「辞める覚悟なら何でもできるわな」役所が「偽装請負」強要、裁判所は「ハラスメント」認定
京都新聞 / 2024年2月2日 20時32分
大津市の50代女性職員が、市教育委員会が外部委託した業務の実態が違法な偽装請負だと上司に指摘したにもかかわらず、違法行為を強要されたとして、市に慰謝料など110万円を求めた訴訟の判決が2日、大津地裁であった。池田聡介裁判長は、女性職員の主張を一部認め、市に22万円の支払いを命じた。
判決によると、大津市教委は2014年度以降、人権や生涯学習を巡る事業を人権・生涯学習推進協議会連合会に委託し、さらに、連合会の臨時職員の雇用も委託していた。女性職員は18年度に市教委に配属され、この事業の担当になった。
女性職員は、市職員が直接、連合会の職員に指揮・命令しており、偽装請負に当たると上司に訴えたにもかかわらず、引き続き指揮をするよう強要されたと主張していた。
池田裁判長は、連合会の就労状態は偽装請負であり、労働者派遣法違反に当たると認定。さらに、上司が職務上の優位性を背景に違法行為を行うよう命令することも「ハラスメントとして違法」と認定した。
上司が「辞める覚悟やったら何でもできるわな」と発言し、違法行為を強要したことも不法行為を構成すると判断した。
女性職員は、上司に抵抗した結果、人事評価で異常に低い評価を受け、異動を命じられたと主張したが、池田裁判長は「(人事評価や異動について)裁量の逸脱、乱用があるとはいえない」として退けた。
原告側代理人の渡辺輝人弁護士は「自治体が外部委託をするケースが増え、『グレーゾーンならいい』『全くのブラックではない限りセーフ』といった雰囲気を感じる中、偽装請負は明白な違法行為と断じた。重要な判決だ」と話した。
大津市は「判決の内容を精査して今後の対応を検討する」とコメントした。
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