平成27年の年賀状「もうすぐコーポレートガバナンスが日本を変える」
Japan In-depth / 2023年12月13日 18時18分
それほどに、人間の身体は、ことにその心は複雑すぎてかなかなか人工的には対抗しきれないのだと思っている。
それでも、500年は長い。日本に銃の伝わったころである。それからしばらくして日本は世界で最も銃がたくさんある国となり、したがって豊臣秀吉の明攻めは決して無謀な作戦ではなかったとも聞く。
だが、そののち火縄銃は核兵器になった。いまや地球の周囲を人工衛星が何千個も飛んでいる時代になっている。そしてサイバーである。ウクライナでの戦争はそれを実感させる。
「要するに、人間の想像を超えた世界になるんだよ」と尊敬するビジネスマンにいわれたのが最近のことだった。「それはどんな世界なんですか」ともういちど尋ねずにおれなかった私は、「だからね。想像ができない世界なんだから、今の時代の人間が考えても仕方がないんだよ」とぴしゃりと蓋をされてしまった。
不思議である。
500年前の鉄砲伝来からの急速な発展は、いまを生きている私なりに、当時でも未来を想像できたのではないかという気がする。火縄銃がライフルになったこと、滑空銃と銃身溝に螺旋状の溝を掘った銃との威力の違いは明治維新ころの戦いで実感しているところである。そして自動小銃、いわゆるマシンガン。
高校生のときに世界史の先生に、「米軍は自動小銃を撃つので、こちらはせめてと小さな機関銃を手に取って身構えて撃ってみるんだ。だけど撃ち続けると反動でどんどん体が上に向いてしまって対抗できなかった」と教えられたことがあった。
そして原爆。
『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ 講談社刊)を読んだ。飛び跳ねるように頁を繰り、飛行機の乗り降りの間にも分単位の時間を盗みながら、文字どおり寸暇を惜しんで読みきってしまった。キンドルで読んだから可能だったのである。劇画はキンドルに限る。何冊もの本の束を抱えて移動することなぞできはしない。
読後感は?
痛快だった。1988年にスタートして1996年まで連載されたと聞くと背景の時代を思う。88年は未だバブルの真っ最中である。95年に円はもっとも価値を持っていた。
あの劇画の哲学は私の防衛論と一致する。ただし、私のは一国平和主義である。原潜を7隻造って、いつも最低一隻が世界のどこかの海に潜んでいる。誰にもその一隻の所在が分からないところがミソである。したがって、日本を核攻撃した国は日本を灰燼に帰することはできるかもしれないが、そのときには日本の原潜からの徹底的な核報復を受ける。日本を攻撃するものは、自らも灰燼に帰すことを覚悟しなくてはならないという一種の恐怖の均衡論、核抑止論である。
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