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ウエルシア・ツルハが統合しても「業界の覇者」になれない理由 今後のカギを握る2社

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月5日 15時0分

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ウエルシア(プレスリリースより引用)

 業界トップのウエルシアと2位のツルハの経営統合で、ドラッグストア業界は騒然となった。実現すれば売り上げは2兆円超、次位となるマツキヨココカラをダブルスコアで引き離す圧倒的な規模を誇るグループが誕生することになる。

 「業界の覇権はイオンで確定」とも言えるこの再編は、ドラッグストア大手の時価総額にも影響を及ぼした(図表1)。この業界での時価総額トップは、収益力で他社を圧倒するマツキヨココカラだ。しかし、2月初旬には1.2兆円ほどだった時価総額が、3月下旬には1.1兆円程度と1割ほど下落。時価総額2位はコスモス薬品(売り上げ4位)だが、これも1割ほど下落した。

 これに対してウエルシア、ツルハは2%ほど増えており、市場の見方としてはマツキヨココカラ、コスモス薬品の優位性が薄まり、ウエルシア、ツルハの評価が高まったことが分かる。しかし、意外にも時価総額を大きく増やしたのは売り上げ5位のスギHD(+10%)、6位のサンドラッグ(+9%)であり、不思議に思う人もいるだろう。なぜこうしたことになるのだろうか。

●ドラッグストア業界の変遷

 ドラッグストアは1980年代頃から、まずは大都市部を中心に医薬品+化粧品(薬粧)の店として増え始めた。90年代にマツモトキヨシが首都圏で大きく成長し、広く世に知られる存在となった。

 2000年代になると、地方における軽自動車の普及と女性の免許保有率の上昇を背景に、ロードサイドに薬粧+日用雑貨を豊富に品ぞろえした、現在よく見かけるタイプのドラッグストアが広がった。この時、全国各地に地域毎のドラッグストアが成長したのだが、10年代以降は相互の商勢圏がぶつかるようになって競争が激化。ドラッグストアは統合再編の時代に突入していく。

 そして、現在のドラッグストア大手のほとんどが「同業他社を統合することで成長する」という経緯を経て今に至っている。中でも、多数の同業を統合して上位企業にのし上がった代表格が、ウエルシアとツルハだった。

●覇者になるためには、大手同士の統合が必須

 しかし、ドラッグストア上位8社の売り上げ合計が市場規模の7割を超えるまでに寡占化が進んだ今、これまでのように中小を統合するという再編では、業界の勢力図を塗り替えることは出来なくなった。

 21年には、マツモトキヨシとココカラファインという大手同士の経営統合が実現。ウエルシア、ツルハといった中小ドラッグの統合体である大手に肉薄することになり、収益率も時価総額も2位以下に倍するマツキヨココカラ、かつての覇者・マツキヨが復活した。この時点で、業界の誰しもが「覇権を奪うためには、大手企業同士の統合は必然である」と分かっていたのである。

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