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貧困格差があっても子どもを希望の進路に進ませるには?

JIJICO / 2016年4月25日 15時0分

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貧困格差があっても子どもを希望の進路に進ませるには?

貧困格差がもたらした親子関係のトラウマ

 
「公立高校に行かれへんのやったらもう高校に行かんでええ」
父親の口から出た言葉にショックを受けた当時中学3年生だった女性はその当時の気持ちをこう語りました。

「『自分は愛されていないんだ、大切に思われていないんだ』そう思うと同時に、もう顔も見たくない、口もききたくない。と父に強い嫌悪感を持つようになりました。それは結婚後も続き、父親が亡くなったときでさえ悲しいという感情はありませんでした。」

経済的に困窮している家庭にとって高校進学は大きなハードルになっています。
お金のかかる私立高校はハナから通わせられないと考える親は多く、日頃からの経済的なストレスもあって今も冒頭のセリフを口にされる親御さんは少なくありません。
経済的な問題は夫婦関係や親子関係を悪化させ、そこからさらに離婚や孤立、ストレスから来る虐待へと進む危険性をはらんでいます。

学費援助や奨学金制度に対する知識と情報が重要

これを防ぐには、まず行政からの学費援助や政府系金融機関からの教育資金の貸し付け、奨学金制度に対する知識を進路指導に関わる中学校の先生がきちんと身につけて、私立高校に通わせられないとの思い込みを持った親御さんに適切にアドバイスすることが必要であるように思います。

行政からの学費援助や奨学金を合わせれば学費はほぼまかなえますし、足りない分は政府系金融機関の貸し付けを利用すれば、返済は子どもが高校を卒業し働くようになってからで良いので経済的に苦しくても子どもを私立高校に通わせることは出来るのです。

たとえば世帯年収が250万円(夫婦子2人)未満の場合、私立高校に通う生徒には月額約25000円〜授業料全額の就学支援金等が行政から無償で支給され、それとは別に無利子の奨学金が、月額約30000円貸してもらえます。
政府系金融機関であれば350万円まで金利2.05%で借りることも出来ます。

そういった情報や知識を親も学校の先生もきちんと知っていれば、子どもの将来にとって有利な進路決定もできるようになるでしょう。

一番大切なのは、経済的に困っている親御さんを勇気づける情報提供です。
更なる行政からの支援も必要ではありますが、今現在使える制度を十分に活用すれば経済的な事情で子どもの進路を狭める必要はないのです。

貧困であっても子どもを希望の進路に進ませることは可能

先日、私立大学を卒業し社会人として働いている長女に「お父さんのこと尊敬してるか?」と尋ねてみました。
すると「お父さんがうちの経済事情で大学にやらそうという気持ちに対して尊敬の気持ちを持っている」と言ってくれました。
政府系金融機関と奨学金からの貸し付けでなんとか子ども3人とも、私立大学を卒業させることが出来ました。
親子で力を合わせながら今「子どものための聖なる借金」を明るく力強く返済しています。
 
今、貧困格差や貧困の連鎖が問題になっていますが「子どもには希望の進路に進ませる!あきらめさせない」という気概とそれを可能にする情報収集の情熱があれば貧困の連鎖は断ち切れます。
そして行政に望まれるのは更なる支援の充実とその情報を確実に、子どもを持つ家庭に知らせることにあると思います。

(長谷川 満/家庭教師派遣)

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