<ハーフでハーバードMBA>ショーンKを作ったのは「あるべき姿」をもとめる世間だ-茂木健一郎
メディアゴン / 2016年3月18日 14時53分
茂木健一郎[脳科学者]
* * *
私は、ショーンKさんがご自身の学歴について、真実ではない情報の開示に直接ないしは間接的に関与されていた可能性があることについて、決して肯定しているわけではありません。
また、未だによくわからないのですが、実は「ハーフ」ではなく、「純粋日本人」だという一部の情報についても「ほんとうかなあ」と思いつつ、戸惑っているというのが正直な気持ちです。また、番組、特に報道番組のキャスターとして、学歴等について真実ではない情報を開示していたことで、資質が問われる、という論も、理解できます。
その意味で、結果として、今回ショーンKさんが番組をご辞退されたことも、妥当だとは思います。虚偽は「事実」と「あるべき姿」の間の乖離から生まれるものだと思います。
その意味で、「あるべき姿」が、ハーフ、ハーバードMBA、国際コンサルタントである、という世間の実態に、私は未だに、違和感を抱かざるを得ません。あるべき姿があると、それを持たない人は、コンプレックスを持つでしょう。
ショーンKさんも、ひょっとしたら、コンプレックスを持たれていたかもしれません。しかし、私は本来、人間にはあるべき姿などないと、思っています。
世間は平気で、人生にはあるべき「学歴」や「経歴」があるのだという情報を垂れ流ししているように、私には見えます。立派な週刊誌が、東大合格者高校別一覧なるものを掲載したり、「正社員」と「非正規」の間に「勝ち組」「負け組」の差があるような記事を載せたり。
LGBTの多様性については、ようやく理解が深まってきているのに、学歴や職については、未だに差別、区別をして当然という世間の風潮があります。無自覚に「ハーフでかっこいい」「ハーフできれい」と書いたり。
ショーンKさんは、世間の、そのような「かくあるべき」という像に、パーフェクトストームのように当てはまっただけ、という気がします。だとしたら、ショーンKさんを作ったのは、ご本人であると同時に、世間なのではないでしょうか。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
バチカンが知るUFOの秘密を追った『ゴッドVSエイリアンズ』カンヌ映画祭で上映へ 監督「情報開示日近づいている」
よろず~ニュース / 2024年5月18日 7時30分
-
「リベラルアーツ」を軽視しすぎた日本社会の代償 「リーダーシップ」と「教養教育」の不可分な関係
東洋経済オンライン / 2024年5月17日 9時30分
-
茂木健一郎氏、ゆたぼんを評価 父から“ポスト消せ”圧力に反抗する姿に「大いに結構なこと」
スポニチアネックス / 2024年5月14日 22時53分
-
小池都知事に向けられた学歴詐称疑惑、「海外の大学」へ対する謎の信頼と思いのほか冷静なSNS界隈
週刊女性PRIME / 2024年4月26日 14時0分
-
茂木健一郎氏 シジミのみそ汁の食べ方に関するマナーを疑問視「くだらない」
東スポWEB / 2024年4月23日 16時59分
ランキング
-
1「殺害も頼まれた」 那須2遺体 「指示役」を殺人容疑で再逮捕へ
毎日新聞 / 2024年5月18日 23時0分
-
2大阪・枚方市のマンションで19歳の女子大学生が刺され死亡、26歳無職男を殺人容疑で緊急逮捕
読売新聞 / 2024年5月18日 23時13分
-
3「戦争ではなく虐殺」 ナクバの日に合わせ、大阪でガザ侵攻抗議デモ
毎日新聞 / 2024年5月18日 21時23分
-
4岸田政権、台湾と協調維持 中国刺激回避も意識
共同通信 / 2024年5月18日 21時30分
-
5撮影者「こんな火事見たことない」下呂温泉の温泉街で木造二階建ての飲食店が燃える 周辺旅館の宿泊客ら避難
東海テレビ / 2024年5月19日 6時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください