「社保」「税金」などの未納付・滞納による倒産が過去最多を更新…納付猶予措置縮小の影響大きく
まいどなニュース / 2024年5月3日 16時30分
「各種税金(公租・租税)」や「社会保険料(公課)」などの未納付・滞納による倒産が急増しているといいます。株式会社帝国データバンク(東京都港区)が、このほど発表した「”公租公課滞納”倒産動向調査」によると、「公租公課滞納※」倒産は、2023年度に「138件」発生したことが分かりました。倒産件数が過去最多を更新する背景にはどのようなことがあるのでしょうか。
調査は、負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象として、2024年3月31日までの期間で集計したといいます。
※本調査における「公租公課滞納」倒産の定義は、消費税や固定資産税などの各種「税金(公租・租税)」、厚生年金保険や健康保険などの「社会保険料(公課)」について納付ができない、または滞納状態が続いたことで自社の資産等を差し押さえられ経営に行き詰まった企業の倒産としています。
調査によると、消費税や固定資産税、厚生年金保険などの「公租公課」を納付できない、または滞納による差し押さえで経営に行き詰まった「公租公課滞納」倒産は、2023年度に「138件」発生したことが分かりました。また、月次ベースでみても、2024年1月(14件)以降、2月(16件)、3月(20件)と、過去最多を更新し続けていることも明らかになりました。
この背景には、コロナ禍に設けられた最長3年にわたる納付猶予措置が、ポストコロナに向けて企業活動が正常化するなかで順次縮小された影響が大きく、業績不振のなかで消費税と社会保険料の支払いに窮した企業や、猶予期間中に業績を立て直すことができなかった企業の倒産増加が目立つ結果になったといいます。
また、2020~2023年度の4年間で判明した「公租公課滞納」倒産の件数は「334件」。このうち、2023年度は「138件」と全体の41.3%にも及び、2022年度の97件から1.4倍に増加したほか、支払いが猶予されていたコロナ禍の2020年度(46件)からは3倍に増えています。
2020~2023年度に発生した334件を業種別にみると、「サービス業」(86件)が最も多く、次いで「運輸・通信業」(64件)、「建設業」(55件)、「製造業」(48件)が続きました。
また、態様別では、累計334件のうち、「清算型」での倒産が314件で全体の94.0%を占め、ほとんどのケースで破産となった一方で、「再生型」は民事再生法を中心に20件にとどまっていました。
企業にとって特に負担の重い「社会保険料」についての日本年金機構の発表によると、「厚生年金保険を含む社会保険料を滞納している事業所」は、2022年度末時点で「14万811事業所」で、適用事業所全体に占める割合は5.2%。前年度に比べて滞納事業所数は減少したものの、依然として多くの企業が納付に苦慮する状態が続いているといいます。
このような状況について同社は、「コロナ禍での特例措置や支援策の縮小、物価高などの影響も重なり、社会保険料の支払い催促に対して弁済可能な資金を有する中小企業は決して多くない。社保や税金滞納分の支払い見込みが立たず、事業継続を断念するケースは今後さらに増えていくことが予想される」と考察しています。
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