日本の警察の知られざる弱点 自壊した日本の安全神話 その4
Japan In-depth / 2016年10月6日 7時0分
さらにオウム真理教の場合、一応は宗教法人格を持っていた。こちらは一般にはあまり知られていないが、日本の警察は、宗教団体に対してはひどく弱腰だという側面を持っている。国家神道の時代に多くの宗教団体を弾圧し、創価学会を含めて各方面からの恨みを買っているからだ、とよく言われるが、どこまで本当なのか分からない。
警察にも様々な部署があり、公安はかなり早い段階からオウム真理教に疑いの目を向けていたとされるが、サティアンと呼ばれた富士山麓の教団施設に強制捜査が行われたのは、地下鉄サリン事件が起きた後であったーー事件の前に、周辺でサリンの残留物質が確認されていたにも関わらず。
前出のK氏は後に、「私の家庭をめちゃくちゃにした、という意味では、オウムも警察もマスコミも同罪」と語った。私に言わせれば、同罪であると同時にもうひとつ共通点があって、それは三者とも反省の色がまったく見られない、ということである。
もちろん、取材した記者の中には、個人的に謝罪した人も多い。私も一応は業界の人間なので、そのことはよく知っている。評価もする。
だが、オウム真理教そのものは名前を変えて今も存続しているし、警察やマスコミも、組織の体質までが変わったとは、当事者を含めて、誰も思ってなどいないだろう。
松本サリン事件にきちんと対応できていたなら、地下鉄サリン事件は未然に防ぐことができたかも知れない。警察やマスコミが、あらためて真摯に反省することを願うや切である。
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