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小1でいじめ被害...指導した担任「今度なんかあったら自分で解決してね」相手児童の下校時ルールも『1週間しか守られず』...大阪市を提訴へ「いじめ防止法が希望」

MBSニュース / 2024年4月24日 12時38分

 いじめの認知件数が過去最多となっている。2022年度は前年度比10.8%増となる68万1948件。この数字は積極的ないじめ認定の表れということなのか?いじめに苦しむ2家族の取材から見えてくるものとは。

小1の時にいじめに苦しんだAさん 担任『自分で解決してね』

 大阪市の市立小学校に通う小学5年生のAさん。いつも自宅の倉庫に設置したブランコで遊んでいる。公園にひとりで行くことができないからだ。

 (Aさん)「気持ちがしんどくても、家やったら落ち着くから。いつでもできるし」

 Aさんが自由に遊びまわることができなくなったのは小学1年生の頃にさかのぼる。下校中に同級生の男児からランドセルや水筒などを無理やり持たされるいじめを受けた。

 (Aさん)「何回も嫌って言ってもそれをやらされて。それと『裸になって』とか言われた。悲しかったし、しんどかったし。なんでこんなんされたのかがわからへんかった」

 小学1年生の夏ごろから12月まで、何度も同じようなことがあり、Aさんの母親が学校へ相談。担任教諭が相手児童に事実確認をして指導をしたという。その後、担任からAさんは呼ばれたのだが…。

 (Aさん)「『今度なんかあったら自分で解決してね』って言われた。(Qその時にどう思った?)悲しかった。なんかよくわからへんかった。頭がごちゃごちゃになった」

 Aさんはこの翌日から、相手児童からまた何かされるのではないか、先生からも助けてもらえないと不安に感じ、不登校がちになる。学校に行く際も母親の付き添い無しでは行けなくなった。

 (Aさんの母親)「がりがりに痩せてしまって、食べなくて寝なくてという状態になっていたので。急に真夏でも『寒い寒い』と震えたり、突然泣き出すだとか」
 (Aさんの父親)「夜ふと目が覚めてトイレに行こうと思ったら2人が泣いているのを聞いたんですよ。普通じゃないですよね。怖い怖いって言っていました」

 母親は学校に対して『娘が学校に行けるよう相手児童を強く指導できないか』と相談したのだが…。

 (Aさんの母親)「『そんなことしたら彼がもしいじめられたらどうするの?』と学校から言われた。『そんなことはできない』と」

 Aさんの症状は悪化して小学2年生の10月には保健室登校に。学校・Aさんの両親・相手児童の両親の三者で『相手児童が下校する時に保護者が迎えに行くか、担任が家まで付き添う』というルールが決められた。しかし…。

 (Aさんの母親)「私と娘が一緒に帰っていたら、後ろから『待て』と言って追いかけてきたんですよね。学校側の認識は(相手児童の保護者が)迎えに来ているもんやと思っていたからそのまま門から出したと。なんで確認していなかったと聞いたら、学校はうち側の落ち度です、みたいなことは言っていたんですけれど」

 実は1週間しかこのルールは守られておらず、相手児童は誰からの付き添いもなく下校していたのだ。

 こうしたことからAさんの不安はさらに強まり、『抑うつ状態』と診断され、別の小学校に転校せざるをえなくなった。

 (Aさんの母親)「(Q当初は転校にまで至ると思った?)最初は本当に学校の先生に言って終わりと思っていた。何かしらもうちょっと学校側が動けばなんとかなったんじゃないかという思いはすごくありました。傷は深く刻みこまれて、たぶん一生持つんだろうなと思いますね」

 両親からの訴えを受けて、転校から5か月後の2022年5月に大阪市教育委員会が市長に『いじめ重大事態』と報告。第三者委員会はランドセルを持たされた行為をいじめと認定したうえで、学校の対応について『いじめではなく児童同士のトラブルとして対応したことが問題点で、相手児童に継続的支援をすべきだった』などと指摘した。

小4娘がいじめ被害…母親「どんどん自分の子が変わっていってしまう」

 学校のいじめ対応について疑問を感じている親は他にもいる。

 (娘がいじめ被害にあった母親)「学校は極力『いじめ』という言葉を使わずに話をしていたと思います。友達同士のトラブルと。学校って何もしてくれないんだと思いました」

 兵庫県芦屋市の市立小学校に娘を通わせていた女性。2021年、当時小学4年生だった娘は、同級生から「死ね」「地獄に落ちろ」などと自分への悪口が書かれた携帯電話のメッセージを見せられ、不登校がちになった。

 母親は、校内でこの同級生が娘に接触しないよう学校に指導を求めたが、対応してもらえなかったという。その後も同級生が何度も近づいてくるなどして、娘は摂食障害になるなど体調が悪化。いじめから1年あまり経ち転校をした。

 (娘がいじめ被害にあった母親)「食べていないので歩いたら心臓が止まる可能性もありますという話があった。思い出したくもないくらい、どんどん自分の子が変わっていってしまう」

 この問題をめぐっては、体調が悪化してから学校が重大事態と認定して、第三者委員会が調査。誹謗中傷の文面を見せたことなど5件のいじめを認定して、学校のいじめ対応が消極的だと指摘した。

 (娘がいじめ被害にあった母親)「もっときちんと早く重大事態だと打ち出してくれて、相手の子にもきちんと指導してくれていたら、こんなことまでにはなっていないと思います」

2013年に成立『いじめ防止対策推進法』

 2013年に成立したいじめ防止対策推進法。いじめを『児童が心身の苦痛を感じているもの』などと広く定義して、学校に対しては被害者に寄り添い積極的な対応をするよう求めている。

専門家『法律に従っていじめに積極的に対応する余裕が現場にはない』

 しかし、なぜ学校はいじめに消極的とも言える対応なのか。中学校の教諭や教育委員会で勤務経験のあるいじめ問題の専門家は『現場ではこの法律を厳密に運用できていない』と話す。

 (兵庫県立大学環境人間学部 竹内和雄教授)「日々ランドセルを持たせるとか『死ね』とかはいっぱいあるんですよ。それを全部いじめに認定していると会議が1日40個くらいになる。学校は結果的に全部はいじめと認定していません。結果論でいうと今回は判断ミス。だけどこういうミスは起こってくる」

 そのうえで『法律に従っていじめに積極的に対応する余裕が現場にはない』と指摘した。

 (兵庫県立大学環境人間学部 竹内和雄教授)「いじめられている子は絶対に守ってあげないといけないし、その子が元気で学校に行けるようにするのは社会の責任ではある。ただそれを実現するにはあまりに学校現場は今忙しすぎるし抱えている責任が多すぎる。まずは教師はしっかり勉強を教える。専門的にいじめについて関わる教員であるとか、そういう常駐の職員が各学年に1人くらい必要」

Aさん家族は大阪市を提訴へ「いじめ防止対策推進法が希望」

 同級生からランドセルを持たされるいじめを受けたAさん。4月13日、両親が付き添い、公園に来ていた。久しぶりの公園に笑顔がみられた。

 (Aさんの母親)「久々なので多分はしゃぎましたね」
 (Aさん)[(Qお父さんお母さんがいると違う?)うん」

 いじめから3年以上が経ったが、担任教諭らからの謝罪はいまだにない。Aさんと両親は大阪市を相手取り、担任教諭らがいじめ防止法を守らず相手児童への適切な指導を怠ったため転校に至ったとして、約300万円の損害賠償を求め4月25日に提訴する方針だ。

 (Aさんの父親)「いじめられた家族、皆さん、いじめ防止対策推進法が希望なんですよ」
 (Aさんの母親)「いじめ防止対策推進法があって、そういうふうに掲げているのなら、そこはきちんとやっていただきたいなって思います。じゃないと法律の意味って全くない。今後も同じような子がどんどん出てきておかしくない」

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