蓄電池メーカーの大連融科儲能、大連初のユニコーン企業に(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月1日 0時30分
中国の調査会社の上海胡潤百富投資管理諮詢は4月9日、「2024グローバルユニコーンランキング」を発表した。同ランキングには、2000年以降に設立された企業評価額が10億ドル以上の非上場会社をリストアップしており、全世界で1,453社、うち中国企業が340社掲載されている。このうち、中国の蓄電池メーカーの大連融科儲能技術発展(2022年4月15日記事参照)が初めて名を連ねた。同社の順位は911位、評価額は92億元(約2,024億円、1元=約22円)だった。大連市で初のユニコーン企業が誕生したことになる。
同社は2008年に大連融科儲能集団と中国科学院大連化学物理研究所の共同出資で設立され、再エネ発電や新型電力システムに向けたバナジウムレドックスフロー電池(注1)やその蓄電設備の製造を手掛けている。長年にわたる大連化学物理研究所との産学連携の成果として、国内外での特許出願数が300件を超え、レドックスフロー電池分野の特許保有数では世界第2位となった。また、業界標準の確立にも寄与しており、国内外で50件以上の標準化基準策定に参画しているという。
同社製品は電力のピークシェービング(注2)、再エネ発電の送配電網への接続、マイクログリッド(注3)の3つのマーケット向けに供給されており、蓄電量は累計で550メガワット時(MWh)を超える。これは世界のバナジウムレドックスフロー電池市場で約60%、電解液材料市場の90%のシェアを占めているという。
同社のバナジウムレドックスフロー電池の蓄電設備製造の第1工場は生産能力が年間300メガワット(MW)に達し、世界最大級の生産拠点となっている。また、同電池向けの電解液の生産ラインも4月に稼働開始、生産能力は年間6万立方メートルに及び、同種製品も含めて世界市場の約9割のシェアを占めるという。
同社は2025年までに、新型蓄電や水素技術の分野のイノベーション創出・商品化促進のプラットフォームの構築や、蓄電機能材料の第2工場の建設、蓄電設備のデジタル化生産拠点の第2工場の建設を計画している。これらのプロジェクトが稼働すると、年間生産額が新たに100億元増え、技術者500人を含む1,000人規模の雇用創出も期待される。
(注1)バナジウムレドックスフロー電池(VFB)とは、新型グリーン二次電池として、循環寿命が長く、大規模に利用しやすく、応答が速く、場所の選定が自由などといった長所を有している。
(注2)ピークシェービングとは、電力などのエネルギー供給事業で、季節や時間帯によって高まる需要に応じるための対策。
(注3)マイクログリッド(小規模電力網)とは、複数の分散型電源や電力貯蔵システムを組み合わせ、需要に応じて分散型電源をコントロールすることで、エネルギーを地産地消する仕組みのこと。
(李莉)
(中国)
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