在宅勤務など柔軟な勤務形態のガイドライン、12月から運用開始(シンガポール)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月24日 0時5分
シンガポール人材省は4月16日、政労使3者の代表が策定した、在宅勤務など柔軟な勤務形態(FWA:Flexible Work Agreement)のガイドラインに関する提言を全て受け入れたと発表した。「FWAの申請における政労使ガイドライン」は2024年12月1日付で、運用が開始される。
ガイドラインではFWAを、(1)自宅などオフィス以外での勤務、(2)出退勤時間を柔軟に変更できるフレックスタイム制、(3)ジョブシェアリングやパートタイムなどさまざまな業務量とそれに見合った報酬での勤務、の3つの勤務体系と定義している。同ガイドラインの対象者は、試用期間を終えた全ての被雇用者となる。
同ガイドラインによると、雇用主は、被雇用者からのFWAの申請を受理した場合、業務や経営などへの影響を考慮した上での適正な検討が求められ、受理後2カ月以内に書面で検討結果を伝えなくてはならない(注)。FWAの申請を却下する場合には、FWAに関する個人的な見解ではなく、生産性低下やコスト増などビジネス上の理由の必要がある。また、検討結果を伝える書面の中に、却下の理由を明記することが求められる。さらに、雇用主がFWAの申請を却下した場合、申請者と代替策を話し合うことが奨励される。
人材省によると、FWAの3つの勤務体系のうち少なくとも1つを採用する企業の割合は、新型コロナ禍の2021年に91%と過去最高だったが、新型コロナ終息後の2022年は71%、2023年は68%へと低下した。しかし、新型コロナ禍前の2019年の割合(53%)と比較すると依然高い。ガン・シオフアン国務相(人材担当)は報道発表で、「(FWAの導入により)従業員のワークライフ・バランスの向上を実現するとともに、雇用主にとっては人材採用と定着において他社との差別化を図ることができる」と指摘した。
人材省、全国労働者組合会議(NTUC)、シンガポール国家雇用者連合(SNEF)の政労使パートナーは、2022年4月にFWAのガイドラインを策定する方針を表明(2023年3月9日記事参照)。翌2023年9月に、作業部会を設置してガイドラインの検討を進めていた。ガイドラインは、人材相のサイトからダウンロードできる。
(注)非雇用主によるFWAの申請書や、申請を受けた検討結果を伝える書面のひな型は、同ガイドラインを参照。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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