歩行者天国『なんば広場』の朝~夜明け 喫茶店をめぐるはずが昼からほろ酔いの人、「仕事が何やっても続かず」生きづらさに苦しんだストリート・マジシャン...【定点観測】
MBSニュース / 2024年5月2日 12時51分
大阪・ミナミの新スポット「なんば広場」。ゴールデンウイーク、この場所に集う人たちを取材しました。
去年11月、大阪・ミナミの玄関口にオープンした「なんば広場」。選挙があるたびに街頭演説の聖地として人を集めたエリアでしたが…現在は、車道やタクシー乗り場が無くなり、歩行者天国に生まれ変わりました。
今回は、初めてゴールデンウィークを迎えるなんば広場を朝から夜明けまで定点観測。どんな人に出会えるのでしょうか。
なんばはお酒を飲みたくなる!?「喫茶店めぐりの予定が気づいたら…」
午前11時。取材した日、広場ではあと1年と迫った大阪・関西万博を盛り上げるイベントが開催。その様子を撮影していると一人の男性が話しかけてきました。
「(Qお酒を飲んでいる?)ようけ飲んでますよ。100円のなんや、ワンカップですわ。(Qなんばに来るようになって何年?)40年くらいになるかな。広場が広がったよな。ここ(車道)がなくなったから最高や。車が通ってたやんか。なくなったのは最高や」
少し酔っているご様子。どうやら広場では昼からお酒をたしなんだ人がちらほら見受けられるようです。
酔っているのか横になる男性もいました。話しかけてみると…。
(男性)「おはようございます。MBS?茶屋町のほうや。(Qお酒をどれぐらい飲んだ?)ちょっとだけ。(Qきょうはなぜなんばへ?)なんで来たんだろう…」
(友人)「本当は喫茶店めぐりの予定だったよね。気づいたらお酒飲んでいた」
(男性)「怖いですね」
共通の趣味であるオオサンショウウオを通じてSNSで知り合ったという2人。予定にはなかったのに繁華街の雰囲気にのまれて、ついついお酒を飲んでしまったそう。
(友人)「なんばはお酒を飲みたくなりますね、なぜか」
(男性)「(Q大丈夫?)大丈夫です。ちょっとだけ…」
(友人)「寝るじゃん、おやすみなさい。喫茶店へ行けたらいいと思っていますけど。とりあえず起きてくれたらいいですけど…」
ほろ酔い気分で休憩。解放感のある広場に足が止まるみたいです。ちなみに、念願の喫茶店にはしっかりたどり着けたそうです。
「子どもやと思っています」小鳥をのせて歩く人
午後3時。買い物に訪れた家族連れがひと休みする姿も。おや、小鳥を手にのせて歩く人がいました。
「(Qインコって連れて歩ける?)懐いていますからね。逃げないです。和歌山へ行ったり京都へ行ったり、どこへ行くのにも連れていくので」
木戸正広さん。一緒にいるのはコザクラインコのシナモンちゃん。なんば広場でSNSにあげる写真を撮りにきたそうです。溺愛するのには特別な理由があるようで。
「(Qシナモンちゃんは自分にとってどんな存在?)娘ですね」
今年で結婚17年目。なかなか子どもに恵まれなかったという木戸夫婦はペットショップでシナモンちゃんと出会い、運命を感じたといいます。
「私、嫁さんと2人だけなのでこの子しかおらんので、子どもやと思っています。もうどちらかが目を離さないようにつきっきりなので」
実の娘のように可愛がるインコはいつの間にか広場のアイドルです。
連休は阪神タイガース漬け!勝利の余韻にひたるファン
午後7時。イベントも終わり、街は夕暮れ。夜風が気持ちいい繁華街に繰り出す若者も増えます。ミナミ界隈ではおなじみ、縦じまのユニフォームを着た男性2人と出会いました。
「(Qきょうは甲子園?)ヘルメットかぶりましょうか?阪神勝ちました。きょうはね、もうヒリヒリした試合でしたね。祝杯ですよ」
「朝から祝杯でしたけどね」
「前哨戦から始まっていましたよ」
「前哨戦やってから甲子園行って」
この日、ヤクルトに競り勝ち、6連勝を飾った阪神タイガース!甲子園から、ミナミで祝杯をあげにきたそうです。そんな彼のゴールデンウィークは…。
「阪神、阪神、休み、阪神、阪神、阪神、BBQ、阪神、そんな感じですかね」
広場には、勝利の余韻にひたるファンの姿がありました。
タクシー運転手からは困惑の声も「なんば広場はもともと僕らの仕事場」
午後9時。繁華街の玄関口は過去と比べるとだいぶ雰囲気が変わったような気がします。広場に車を停められなくなったタクシーの運転手は…。
「なんば広場はいらないです。あれはもともと僕らの仕事場なので。あんなに広い公園みたいなものはまったく意味ないです」
「固まった所に集約して客待ちができないから、タクシーが何かウロウロするというんですかね。そういう面はあると思います」
運転手たちのもどかしい思いの一方で、なんば広場は少しずつ夜の顔を見せ始めます。
「仕事が全然何やっても続かなかった」その中で出会ったマジックの世界
そこに現れたのはストリート・マジシャン。道行く人たちをマジックで驚かせます。話を聞くと、マジシャンになるまで多くの苦労を重ねてきたそうです。
「職歴は3か月くらいで辞めることばかりだったので。仕事が全然何やっても続かなかったのですけど、路上に出てホームレスになって、この仕事だけになっちゃったんで」
生きづらさを抱える中で出会ったマジックの世界。
「会った人の人生の価値観を変えられたらなと思っています。とりあえずポジティブに生きられるような価値観を少しでも与えられたらなと」
ようやく見つけた夢を胸に、きょうもミナミのどこかに現れるかもしれません。
大学時代を共に過ごした3人組 4年ぶりの再会で終電後も…
午前0時。終電間近で皆、家路を急ぎます。
そして、終電から2時間後のガランとしたなんば広場。その中に、話し込む若者3人の姿がありました。
「普通に楽しくて話していたら終電がなくなっていました」
大学のハンドボール部で共に青春を過ごした3人。今はそれぞれ大阪、埼玉、香川へ。社会人になって4年ぶりの再会です。
「(Q久しぶりに会うのはどう?)全然成長していないですね、彼は」
「僕だけですか?でもめっちゃ楽しかったですね。話が弾んだな。年に1回は会いたいな」
「まあ、そうやね」
「距離はあるけど」
「全員が家庭を持つまで」
「家庭を持つまではそうやな」
「家庭持ってからも会ったらいいやん」
「会うけど違うやん、最低目標」
「最低目標ね」
翌朝の午前6時。多くの人が行き交った広場は静かな朝を迎えました。新しくなったミナミの玄関口。これからどんな人たちが集い、どんな時間を過ごすのでしょうか。
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