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シェアサイクルが福岡市にもたらした意外な効果 “漕がない電動”も座るタイプへ? 主要3社の最新動向

ITmedia NEWS / 2024年4月23日 11時24分

 これは短時間の利用ニーズを重視しているプランといえる。30分ごとの料金では10分の利用でも30分の料金を支払う必要があるが、このプランならまさしく“使った分だけ”の支払いで済むというわけだ。

 そしてその効果は利用回数として数値にも現れている。シェアサイクルの損益分岐点は、自転車1台につき4回転(1日に4回以上レンタルされること)が目安とされているが、チャリチャリでは天神・博多の都心部では10回転を超えており、中には15回転を超えるエリアもあるという。

 チャリチャリの利用1回あたりの平均移動距離は約1.8km(=1マイル)で、電動アシスト自転車が投入されてからも大きくは変わらない。同社では2021年に電動アシストタイプの自転車を投入したが、投入前は福岡市民からも、社内からも電動アシストタイプの自転車の利用に懐疑的な声が上がった。

 実際に、同社グループの自転車販売店のデータとしても福岡エリアでは電動アシストタイプがそれほど売れていないというデータもあった。しかし実際に電動アシストタイプを投入してからは、圧倒的に電動アシストタイプが使われている。2024年に新規投入する車両については、電動アシストタイプのみを計画しているほどだ。

「放置自転車」ワースト1位の汚名返上へ

 福岡市は2001年と2003年に、放置自転車の台数が多い都道府県ランキングでワースト1位になったことがあった。こうした状況を受け、駐輪場の整備や放置自転車を禁止する啓蒙活動、放置自転車の撤去などを行政が実施。また、福岡市における実証実験の開始によって、実験エリア内の自転車の放置率は2017年の2.5%から、現在は1.3%に半減している。また、撤去台数は3万3000台から8800台へと減少している。

 放置自転車の問題には、買い物や施設利用などで一時的に「放置」する他に、転勤や進学などにより自転車を「放棄」される問題もあったが、現在は放置自転車の問題はほぼ解消した。これには、自転車を所有から共有に切替を促進するシェアサイクルのチャリチャリの貢献もあるだろう。

 チャリチャリのポートに管理人などは基本的に常駐していないものの、新幹線博多駅筑紫口や、HEARTSバスステーション博多など利用者が非常に多いポートについては、利用開始のサポートや自転車の整理を行うために人を常駐させているポートもあるという。

 同社は4月に福岡県久留米市でもシェアサイクル事業を展開開始。久留米市は、これまで同社がサービスを提供する東京、名古屋、福岡、熊本と比べると人口規模は小さいが、同社が“マザーシティ”と表現する福岡市の中心部から特急列車で最短約30分、また熊本市からも約80km、新幹線では20分の距離にある。両都市から近接しているとは言えないものの、通勤や通学で往来する人も多く、結びつきが強い都市と言える。

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