クルマのガラスに付いている「謎の黒いツブツブ」は何の意味？ 視界の邪魔にならない？ 運転手にはありがたい存在だった

フロントガラスには様々な機能が備わっていますが、運転中に視界に入ってくる「謎の黒いツブツブ」の正体はどのようなものなのでしょうか。

■絶妙に視界に入る謎の「黒いツブツブ」の正体は？

　クルマのフロントガラスは、車検＆点検ステッカーや車種によっては安全支援カメラなどが付いていますが、それ以外にも運転をサポートする物も存在します。
　
　そんなフロントガラスですが、上部に「謎の黒いツブツブ」が付いていることがありますが、これはどのような意味があるのでしょうか。

　車種によって見ることのできる「謎の黒いツブツブ」。言われなければ気が付くことのできないほどのものですが、実はドライバーを助ける非常に重要な機能があるようです。

　フロントガラスは、クルマを運転していると必ず視界に入るものではありますが、そこにはさまざまな機能があることはあまり知られていません。

　バックミラーの付け根にある「黒いツブツブ」は、そんなフロントガラスに隠された機能のひとつです。

　これは、現在新車で購入可能なクルマのほとんどで見ることができます。

　その面積は、ルームミラーよりひとまわり大きい程度であることが多く、あまり目立つことはありません。

　この黒いツブツブが付いているのはフロントガラスの内面ですが、シールのように貼ったり剥がしたりできるものではなく、ガラス自体にしっかりと付けられています。

　結論から言えば、この黒いツブツブは「センターバイザー」と呼ばれるもので、ドライバーがバックミラーを確認する際のまぶしさを緩和するためのものです。

　近年ではフロントガラスの大きいクルマが増えていますが、フロントガラスが大きくなればなるほど、乗員が日光によるまぶしさや熱による影響を受けやすくなります。

　かといって、フロントガラスの上部全体を黒いシートなどでおおってしまうと、視界が狭くなったり、開放感がそがれたりしてしまいます。

　一方、黒いツブツブによるセンターバイザーであれば、広い視界や開放感を保ったまま、ルームミラーを見る際のまぶしさを最小限にすることができます。

　この黒いツブツブの素材はセラミックであり、その色が黒いことから「黒セラ」とも呼ばれています。

　ちなみに、黒セラは低コストかつ自由度が高いことから、センターバイザーだけではなくフロントガラスとボディを接着する部分などにも用いられています。

　なおトヨタ「プリウス」のルームランプ付近やジープ「ラングラー」のフロントガラスの縁にはそれぞれのシルエットが隠れており、遊び心がある演出がなされています。

■ガラスには黒いツブツブだけじゃない！ ホンダ車の「謎の▲マーク」の正体は？

　このように、謎の黒いツブツブはまぶしさを抑えるためのものであるため、ドライブレコーダーなどをこのツブツブの上から貼り付けることに問題はありません。

　ただし、フロントガラスには装着できる位置に制限があため注意が必要です。

　センターバイザー以外にも、クルマのフロントガラスにはさまざまな機能が備わっています。

　たとえば、ほとんどすべてのクルマのフロントガラスには、合わせガラスが採用されています。

　合わせガラスは、ガラスとガラスの間に中間膜を挟み込むことで、事故などで強い衝撃を受けた際でもガラスが飛び散りにくく、視界を確保し続けることができるというメリットがあります。

　ちなみに、日本では1987年以降に生産されたクルマには、フロントガラスに合わせガラスを使用することが義務となっています。

　さらに、一部の高級車などでは、合わせガラスの中間膜に防音効果のあるものを使用することによって車内の静粛性を高めているものも存在。

ホンダ車のフロントガラス左右にある「三角マーク」（写真はホンダ「ZR-V」）

　また、2010年以降に販売されているホンダ車のほとんどには、フロントガラスの両端に小さな三角マークが焼き付けられています。

　これは、ドライバーが2つの三角の頂点を結ぶラインを無意識に認識することによって、運転中の視線移動が安定し、車幅感覚をつかむ手助けになるなどの効果が得られるという特許技術です。

　このように、クルマのフロントガラスにはふだんはなかなか気が付くことのできない、さまざまな機能が備わっているようです。