中高年になると「眠れない」「スッキリしない」といった悩みを抱える人が増えてきます。しかし、この問題を医学的な観点から考えると、また違った向き合い方があるようです。※本連載は、医師である常喜眞理氏の著書『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

加齢とともに睡眠時間が短くなるのは当たり前

中高年になると、どうしても睡眠の質も量も低下して、不眠を訴える人が少なくありません。これは“眠る体力”が加齢で落ちてきているためで、ある程度は仕方がありません。眠るにも体力がいるのです。

必要な睡眠時間というのは、10代からどんどん減っていきます。歳をとれば活動量も減りますし、基礎代謝も減りますから。

つまり見方を変えれば、「それほど眠らなくてもいい体になった」とも言えます。

ここをしっかり認識してほしいですね。以前とは体が変わっているのです。

さらに「眠れない」と不満を感じる方に知っていただきたいのは、睡眠には個人差があるということ。眠りのパターンは人それぞれなのです。

「1日8時間は寝なくちゃいけない」とか、「若い頃には9時間、10時間眠れたのにおかしい」とか、他人や若い頃の物差しで判断すべきではありません。そういうネガティブな考え方から不満を募らせるのは、睡眠には逆効果です。

1日に4~5時間しか眠れなくても、それで社会生活に支障をきたしていないのなら問題ないわけです。

30分以内の昼寝は健康によいとも言われますので、眠くなったら、積極的に昼寝を取り入れてもいいと思います。

決まった時間に起きることが、安定した睡眠につながる

眠れなくて死んだ人はいません。要はあまり深刻に考えないことです。体力の低下が睡眠の質と量の低下につながっていると言いましたが、「不眠症」となると体力ではなく、むしろ心の問題です。

これは社会的なルールに縛られていることも大きいかもしれません。会社に行くために毎朝6時に起きなければいけない、とか。

「いま、午前3時だから、もう3時間しか寝られない。それなのにまだ寝つけない。明日は大事なプレゼンがあるのだから、ボンヤリした顔をしていられない。どうしよう!」というように、眠れないという焦燥感と、パフォーマンスの低下に対する予期不安が、不眠症のきっかけになることもあります。

ただ、起きる時間を決めることは、安定した睡眠を得るのに大切です。

人間の体内時間というのは、1日が24時間よりもちょっとだけ長いのです(平均して24時間10分程度と言われています)。だから放っておくと、少しずつ後ろにズレます。

かといって自然にまかせて、昼間寝て夜中じゅう起きているというのも、社会生活上うまくありません。

夜更かしが続いても、朝に決まった時間に起きることで、一定のところで疲れが溜まって早く眠たくなります。こうして補正されていくわけです。

眠れなくても、光の刺激は避けてリラックスする

眠くならないなら、眠くなるまで横になってラジオを聞くのもいいと思います。体を横たえるだけでも休息にはなっていますから。

深夜ラジオのファンには意外に中高年が多いようです。NHKの『ラジオ深夜便』などは人気がありますね。あまり騒がしくなく、気持ちを乱さない点が喜ばれているのでしょう。

夜、1人で眠れずに起きていると不安になるという方がいらっしゃいます。みんなが寝ているはずの時間に、私だけが起きている、と。でもラジオをつけると、そんな人がいっぱいいることがわかります。ちょっと安心できるのではないでしょうか?

CDで落語を聞いてから寝るという方もいらっしゃいますね。毎日、寝る前に聞く落語をいくつか決めているそうです。新作よりも古典のほうが健やかに眠れるとか、人によっていろいろ好みがあるみたいです。

加齢で体も変わるのですから、眠れないことにクヨクヨしない、無理に寝ようとしないというのは大切です。厚労省が出した「睡眠12箇条」にも、「眠くなってから寝床に入る」とあります。

ただし気をつけてほしいのは、眠れないからといって夜中になってもがんがんテレビをつけて、目からの刺激を受け続けていると、覚醒(かくせい)のスイッチが入ってしまうこと。そうなると、とことん疲れるまで眠れなくなってしまいます。

睡眠と光の刺激というのは密接な関係があって、最近では不眠の原因に、夜中までスマホを使い続けることが指摘されていますね。

いつまでも光や刺激的な音で脳に刺激を与えていたら、よい眠りは得られません。眠れずとも部屋を暗くして、リラックスしているのが、結局は安定した睡眠への近道です。

一度温めて、少しずつ体温を低下させる

また、体温の変化も睡眠にはかかわっています。まず寝る1時間くらい前に、湯船に浸かったり軽いストレッチをしたりして体を温めましょう。その後に手足から熱を放散させて、内臓や脳の体温を下げることで、よい眠りが得られると考えられています。

湯船に浸かったりストレッチをしたりする余裕もないという方は、せめて首元や足首を温めてみてください。ネックウォーマー、レッグウォーマーで構いません。レッグウォーマーで足首を温めることは、朝方の足のつりを防ぐ効果もありますよ。

いずれにせよ、睡眠の時間や深さにあまりこだわらず、刺激を避けて心と体を休めることを心がけてはいかがでしょうか。

それでも眠れないことにストレスを感じる方、決まった時間にしっかりした睡眠をとりたい方は、睡眠導入薬や軽い安定薬を利用するのも、必ずしも悪い方法ではありません

使用方法を守り、あくまで一時的に利用するという気持ちであればですが。

これは、ホームドクターに相談してみてください。

参考として、厚生労働省の示している睡眠の指針を紹介しておきましょう。

健康づくりのための睡眠指針2014「睡眠12箇条」

1.よい睡眠で、体もこころも健康に

2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを

3.よい睡眠は、生活習慣病予防につながります

4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です

5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を

6.よい睡眠のためには、環境づくりも重要です

7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ

8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を

9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動でよい睡眠

10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない

11.いつもと違う睡眠には、要注意

12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を

(厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」より)

常喜 眞理 家庭医、医学博士

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