2023年の世界のEV販売台数は35%増の1,380万台、IEA見通し(世界)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月30日 0時25分
国際エネルギー機関(IEA)は4月23日、「世界EV見通し2024」を発表した。2023年の世界の電気自動車(EV)(乗用車のみ)新車販売台数は前年比35%増の1,380万台となった(注1)。伸び率は前年(54%増)を下回ったが、全新車販売台数に占めるEVの比率は18%と、前年(14%)から拡大した。IEAは同見通しの記者会見において、EVが普及している理由として、(1)気候変動対策、(2)石油依存に対する経済安全保障上のリスク回避、(3)イノベーションの3つを挙げた。
2023年のEV販売台数を主要国・地域別にみると、中国が前年比37%増の810万台と最も多く、欧州が22%増の330万台、米国が40%増の139万台となった。中国は同年の世界のEV販売台数の60%近くを占め、続く欧州の約25%、米国の10%を合計した上位3カ国・地域での販売が世界全体の約95%を占めた。
新興国では、上位3カ国・地域に後れをとりつつも、EV市場は成長している。新興国においてEV市場を構成する主要なプレーヤーは国によって異なる。新興国の中でも、インド、ベトナムでは地場メーカーによる国産EVが市場シェアをほぼ独占している。インドの2023年のEV販売台数は8万2,000台。自動車販売におけるEVの割合は2%だが、地場系のタタ・モーターズやマヒンドラをはじめとする国内EVメーカーがEV販売台数の75%を占める。EV販売台数が約3万台(注2)のベトナムでは、地場系財閥ビングループの自動車部門であるビンファストなどの国産EVメーカーがEV市場の95%超を占めた。対して、タイ(約8万台、注2)、ブラジル(5万2,000台)では、中国EVメーカーによる安価なモデルが市場を席巻し、それぞれ半数以上を中国メーカーが占める。
他方、メキシコでは、国内販売台数は1万5,200台程度だが、EVメーカーによる一大生産拠点に発展しつつある。同国製造のEVが米国のインフレ削減法(2024年1月10日記事参照)の要件に基づく税額控除の適用対象となることから、米国市場向けのEV製造拠点として活況を呈し、部品などを含むEVのサプライチェーンが急速に発展している。
IEAは同見通しにおいて、2024年の世界のEV販売台数を前年比23%増の1,700万台と予測。新車市場全体に占める割合は5分の1を超える見通しを示した。
(注1)バッテリー電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の合計。
(注2)タイ、ベトナムについては、正確な販売台数の記載がなく、報告書内のグラフから大体の数字を抽出した。
(板谷幸歩)
(世界)
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