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米連邦下院のニューヨーク州第3区の特別選挙、民主党が勝利確実、共和党から議席奪取(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月15日 11時25分

米国のニューヨーク(NY)州で2月13日、連邦下院第3区の特別選挙が行われ、民主党のトーマス・スオジ氏が共和党のマジ・ピリップ氏を抑え、CNN(開票率97%時点)によると、53.9%の得票率で当選確実となった。前職のジョージ・サントス氏(共和党)が詐欺や虚言を行っていたとして2023年12月に除名処分となり(2023年12月7日記事参照)、後任を選出する特別選挙で、候補者は予備選挙なしで各党から選出されていた。

NY州連邦下院第3区は激戦区で、2022年11月の中間選挙で共和党が民主党から奪取した4つの区の1つ。今回の特別選挙で、今度は民主党が共和党から議席を取り返したことになる(2023年2月10日付地域・分析レポート参照)。

勝利を確実にしたスオジ氏は弁護士、公認会計士でもあり、サントス氏が就任する前の2017年から6年間、第3区の連邦下院議員を務めた。2020年の選挙ではサントス氏を破った。また、スオジ氏は第3区内に位置するグレンコーブ市の市長を8年、第3区と第4区をまたぐナッソー郡の郡長を8年務めるなど、公職経験が長い。

一方、ピリップ氏は、仮に当選していれば、共和党では初、米国では2人目の黒人女性の連邦議員になっていた。エチオピア出身のユダヤ教徒で、幼少時にイスラエルに移民として渡り、イスラエル国防軍に所属していた経歴を持つ。支持者からは「この政治的瞬間にふさわしい経歴の持ち主」との声が出ていた(政治専門誌「ポリティコ」2023年12月14日)。他方、ピリップ氏の米国での政界経歴は浅く、2022年にNY州ナッソー郡の議員に就任したばかりだった。

今回の特別選挙は、11月に行われる大統領選挙、議会選挙の行方を占うものとして注目されていた。NY州第3区は、米経済誌「フォーブス」がセンサス局の2021年の推計値をまとめた調査によると、全米で所得の高い連邦下院区として第4位で(注1)、世帯収入の中央値は13万679ドル、20万ドル以上の所得世帯が占める割合は30.4%だ。このような地域で、スオジ氏は主に「生活費の引き下げ、州・地方税控除額の上限撤廃、処方薬価格のさらなる引き下げ」を掲げて戦った。

この結果を受けて、下院の議席数は共和党219議席、民主党213議席、空席3議席となる見込み(注2)。僅差だった両党の差がさらに縮まった。

(注1)1位はカリフォルニア州第17区(所得中央値:15万9.361ドル)、2位は同州18区(15万6,828ドル)、3位はバージニア州の第10区(14万889ドル)。フォーブスがセンサス局データに基づいて2022年10月21日に発表

(注2)2024年2月上旬時点での下院ウェブサイト上の議席数を参照。

(吉田奈津絵)

(米国)

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