子供ファンに暴行？ 『キン肉マン』正義超人による「オラついた問題行動」

■最初から強気な発言が目立った男

『キン肉マン』に登場するジェロニモといえば、謙虚な部分がある反面、強気な言動が多く、念願の超人になった後は正義超人らしからぬ行動を連発して「どうしたジェロニモ……」と読者を心配させる場面もありました。今回はそんなジェロニモの、「気になる行動」を振り返ります。

●若さゆえの暴走？　先輩超人にガチギレ！

　ジェロニモは、「黄金のマスク編」で、黄金のマスクからパワーを吸い取られ続ける正義超人のひとりとして初登場しました。

　キン肉マンがスニゲーターと対戦中、正義超人たちは生命維持装置のなかでパワーダウンを防ぐほかありませんでした。しかし、勝利したキン肉マンは敗れたスニゲーターに道連れにされ、絶命してしまいます。

　すると、死んでしまったキン肉マンに対し、カナディアンマンが「キン肉マンのうすのろめ」「どうせ死ぬんなら黄金のマスクを取り返してから死にゃあよかったんだ」と辛らつな暴言を吐きます。

　これに激怒したジェロニモは、正義超人界の大先輩である彼に「勝手なことばかりぬかしとるかぁ」「キン肉マンが戦っとる間、そん中で文句いうとっただけじゃなかか」とガチギレしました。

　カナディアンマンが「若僧め！！」と逆ギレすると、ジェロニモは「やるか」とケンカ上等の態度で応じ、一触即発の状態になりました。

　そして、この時点ではまだ語られていませんが、このときのジェロニモは超人になる前の「生身の人間」です。それなのに初登場から先輩超人に物申すあたり、彼の強気な気性の片鱗が現れていました。

●多くの超人をドン引きさせた「ムチャな提案」

　プラネットマンとの戦いのあと、意識不明となったウォーズマンの体内に4人の悪魔騎士が潜り込みます。ウォーズマンの意識を取り戻すにはどうすべきか困惑する正義超人たちに、ジェロニモはウォーズマンの身体の中枢にショックを与えれば蘇ると説明しました。

　しかし、ショックを与える方法が思いつかないキン肉マンに、ジェロニモは「ウォーズマンの体内にはいって、脳や心臓に直接ショックをあたえる！」という、とんでもない方法を持ちかけます。

　普通に考えたらありえない提案に、テリーマンが「ム…ムチャな…」「このオレたちにどうやって体内にはいれというんだ」ともっともな反応を示すと、さらにジェロニモは「それをやらなくてはウォーズマンは助からん！」と強引に押し通そうとしました。

　その後、悪魔騎士側から、ウォーズマンの体内に入るための「リサイクルゾーン」が提供され、結果的にジェロニモの提案通りに進みます。そんな猪突猛進で常識では考えられないムチャな発言をするのも、ジェロニモの持ち味かもしれません。

■一般人にも容赦がない、オラついたジェロニモ！

●超人になった途端、一般人に手をあげたジェロニモ

「夢の超人タッグ編」でジェロニモはアシュラマンの改良阿修羅バスターをくらい、頭をかち割られる。「『キン肉マン』一挙見Blu-ray 夢の超人タッグ編」（TOEI COMPANY,LTD.）

「黄金のマスク編」でのジェロニモは、敬意をいだく超人には忠義が厚く、自身を「未熟者」「下っ端」と言って謙虚な態度を見せていました。しかし、「夢の超人タッグ編」で憧れの超人になれた途端、目に余る問題行動を連発します。

　ジェロニモは、テリーマンとのタッグ「ニュー・マシンガンズ」を結成し、宇宙超人タッグ・トーナメントに参戦することに。試合会場には多くの観客が詰めかけ、ブロッケンJr.、ウルフマンだけでなく、ウォーズマンや悪魔超人のブラックホールまでもがファンの声援に応えていました。

　しかし、そこに入場してきたジェロニモは、子供のファンが「がんばってね」と軽く身体をタッチしただけで激怒し、左手でひっぱたくように払い除けます。

　突然の暴行に子供は泣き出しますが、ジェロニモは「あの子供がオラの体に勝手にさわったからだ!!」と怒りを隠さず、周囲の観客をドン引きさせていました。

　ジェロニモが一般人に手をあげたのは、これだけではありません。

　宇宙超人タッグ・トーナメントの準決勝、ヘルミッショネルズは2000万パワーズにとどめをさそうとクロス・ボンバーを繰り出し、割って入ったキン肉マンの左腕をもぎ取りました。

　病院に救急搬送されたキン肉マンの病室は面会謝絶でしたが、勝手に面会謝絶の張り紙を剥がしたジェロニモが乱入してきます。

　これを見つけた医師がジェロニモをつまみだそうとしますが、彼は一般人である医師に容赦なく膝蹴りを見舞いました。

　念願の超人になれた高揚感のせいなのか、「夢の超人タッグ編」のジェロニモは罪のない一般人にまでオラついた態度や問題行動を見せています。

●実績を積んだジェロニモは、真の正義超人に……

　オラつきまくり、イキりまくりのジェロニモは、その後ハワイに渡り、現地のヘビー級チャンピオンのタイトルを奪取します。この実績が超人としての心の安定につながったのか、「キン肉星王位争奪編」では再び以前のような謙虚な姿勢を見せるようになりました。

　超人になってからは問題行動が目立ったジェロニモですが、ストーリーが進むにつれて心身ともに成長を遂げます。そんな等身大のヒーローだからこそ、多くの読者が共感しやすい存在だったのかもしれません。

（南城与右衛門）