スーパーファミコンで発売された「謎の親子カセット」 見どころ満載も「あと一歩」だった?
マグミクス / 2024年3月23日 21時50分
■スーパーファミコン後期に「ハドソン」が発売
昨今のゲーム市場では、ゲームソフトのパッケージ販売に加え、ゲームソフトのダウンロード販売が主流になっています。また、ゲームソフトの記録メディアもBlu-rayディスクなどがほとんどで、昔ながらのROMカセットはNintendo Switch用ソフトで使われている「ゲームカード」以外には、あまり見かけなくなりました。
しかし、1980年代から1990年代まではファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)やスーパーファミコン(以下、SFC)など、人気を博していた家庭用ゲーム機の記録メディアとして、むしろROMカセットが当たり前の時代でした。なかには、一般的な形状ではなくゲームソフトの内容に応じて特殊な作りのカセットもあったのです。
今回は1990年代の中ごろに登場し、ある意味でレアとも言える「親子カセット」を採用したゲーム作品を振り返ります。
ROMカセット同士を組み合わせて1本のゲームソフトと見なす親子カセットは、もともとファミコンの時代から存在していました。その作品は、サンソフトが1990年10月に世に送り出した『なんてったって!!ベースボール』というスポーツゲームです。計16球団が登場するオーソドックスな野球ゲームですが、際立った特徴として「ダブルカセットシステム」を採用しています。基本的なゲームデータが入った「親ガメカセット」の上部に、選手データを収録した「子ガメカセット」を差し込むことで、最新の選手データをゲーム内へ反映させられるようになっていました。
それから約5年後の1996年3月1日にハドソン(当時)がSFC向けに発売した「親子カセット」が、パズルゲーム『鮫亀(さめがめ)』です。画面上に並んだコマをひとつずつ消して得点を稼ぐという「SAME GAME」は、すでに1980年代後半に誕生していて、当時のパソコン向けにさまざまなバージョンが作られました。その発展段階でSFC向けに移植されたのが『鮫亀』です。
ゲームの基本ルールは従来の「SAME GAME」を踏襲しつつも、親子カセットによってバージョンの異なるゲーム内容を楽しむことができました。
■「ゲーム業界」全体が面白くなる可能性もあった?
『鮫亀』パッケージ裏面には、「サテラビューで対応データを受信すれば、新しい体験ができる」といった点も強調されていた
当時の説明書を見ると、「システムカセットにキャラカセットを付属させたスーパーファミコン史上初の『ダブルカセット方式』」と書かれています。この文言通り、システムカセットに『鮫亀』のベース部分、キャラカセットには『鮫亀』のコマ部分を特定のゲームキャラクターへ置き換えるデータが入っていたのです。
本作は「ハドソン製ソフトの人気キャラクターがコマとして登場する」という点が大きな特徴で、システムカセット単体でも「桃太郎」(桃太郎伝説)、「貝獣」(貝獣物語)、「ミロン」(迷宮組曲)などのキャラクターが収録されています。そしてキャラカセットをシステムカセットに差し込むと、「ボンバーマン」や「原人」(PC原人)といったキャラクターをコマとして遊ぶことができたのです。
また、本作の腕前を競うハイスコア大会で優秀な成績を収めたプレイヤーには、『キャラデータ集-天外魔境』、もしくは『UNDAKE30 鮫亀大作戦 マリオバージョン』という、非売品カセットが贈られました。前者はシステムカセットに差し込むことで、ハドソンが開発したRPGシリーズ「天外魔境」のキャラクターが登場。後者は一般的なSFCのロムカセットですが、「スーパーマリオ」仕様のコマが登場するというスペシャル仕様になっていました。
こうした親子カセット(ダブルカセット方式)を前面に押し出していた『鮫亀』ですが、さらにSFC向け周辺機器「サテラビュー」にも対応していました。1996年当時の衛星データ放送番組「スーパーファミコンアワー」で『鮫亀』用の問題データが配信され、プレイヤーは追加データを定期的にプレイすることができました。
ただ惜しいことに、本作は諸事情もあってか『キャラデータ集-天外魔境』やソフト同梱のキャラカセット以外に新バージョンが作られることはありませんでした。例えば当時のスクウェア、エニックス、コナミなど、メーカーの垣根を越えたキャラカセットが誕生していれば、ゲームとして遊びの幅がより広がった、もしくはその後メーカー同士のコラボ企画がさらに広がる可能性もあったのではないか……と想像してしまいます。
(龍田優貴)
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