レゲエ、野菜に聴かせて育てる?Uターンで農家になった男性、背中押す音楽とその理由とは
京都新聞 / 2024年4月5日 7時0分
腰に下げたスピーカーから高揚感のある旋律を響かせ、ビニールハウスで一人苗作りに励む。大阪市の会社を辞め京都府南丹市日吉町にUターンし、新規就農して3年目の芦田有吾さん(35)。自由を手に入れたが、厳しく冷え込む地での農業は凶作の不安と隣り合わせだ。それでも、黒人奴隷の子孫が多いジャマイカ発祥で「抵抗の音楽」と呼ばれるレゲエが背中を押す。歌詞から学んだ「自分の殻を打ち破る」という精神で農業に打ち込む。
実家は専業農家だったが、少年時代はサッカー一筋。強豪の香川西高(香川県)に進み、全国高校サッカー選手権でベンチ入りした。大学を経て、東京や大阪の建設現場で働いたが、雇われではなく「自分で何かをしたい」と2022年、地元へ帰って就農した。
近所の高齢農家などから農地を借り、有機栽培を中心に米や野菜を作り始めた。青空の下で開放感を味わいつつも「自分にもできそう」との淡い期待は早々に砕かれた。
シカにレタスを全て食べられ、氷点下14度も記録した冬の寒さでは多くの野菜が被害を受けた。改善の工夫にやりがいを感じつつ、妻や息子(1)を抱える身として「食べていけるのか」との不安はいまだ尽きない。
それでも、作業中に響かせるレゲエに励まされてきた。高校時代に出合い、裏拍でリズムを刻むギターや重厚なベースラインに「衝撃を受けた」。貧しい社会から生まれたジャンルで、パトワ語の歌詞は「小さいことを気にするな」など前向きなメッセージが多い。「厳しい環境で育つ野菜にも聞いてもらいたい」と笑う。
曲の反骨精神に倣って、過酷な寒さも「根菜の味が締まり、ここでしかできない味になる」と捉える。この冬は甘みが詰まった金時にんじん、しゃきしゃきの大根が採れて好評だったと喜ぶ。
春からは約1ヘクタールで、トマトやセロリ、ロマネスコなど昨年の倍以上という約40種類を作る。現在は卸売りが中心だが、お客さんの顔が見え、感想が聞ける「ライブ感」のある販路を考えたいという。
一方で「有機にこだわり過ぎると経営は難しい」「家族を安心させてから面白いことに挑む」と冷静だ。リアリストとして社会と向き合うことも、レゲエの精神だ。
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