「夏タイヤ・冬タイヤ」なぜ寿命が違う? どっちが“より短命”? 知っておきたい「タイヤの寿命を延ばす方法」
くるまのニュース / 2024年4月4日 11時10分
タイヤには「ノーマルタイヤ(夏タイヤ)」と「スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)」がありますが、同じタイヤなのに寿命が異なるといいます。どういうことなのでしょうか。
■「夏タイヤ・冬タイヤ」何が違う?
春になり、冬の間装着していた「スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)」から「ノーマルタイヤ(夏タイヤ)」に履き替えるという人も多いでしょう。
夏タイヤと冬タイヤは、同じタイヤでも大きな違いがあります。そして使用年数も異なるのですが、それぞれの寿命はどれくらいなのでしょうか。
夏タイヤと冬タイヤでは、「トレッドパターン」と「ゴムの材質」が異なります。
トレッドパターンについては、夏タイヤは冬タイヤより浅くなっており、路面にたまった水を弾きだす能力や、転がりやすい特性により高いグリップ力を発揮します。
一方の冬タイヤは溝が深く刻まれています。「サイプ」と呼ばれる細かな溝が施されているのですが、これによってタイヤを路面に均一に接地させ、積雪路や凍結路で安全に走行ができるのです。
そしてゴムの材質では、夏タイヤは、路面の温度が高温なっても性能が維持できるように剛性の高いゴムが使用されています。そのため、高速走行などでは安定して走行することができるのです。
それに対して冬タイヤは、柔らかいゴムを使用しています。この柔らかさとサイプの組み合わせで雪が積もった路面を安定して走ることが可能です。
このような違いがある夏タイヤ・冬タイヤですが、夏タイヤの耐用年数の目安は「5年程度」とされています。耐用年数の目安のほかにも、「ヒビ割れ」が発生したら交換すべきしょう。
大手タイヤメーカーの担当者は次のようにいいます。
「タイヤはゴム製品のため、経年劣化により固くなりヒビ割れが生じます。
使用環境によって異なりますが、5年程度経過したタイヤや、ヒビ割れがあったら早めの交換をおすすめします」
私たちドライバーができるヒビ割れの見分け方に関して、表面の浅いヒビ割れやシワのようなヒビ割れであればそのまま使用しても問題ありません。
しかし、1円玉などの硬貨が入るような幅のヒビ割れやタイヤ全体にわたって長く割れているようなら、タイヤのカーカス部(タイヤ内部構造)までヒビが達している可能性もあり、早めの交換が必要だといいます。
また、残り溝が4mmになると、濡れた路面を高速で走行したときに発生する「ハイドロプレーニング現象」の危険性も高まります。
これは、路面とタイヤの間に水の膜が張ってしまい、タイヤが浮いたようになって制御が効かなくなる危険な状況ですので、残りの溝が少なくなってきたらタイヤ交換をしましょう。
法令で定められたタイヤの寿命は、溝の深さが1.6mmとなっており、それよりも浅くなると車検に通りません。
タイヤには残り溝の深さ1.6mmを示す目安となる「スリップサイン」が設けられており、摩耗が進むとこのスリップサインが露出。タイヤを新しく買い替える目安となります。
ただし、安全に走行するためには残り溝が4mmで交換したほうが良いといえるでしょう。
■冬タイヤの交換目安はどれくらい?
では冬タイヤの寿命はどれくらいが目安になるのでしょうか。前述のように、冬タイヤは柔らかいことから、夏タイヤよりも早く摩耗します。
前出のタイヤメーカー担当者は冬タイヤに関して、「夏タイヤに比べてゴムが柔らかく、耐用年数については一概に言えないのですが、タイヤ残り溝が50%になると除水効果や雪道でのグリップ力が低下します。
その場合、年数が新しくても交換する必要性があります」
冬に装着するスタッドレスタイヤの寿命は“より短い”
一説では、冬タイヤの寿命は3年程度ともいわれており、夏タイヤよりも短いスパンでの交換が推奨されます。
雪道や凍った道などの滑りやすい路面に適した冬タイヤの摩耗は、安全性に関わります。3年程度でゴムが硬化して効果を発揮できなくなるので、見た目でヒビが入っていなかったとしても早めに交換すべきでしょう。
このように、タイヤは消耗品なので性能が低下したら交換する必要があります。とはいえ、少しでも長持ちさせたいと思う人も多いでしょう。
タイヤの寿命を延ばす方法はあるのでしょうか。
じつは、タイヤの保管方法が寿命延長のカギを握っています。
まずは「直射日光を避ける」ことが大切です。タイヤはゴム製品のため、直射日光によって劣化します。
購入してから一度も使っていなくても、カバーなどを掛けずに屋外で保管していたタイヤは劣化が進み、ヒビ割れが発生。使い物にならなくなってしまうのです。
屋内保管の場合は、タイヤカバーなどを取り付けて風通しが良い場所を選び、タイヤの下にスノコなどを敷くことで床に色が着くことを防止できます。
一方、屋外保管の場合は、紫外線や熱、雨などからタイヤを守るためにタイヤ専用のカバーを装着すると良いでしょう。
屋内保管と同じく、スノコなどを敷いてタイヤが地面と直接触れないようにすることもポイント。また地面から浮かすことで、水溜まりなどからタイヤを守ることができます。
※ ※ ※
タイヤを保管する場所がないという人は、有料の「タイヤ預かりサービス」などを利用すると良いでしょう。
タイヤ預かりサービスは、タイヤを積み下ろしする必要性がなく、次のシーズンまで業者が保管しておいてくれるので、盗難の心配も減ります。
ただし、利用するには事前予約が必要です。3~4月、11~12月といったタイヤ交換が混み合う時期は予約が取りにくいことがあります。利用する場合は業者に早めに確認することをお勧めします。
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