4月7日は鉄腕アトムの誕生日。今こそ「アトムが必要な時代」である理由
マグミクス / 2021年4月7日 11時50分
■時代とともに更新された、アトムの「能力」
『鉄腕アトム』ほど、世代を超えて親しまれているロボットは、おそらく存在しないでしょう。1952年に雑誌「少年」で故・手塚治虫氏が連載開始した『鉄腕アトム』は、その後1968年まで続くロングラン作品となり、多くの少年少女を虜(とりこ)にしました。手塚氏が描いたアトムはこれだけではなく、さまざまな媒体で多くの短編が発表されています。最後の連載は1980年から1981年にかけてとなっており、30年近くアトムを描き続けた手塚氏の熱意には敬服するほかありません。
アトムが初めて登場した作品は、やはり手塚治虫氏が「少年」に1951年から連載していた『アトム大使』です。このときのアトムは脇役でしたが、デザインや設定を変更し、主人公へと抜擢されました。
1959年には実写化、1963年には日本初のロボットアニメ作品としてTV放送され、お茶の間の人気者となったアトムは、その後も1980年に再アニメ化、2003年には『ASTRO BOY 鉄腕アトム』として3度目のアニメ化を果たしています。近年では2019年に未就学児を対象とした『GO!GO!アトム』も放送されており、70代以上の方から小さなお子様まで、「それぞれの世代のアトム」が存在するという偉業を成し遂げているのです。
特にアトムといえば、オープニングテーマの歌詞にも「7つの威力さ」と書かれている、7つの力を思い出す方も多いと思いますが、実は時代とともに内容に少しずつ修正が加えられています。
1963年版のアニメでは「どんな計算も1秒でできる電子頭脳」「60か国語を話せる人工声帯」「普通の1000倍も聞こえる聴力」「サーチライトの目」「10万馬力の原子力モーター」「足のジェットエンジン」「お尻からマシンガン。1秒間に500発撃てる」となっていますが、2003年「ASTROBOY」版では、原子力モーターとマシンガンは削除され、代わりにレーザーブラストとアームキャノン砲が加えられています。その他の能力も軒並みグレードアップされており、より近代的なロボットとしてのアトムの姿を見ることができるようになっているのです。
■今こそアトムが必要な時代では…?
1980年のアニメを26話まで収録した「鉄腕アトム DVD-BOX1」(ジェネオン・ユニバーサル)
さて、皆さんがアトムのことを思い出すときは、どのようなシーンを思い出すのでしょうか。1963年版を見ていた方からは、最終回「地球最大の冒険」のラストシーンが素晴らしいとしばしば話に上がるので、今回Amazonプライムビデオでレンタル視聴したのですが、最後、アトムが遠ざかっていく地球を見ながら「地球は綺麗だなあ」と言い残すシーンは、子供のころに夢中になって見ていたとしたら、絶対に泣いていたでしょう。当時、アトムのシール付きマーブルチョコレートが飛ぶように売れたという話もうなずけます。
筆者は1980年のアトムが「自分にとってのアトム」なのですが、当時、なぜかお尻からマシンガンを出すシーンがものすごく大好きだったことをよく覚えています。残念ながら2003年版は未視聴なのですが、観ていた方はどのようなシーンが好きだったのでしょうか。ぜひ教えていただければと思います。
西暦2003年の4月7日に生まれたアトムは、今年でちょうど18歳です。もし実際に存在していたら、空を飛んで災害に苦しむさまざまな場所に駆けつけ、10万馬力を発揮して苦しむ人たちを助けて回っているに違いありません。数年に一度は地震や台風、水害で大きな被害を受ける日本にアトムがいたら、どれほどの救いになることでしょうか。
過去、日本では数多くのロボットが制作されました。開発者のなかには、「アトムに憧れてロボット開発を目指した」と語る方も多く存在しています。現在でも「ロボコン」など数多くのロボット競技が開催されるほど、ロボット文化が根付いた状況を作り出してくれたのが、おそらくアトムなのでしょう。
今はまだ無理でも、いつか本物のアトムが生まれてくれることを望んでいるのは筆者だけではないはずです。厳しい時勢が続く状況ではありますが、かつてアトムに夢を見た時代のように、明るい未来が当たり前のようにやってくることを信じられるようになりたい。そう、切に願わずにはいられません。
(ライター 早川清一朗)
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